障害者グループホームを利用するとき、無期限で利用できることがあれば、3年など利用期間が限られていることもあります。
知的障害や精神障害、難病について、どれだけ症状が重く、将来の一人暮らしを想定しているかどうかで利用期限が変わります。グループホームは滞在型(無限で利用可能)、通過型(原則3年までの利用)と利用期間の種類があるのです。
なお障害者グループホームは自立を促すように支援する施設です。そのため、特に軽度の知的障害者・精神障害者であれば、無期限利用できる条件で入居しても、どこかのタイミングで一人暮らしを始めるのが基本です。
それでは、障害者施設の利用期間はどのようになっているのでしょうか。グループホーム利用の期限について解説していきます。
もくじ
利用期間には滞在型と通過型がある
例えば病院へ入院すると、ずっと入院することはほぼなく、通常はどこかの時点で退院します。ただ場合によっては、ずっと入院となるケースもあります。
これと同じように、障害者グループホームについても利用期限が設けられていることがあります。具体的には、以下の2パターンに分かれます。
- 滞在型:無期限で利用できる
- 通過型:原則3年までの利用
それでは、それぞれの形態について確認していきます。
無期限で利用できる滞在型
滞在型の障害者グループホームの場合、特に期限が決められておらず、ずっと住むことができます。障害者グループホームは格安にて、介護職員による支援を受けながら生活できるため、働けない障害者であっても生活が守られます。
特に期限が決められていないため、知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者にとって、安心して障害者施設で暮らせます。
無期限である以上、途中で追い出されることはありません。より正確には、契約違反がなければずっと入居できます。
障害者グループホームによって退去勧告の基準は異なりますが、「ほか利用者への暴力や窃盗」「入居費用の未払い」などがない限りは問題なく住み続けることができるというわけです。
なお「入院が必要になった」「医療的ケアが必要になり、ほかの施設へ移らなければいけない」など、ほかの理由によって退去が必要になるケースもあります。ただこうした場合を除き、同じグループホームにずっと入居できるのが滞在型です。
3年の期間限定となる通過型
それに対して、3年など期間限定となる障害者グループホームも存在します。こうした形態を通過型といいます。
滞在型とは異なり、通過型ではずっと障害者グループホームへ入居できるわけではありません。特別な理由がない限り、3年が経過する時点で退去し、一人暮らしを始めなければいけません。
障害者グループホームでは、自立した生活ができるように支援します。そのため通常、障害の軽度や重度に関わらず施設の利用者は平日の昼間に仕事へ出かけます。また休日には、利用者全員で外出して公園へ出かけることもあります。
もちろん、中にはうつ病や統合失調症などの病気によって、休息が必要な人もいます。ただ、こうした人であっても症状が落ち着いてくれば、徐々に社会復帰を考えなければいけません。
そこで3年という限られた期間の中で社会復帰し、一人暮らしできるように支援するのが通過型です。期限なしにずっと同じ場所でダラダラと生活するのではなく、期限を区切り、その中で社会復帰できるようにするのです。
滞在型と通過型は重症度や判断によって異なる
それでは、滞在型と通過型はどのように選べばいいのでしょうか。重度の知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の場合、通常は滞在型となります。またダウン症や自閉症などの先天性疾患、脳機能障害など、完治が無理な場合についても滞在型になるケースが多いです。
一方で将来的に単身生活を希望する場合、通過型のグループホームを利用することになります。特にある程度は自分で日常生活を行える身体障害者や軽度の知的障害者、うつ病・統合失調症を発症した精神障害者であれば、将来的には一人暮らしを目指すことになります。
例えば大人になってうつ病や統合失調症を発症した人であれば、病気が寛解し、症状が現れなければ健常者と同じです。いまは症状が重くても、症状が落ち着けば社会復帰できるため、こうした人は通過型を利用するケースが多いです。
ただ年齢が高く、単身生活が難しいと判断される場合、通過型ではなく滞在型になるケースもあります。要は、将来的に一人暮らしが可能かどうかが一つの判断基準になります。
滞在型でも一人暮らし&退去はよくある
それでは、滞在型のグループホームを利用すれば無条件でずっと住み続けることが可能なのかというと、必ずしもそういうわけではありません。
障害者グループホームで生活をすることにより、症状が落ち着いていったり、一人で行えることが増えたりするケースはよくあります。生まれつき重度の障害がある場合は難しいものの、軽度だと一人暮らしできるまでに成長・回復するのは普通なのです。
こうして仕事を行えるようになり、一人暮らししても問題ない状態となれば、たとえ滞在型であってもグループホームを卒業することになります。
なお、こうした卒業が悪いのかというと、むしろ喜ばしいことです。障害者グループホームではルールが存在するため、例えば恋愛や結婚は難しいです。一人での旅行も厳しいです。一方で完全に一人暮らしできるようになれば、旅行や恋愛、結婚を含めてすべて自由です。
知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で重度だとグループホームの卒業はなかなか難しいですが、そうでない場合、滞在型や通過型に関係なく、一人暮らしできることを目指すのです。
通過型ならグループホームで一人暮らしをしてもいい
なお通常、滞在型でも通過型でも、複数の障害者が一つの家で生活するのが一般的です。一軒家であれば必ずシェアハウス形式になりますし、これはアパート・マンションであっても同様です。
ただアパート・マンションによっては、浴室やトイレが共同ではなく、それぞれの部屋が完全に分かれており、すべてのワンルームに浴室やトイレ、キッチンが備え付けられているケースがあります。この場合、以下のような構造となります。
こうした障害者グループホームの場合、ほかの障害者と共同生活というよりも、一人暮らしに近い形になります。また交流スペースがあるため、ほかの利用者と集まって会話することもでき、さらには介護スタッフによる支援もあるので孤立することはありません。
もちろん、シェアハウス形式に比べると交流の頻度は落ちてしまうものの、ワンルームによって格安で一人暮らしを行い、社会復帰を目指す方法もあるのです。特に将来の単独生活を考えるのであれば、通過型の中でも、ワンルームにて一人暮らし可能な障害者グループホームを見据えてもいいです。
通過型で過ごしたが、単独生活が難しい場合はどうなる?
それでは、通過型の障害者グループホームを利用して3年が経過したものの、民間の賃貸住宅で生活するのが難しい場合はどうすればいいのでしょうか。軽度の知的障害者や精神障害者を含め、すべての人が3年で単独生活できるまでに成長・回復するわけではありません。
通過型のグループホームを利用後、最も多い退去先は一般の賃貸住宅です。ただ、その次に多いのが滞在型グループホーム、その次が実家の順番です。
つまり通過型のグループホームを利用したものの、3年では一人暮らしが難しい場合、滞在型のグループホームを利用するというわけです。要は、生活が厳しい状態のまま強制的に社会へ放り出されるわけではありません。継続して障害者グループホームを利用できるため、生活は守られます。
また場合によっては、実家に戻るケースもあります。通常は滞在型のグループホームを利用することになるものの、実家という選択肢も可能です。
障害者施設で滞在できる期間を学ぶ
障害者グループホームへずっと滞在できるケースがあれば、原則3年など利用期限が決まっているケースもあります。滞在型と通過型によって、障害者グループホームの利用期限が存在するのです。
通常、症状が重かったり、高齢・寛解の見込みがなかったりする場合、滞在型になります。一方で「軽度の知的障害者」「うつ病や統合失調症の精神障害者」「ある程度、自分で行える身体障害者や難病患者」であれば、単独生活を目指すので通過型になるケースが多いです。
ただ3年が経過しても単独生活が難しい場合もあります。そのときは通過型から滞在型へ変更できます。そのため慌てる必要はなく、通過型であっても徐々に社会生活できるようになればいいです。
障害者グループホームでは、このように期限が設けられていることがあります。滞在型がいいのか、通過型がいいのかは人によって異なりますが、利用期限の存在を理解して障害者グループホームを利用しましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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