多くの障害者がグループホームへ住むことにより、格安で生活しています。知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であれば障害者施設の利用が可能です。
金銭面では、障害者グループホームを利用するのはメリットでしかありません。収入がなくても問題なく生活できるからです。それでは、障害者グループホームのサービス内容やメリット・デメリットとしてはほかに何があるのでしょうか。
事前に利点と問題点を知らないと、後悔することになります。親の介護負担がなくなり、親亡き後問題を解決でき、金銭負担がほぼないのは障害者グループホーム利用のメリットであるものの、デメリットも存在します。
障害者グループホームへ入居する前にこれらの内容を知っておきましょう。ここでは、障害者グループホームのサービス内容やメリット・デメリットを解説していきます。
もくじ
障害者施設で行われる家事や相談、介護サービス
障害者グループホームでは、複数の障害者が共同生活を送ります。そのため、障害者専用のシェアハウスが障害者グループホームと理解すればいいです。
ただ一般的なシェアハウスとは異なり、障害者グループホームには介護職員が常駐しています。また、こうしたスタッフが料理やその他の指導をしてくれるだけでなく、入浴や排せつ、食事などの介助も可能です。以下は障害者施設でスタッフが調理している様子です。
つまり、家事や介護などの担当者が常に在籍している障害者専用のシェアハウスが障害者グループホームになります。
また介護スタッフは障害者の相談役でもあり、金銭管理や薬の服用管理なども行います。障害者グループホームには重度の障害者も住んでおり、スタッフが管理を行うのです。
就職支援や作業所での労働も問題ない
なお多くの場合、障害の程度が軽度であれ重度であれ障害者は平日の昼間に働きへ出かけます。障害者であっても労働賃金を得るわけですが、こうした就労支援や作業所についても障害者グループホームのスタッフが支援してくれます。
就労支援施設や作業所との調整をするのは、障害者グループホームの介護職員の仕事です。この場合、障害福祉サービス受給者証には以下のように記されるようになります。
障害年金に加えて賃金を得ることにより、障害者は問題なく生活できるようになります。これをサポートするのも障害者グループホームのサービス内容の一つです。
最大の利点は格安で生活できる点
このとき知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が障害者グループホームを利用する最大の利点として、格安で生活できる点が挙げられます。
障害者グループホームに住む障害者はほとんどのケースで低所得者であり、住民税の非課税世帯に該当します(または生活保護)。この場合、障害福祉サービスが無料です。
たとえ実家が高額所得世帯であっても関係ありません。成人が障害者グループホームに住む場合は異なる世帯となるため、住民税の非課税世帯に該当することで障害者は障害福祉サービスが無料になるのです。そのため、実家暮らしよりも障害者グループホームに住むほうが支出を抑えられるケースは多いです。
なお障害者施設に住むことで利用料金は発生するものの、これはデメリットではありません。まず、国と自治体から家賃を補助されるため、家賃は無料または月1万円台ほどになります。そのため必要な支出は食費や水道光熱費、日用品代など最低限となります。
そのため、障害者グループホームに住む障害者は月6万円ほどの支出で生活できます。多少の無駄遣いをしても月6~8万円となり、障害年金だけでも生活できます。これが、多くの人で障害者グループホームを利用する理由です。
共同生活により、ほかの利用者と交流できる利点
障害者は孤立しやすく、家族以外との交流を持てているケースは少ないです。一方、障害者グループホームであれば孤立することはありません。ほかの障害者との共同生活が原則になるからです。
例えば精神障害者であれば、治療が必要とはいっても、誰とも会わずに過ごすことでむしろ孤独が助長され、なかなか症状が改善しないのは普通です。一方で障害者グループホームであれば世話人が相談相手になりますし、ほかの障害者とのコミュニケーションができるというわけです。
例えば以下は、障害者グループホームの利用者全員で近くの公園へ出かけたときの様子です。
他の利用者とコミュニケーションを取れるというのは、孤立しやすい障害者にとって大きな利点です。
規則正しい生活で行えることが増え、将来の一人暮らしも可能
実家に比べて、規則正しい生活を送れるのも障害者グループホームの利点です。家族がすべての面倒をみるのは現実的ではないものの、障害者施設ではルールが存在し、利用者は必ずこのルールに従うことになります。
例えば以下は、障害者グループホームでの1日の流れです。
- 6:00:起床
- 7:00:朝食、通所・通勤の準備
- 9:00:日中活動先へ通所・通勤
- 16:00:帰宅
- 17:00:入浴(順番)・洗濯など
- 18:00:夕食
- 22:00:消灯
一つの例であるものの、こうした規則正しい日々を送ることになります。なお休日では日中活動がなくなり、自分の部屋で過ごしたり、外出したりすることになりますが、起床や食事、消灯の時間は決まっています。
・一人で行えることを増やすように指導する
また障害者グループホームはスタッフがすべての家事を行うのではなく、そうじや洗濯など、できるだけ利用者が行えるように指導します。たとえ重度の障害者であっても、自ら洗濯を行い、洗濯物を干せるようにするのです。
いずれにしても、自分で行えるように指導するのが障害者グループホームです。そのため例えば軽度の障害者や寛解が可能な精神障害者など、こうした人は将来的に完全なる一人暮らしを行えることを目指します。
低収入の障害者がいきなり一般的な賃貸住宅に住むのは難しいです。一方で障害者グループホームを利用すれば、仕事や病気の症状を含めて一人暮らしを行える準備をしつつ、格安で生活できるのです。もちろん重度の場合、施設にずっと住み続けることになります。
家族の負担が消え、親亡き後問題も解決可能
障害者グループホームの利点としては、利用者本人が格安に住めて仕事を行い、規則正しい生活を送れるようになるだけではありません。家族にとっても大きなメリットがあります。
こうした障害者施設を利用すれば、当然ながら家族はそれ以上の介護をする必要がなくなります。多くの場合、親は働いています。働きながら障害をもつ子供の世話をするのは大変であり、人によっては介護疲れを起こしますが、この疲れから解放されます。
さらには、親亡き後問題も同時に解決できます。軽度の障害者や寛解を目指す精神障害者の場合、前述の通り将来的には一人暮らしを目指します。ただ重度の障害者や身体障害者、難病患者など、ずっと障害者であり、一人暮らしが困難なケースは多いです。
この場合であっても、障害者グループホームであればずっと格安で生活できるため、先に親が死亡したとしても子供は何も問題なく生きていくことができます。しかも前述の通り、お金の心配をする必要もありません。
障害者グループホームを利用するのは、親亡き後を含め、将来の問題を解決することも意味しています。そのため早めに障害者グループホームでの生活に慣れるため、多くの人が障害者施設を利用するというわけです。
なお身体障害者だと65歳未満で障害者グループホームを利用可能であるため、それまでに利用を開始する必要があります。64歳までにグループホーム入居やその他の障害福祉サービスを利用すれば、65歳以上になっても継続して利用し続けることができます。また、知的障害者や精神障害者は65歳以上であっても新規で障害者グループホームに入居可能です。
共同生活でのルールを守らなければいけないデメリット
ただ障害者グループホームを利用するにあたり、デメリットも存在します。デメリットとして挙げられるのは、障害者グループホームに存在するルールです。規則正しい生活を送るために必要なルールですが、行動の制限にもつながるのです。
例えば食事や門限の時間は必ず守らなければいけません。食事や門限の時間を過ぎても現れない場合、スタッフは「利用者に何か悪いことが起こっている」と考えて捜索します。また家族に連絡が行き、警察も動員して最終的には全国規模の捜索となります。こうした事態を避けるため、時間を厳守しなければいけません。
また外出は自由であるものの、門限があるので自由な恋愛はできません。あくまでも施設側が定めるルールに従う必要があるため、完全なる自由な生活はできないのです。
他にも、お風呂が共同利用の場合は順番での利用になります。シャアハウス形式の場合、これを避けることはできません。なお障害者グループホームでお風呂に入る場合、以下のように入浴中であることを示すことになります。
ちなみに、ルールを破ると強制退去の対象になります。例えば喫煙する人の場合、自分の部屋でタバコを吸うと退去勧告を受けるケースがあります。
複数の障害者で共同生活を送ることになるため、こうしたルールに従わなければいけないデメリットは理解しましょう。
近隣住民やほかの利用者とのトラブルという問題点
他の問題点としてはトラブルがあります。障害者グループホームには知的障害者や精神障害者が住んでいるため、隣の部屋からうめき声や独り言が聞こえてきます。ただ、これについては同じ障害者なので特に問題ありません。
しかし、場合によっては近隣住民とのトラブルに発展するケースがあります。この場合の対応については利用者というよりも、介護職員の仕事にはなりますが、近隣住民から苦情が来るのです。特に「他の健常者も利用しているアパート・マンション」の一部が障害者グループホームになっている場合、近隣トラブルが起こりやすいです。
また、利用者同士でトラブルに巻き込まれることもあります。例えば以下は、障害者グループホームで利用者が暴れた後の様子です。
障害者であるため、感情が爆発してしまうケースがあります。このとき近くにいなければいいですが、場合によっては危害を加えられることもあるのです。
他には、人によっては「ほかの利用者たちとなじめない」ことがあるかもしれません。そのため、こうした事態を避けるために体験利用などを通して障害者グループホームを利用する必要があります。いずれにしても、近隣住民やほかの利用者とのトラブルは問題になりやすいです。
空きは多くなく、障害の程度によっては厳しい
障害者グループホームの一番の問題点として、事業所の数が多くない点があげられます。そのため、いま住んでいる市区町村の中だけで探す場合、本当の意味で入居可能な障害者グループホームは存在しなくなります。
そのため通常、ほかの自治体を含めて障害者施設を探さなければいけません。例えば、東京に住んでいる人が神奈川や埼玉、千葉などへ住むのは何も問題ないはずです。いずれにしても、ほかの地域も視野に入れなければ優れた施設を見つけることはできません。
なお、このとき重要になるのが障害の程度です。障害者グループホームを利用するためには、障害支援区分が必要です。厳密には区分なしでも利用できるものの、この場合は利用料金が超高額になるため、区分がなければ格安での入居はできません。
そのため「障害者ではあるものの何も不自由なく生活でき、区分なし」の場合は障害者グループホームの利用が厳しくなります。
一方、区分認定を受けたとしても「常に医療が必要な人」の場合、受け入れ可能な障害者施設が非常に少なくなります。
障害者グループホームでは介護職員が常駐しているものの、看護師の配置基準はありません。そのため毎日の点滴が必要など、医療的ケアが必要な人は入居を断られることがよくあるのです。
この場合、医療ケアの提供が可能な障害者グループホームやその他の施設を探す必要があります。障害者グループホームを利用するとき、区分認定があっても、医療の問題で受け入れが難しいケースがあるのです。
障害者施設が優れる理由は多い
障害者グループホームはメリットが多く、格安で住むことができ、親亡き後問題も解決できます。また規則正しい生活を送れるため、早い段階で障害者施設を利用する人は多いです。
ただすべてにおいて、メリットがあればデメリットもあり、これは障害者グループホームも同様です。障害者グループホームでは定められたルールが存在し、さらには利用者とのトラブルを生じる可能性もあります。
このように問題点はあるものの、金銭面や親亡き後問題、仕事面など、障害者施設を利用する利点は非常に多いです。こうした理由により、多くの障害者がグループホームを利用しています。
これまで障害者グループホームを利用したことがない場合、「どんなところなのか?」と疑問に思います。そこでこれらのサービス内容やメリット・デメリットを理解して、最適な障害者グループホームを探しましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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