生活保護受給者が主に利用する施設に保護施設があります。こうした保護施設の一つが救護施設です。利用対象者は障害者やホームレスであり、こうした人が救護施設を活用します。

入所条件はゆるく、18歳以上かどうかになります。救護施設というのは、生活保護受給者であればどのような人であっても基本的には入所対象者になります。

それでは、救護施設とは具体的にどのような施設になるのでしょうか。救護施設の対象者や役割、入所条件について解説していきます。

生活保護受給者が住む救護施設とは

低所得者の場合、生活保護にて過ごしている人がいます。こうした生活保護受給者が住む施設が保護施設であり、保護施設の中でも救護施設に住む人が最も多いです。

通常、救護施設は規模が大きく50人以上が一つの施設内に住むことになります。大人数で共同生活を送り、生活保護であっても住める場所を確保できます。

厚生労働省の資料によると、救護施設を利用している人で生活保護受給者の割合は99.4%です。つまり、救護施設を利用するには生活保護が必須になると考えましょう。

なお救護施設では、施設内で作業訓練やクラブ活動を含めた日中活動を行います。そのため施設の外へ出る必要はなく、すべての作業が救護施設内で完結します。障害者施設とは違い、平日の日中に施設外へ出て就労やデイサービスなどの活動をする必要はありません。

対象者は障害者やホームレスがメイン

それでは、どんな人が救護施設を利用するのでしょうか。生活保護であれば誰でも救護施設の対象者になるかというと、そういうわけではありません。健常者が救護施設に入居する意味はなく、健常者は一般的な賃貸マンション・アパートに住めばいいです。

ただ中には、知的障害者や精神障害者、身体障害者を含めて一人での生活が困難になっている人がいます。こうした障害者について、生活扶助を提供することを目的に救護施設を利用できます。

なお救護施設を利用する人の中にはホームレスもいます。ホームレスのうち6割以上は精神疾患を有しており、ホームレスだと知的障害者の割合も高いです。いずれにしても、日常生活が困難な人を救護施設で受け入れます。

アルコール依存症や薬物依存症などの人も救護施設を利用しますが、これら依存症の人は精神障害者に該当します。そのため、いずれにしても何かしらの障害を抱えている人が救護施設を活用すると考えましょう。

どの障害者で受け入れ対象になる?

救護施設を利用している人のうち、86.2%が障害者です。それでは、どのような障害者が救護施設を利用しているのでしょうか。これらの人について、障害の内訳は以下のようになっています(重複回答あり)。

障害の種類割合
身体障害18.5%
知的障害29.0%
精神障害69.6%
その他1.4%

※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業

このように、知的障害者や精神障害者がメインで救護施設を活用しています。

施設の役割は生活困難者が住めること

このとき、救護施設の役割・目的は「生活保護の障害者が施設の中でずっと住めること」になります。要は施設内にて生活扶助を提供し、介護スタッフの協力のもと、障害者が生活さえできれば十分です。

保護施設の中には、「将来の独り暮らしが前提となる更生施設」「利用者に仕事の機会を与える授産施設」などの種類があります。その中でも、救護施設は利用者の継続的な生活を重視しています。

事実、救護施設には10年以上も利用している人がたくさんいます。救護施設の平均入所期間は11年2か月であり、非常に多くの人が救護施設を長く利用しているとわかります。同じ保護施設でも、平均入所期間が1年4か月である更生施設とは施設の利用目的が大きく異なるのです。

なお生活保護であれば、入居や生活で必要なお金は心配不要です。サービス料だけでなく、食費や水道光熱費、その他の雑費(ティッシュペーパーなど)も含めて施設から現物支給されます。こうして生活扶助が提供され、救護施設を利用している間は生活に困らなくなります。

入所条件は18歳以上:65歳未満が望ましい

なお救護施設について、入所条件は年齢だけです。具体的には、18歳以上であれば救護施設を利用できます。

障害者施設の場合、「軽度の人が利用」「重度の知的障害者のみ」「身体障害者を主に受け入れ」などのように、施設によって入所条件に特徴があります。それに対して、救護施設にはそうした施設ごとの特徴がなく、軽度から重度まですべての種類の障害者を受け入れています。

そのため生活保護を受けている人であれば、障害の種類や重症度は入所条件と関係ありません。必要なのは、18歳以上かどうかという点だけです。

なお救護施設によっては、新規入居のときに65歳未満を原則としていることがよくあります。65歳以上の高齢者だと、老人ホームなどの介護施設の利用が適切だからです。ただ65歳以上であっても受け入れてくれる救護施設もあります。

暴力行為があると受け入れ拒否

なお救護施設では大人数の障害者や元ホームレスが共同生活を送るため、入居者はある程度まで協調性を取れる人でなければいけません。具体的には、暴力行為があると受け入れ拒否になりやすく、そうした人以外で施設を利用できます。

重度知的障害や自閉症などを有する人だと、強度行動障害の場合があります。強度行動障害だと暴力行為や暴言などにより、他の利用者や職員へ危害が加わります。そうなると、たとえ入居できても強制退去になりますし、受け入れ拒否も起こりやすいというわけです。

例えば以下は障害者が暴れた後の様子であり、こうなると施設に入居している多くの人が避難しなければいけません。

特に救護施設では、個室ではない施設がよくあります。2~4人の相部屋にて生活するのは普通であり、そうなると強度行動障害の人は救護施設での生活がより困難になります。

その場合、救護施設ではなく「強度行動障害であっても受け入れ可能な障害者施設」を探すほうが適切です。どのような障害者でも受け入れ可能というのは、その反面、「特定の障害者へ専門的な対応ができない」ということでもあります。そのため、他害・暴力ありの場合は救護施設以外を考える方が適切です。

救護施設の役割は生活保護受給者への生活扶助

生活保護を受けている障害者やホームレスなどの生活困窮者に対して、生活扶助の提供を役割・目的として救護施設があります。日々の生活を送るうえで、生活保護の障害者が住み、生活し続けることができればそれで十分です。

入所条件はゆるく、障害の種類や程度に関係なく、18歳以上であれば救護施設の利用対象者になります。知的障害者や精神障害者がメインの利用者になり、こうした生活保護の受給者が救護施設へ入ることになります。

なお施設規模は大きく、一つの施設内での利用者は多いです。また救護施設によっては2~4人の相部屋になるのも普通です。そのため、暴力行為があると受け入れ拒否になりやすいです。すべての人が対象ではあるものの、誰でも受け入れ可能なわけではありません。

保護施設の中では、救護施設の利用者が最も多いです。そこで救護施設とは何かを理解して、必要であればこのような保護施設を活用しましょう。

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