傷病手当金の申請では、必ず書類を作成しなければいけません。このとき、通常は会社経由での申請になります。
ただ場合によっては、会社側が書類作成を嫌がるケースがあります。この場合、適切な対処法を理解しなければいけません。また傷病手当金が会社経由で振り込まれることもあり、この場合は振込タイミングが通常よりも遅れます。
それでは、会社経由で申請する傷病手当金について、どのように考えればいいのでしょうか。傷病手当金を会社経由で手続きする方法について解説していきます。
もくじ
通常、申請は会社経由になる
傷病手当金を利用するとき、特別な理由がない限りは会社経由になります。この理由として、傷病手当金には会社の記載欄があるからです。傷病手当金では、必ず以下の人が記入しなければいけません。
- 申請者本人
- 会社
- 医師
事業主欄では、給料の支払い状況や欠勤状況、社会保険への加入状況などの記載があります。そこで申請者本人や医師が記載した後、会社で書類を完成してもらい、会社経由で傷病手当金へ申請するのです。
在籍中でも退職後でも、すべての人で勤務状況を証明しなければいけません。そのため会社へ依頼しての記載は必須であり、会社経由での申請が一般的になります。
協力してくれない場合は何がある?
ただ中には、会社側が書類作成に協力してくれないケースがあります。事業主が協力してくれないケースとしては、例えば以下があります。
・会社が制度を把握していない
規模の大きい会社であれば、それまで何度も対応したことがあるため、人事・総務へ伝えればすべての手続きをしてくれます。ただ規模の小さい会社では、傷病手当金の申請が初めてであり、どのように記入すればいいのか分かっていないケースがよくあります。
・会社が社会保険料をごまかしているケース
もし事業者が「社会保険料の過少申告をしている」など不正に脱税している場合、傷病手当金の申請を嫌がります。傷病手当金の申請を行うことにより、会社の不正がバレてしまうからです。この場合、会社は協力してくれない可能性が高いため、協会けんぽなどに相談しましょう。
・会社による単なる嫌がらせ
あなたと会社が対立関係にある場合、事業者側の嫌がらせによって傷病手当金の書類を記載してくれない可能性があります。会社との関係性が悪いと、申請書を書いてもらいにくくなります。
書いてくれない場合の対処法
それでは、会社に依頼しても申請書を記載してもらえない場合、どのようにすればいいのでしょうか。方法としては以下があります。
・自分でほとんどを完成させる
事業所の証明部分について、大部分をあなたが記載しましょう。ただ、会社の印鑑は必ず事業所に押してもらわなければいけません。そこで、「印を押してもらうだけで書類が完成する状態」に仕上げておき、この状態で会社に依頼します。
・第三者へ相談する
ただ会社の嫌がらせによって書いてもらえない場合、たとえ自分で書類を記載しても協力してくれません。その場合、保険者(健康保険組合や協会けんぽ)へ相談しましょう。これにより、会社に対して協力依頼の書面を送付してくれたり、給与明細などの客観的な書類を提出することで審査が進んだりします。
保険者によって対応は異なるものの、まずは健康保険組合や協会けんぽなどに相談するといいです。
なお、それでも無理な場合は弁護士や社労士などの専門家に相談する必要があります。専門家へ依頼するのはお金を出すことになるものの、これによってようやく企業側が動いてくれるようになります。
振り込みは直接または会社経由
なお傷病手当金の申請書を提出すると、不備がなければ振り込みが行われるようになります。このとき、あなたの銀行口座に直接振り込まれます。または、会社経由で傷病手当金が振り込まれるケースもあります。
このとき、直接振り込まれる場合は書類を提出して2週間ほどで振り込みになります。大まかな目安としては、以下のように考えましょう。
書類の提出時期 | 初回の振り込み | 2回目以降の振り込み |
1~10日 | 同月末ごろ | 翌月末ごろ |
11~20日 | 翌月中ごろ | 翌々月中ごろ |
21~31日 | 翌月末ごろ | 翌々月末ごろ |
一方で会社経由にて振込の場合、これよりも支払日は遅くなります。いつ支払われるのかは会社によって異なるものの、会社が傷病手当金を受け取った後、給料支払い日に傷病手当金を受け取るのが一般的です。
社会保険料の関係で会社経由は一般的
なお、振込日は遅くなるものの会社経由で傷病手当金を受け取るのは普通です。理由としては、社会保険料の支払いがあります。
傷病手当金を受け取るとき、会社に在籍中の場合は社会保険料の支払いが必要になります。退職後であれば関係ないものの、たとえ傷病手当金を受け取る人であっても社会保険料の免除はありません。
そのため傷病手当金を直接受け取る場合、後であなたが会社へ社会保険料の分を送金しなければいけません。
ただ、こうした手続きは面倒です。そのため、まずは会社が傷病手当金を受け取り、社会保険料の分を控除したうえで残額があなたに支払われます。この方が確実であり、あなたの手間も少ないため、振込日を遅くなるものの会社経由で傷病手当金を受け取るのは優れます。
会社経由で傷病手当金を活用する
多くの場合、傷病手当金へ申請する場合は会社経由になります。会社の記入欄があるため、必要書類を集めた後に会社へ依頼して申請してもらうのです。
ただ場合によっては、事業者が記載方法を把握していないと嫌がることがあります。特に、申請者本人と会社が対立している場合、傷病手当金の申請書を書いてくれないケースがあります。どうしても書いてくれない場合、保険者(健康保険組合や協会けんぽ)や弁護士などへ相談しましょう。
また、傷病手当金の受け取りは直接または会社経由です。会社経由の場合、いつ振り込まれるのかは会社によって異なるものの、社会保険料の手続きがない分だけ手間を省けます。
傷病手当金は会社経由の申請が一般的であるからこそ、事前に理解するべきことがあります。そこで、どのように傷病手当金を受け取ればいいのか把握しておきましょう。