精神疾患は一般的な病気であり、その中でもうつ病・双極性障害や適応障害は多くの人が発症します。また適応障害はうつ病の手前となる精神疾患であり、適応障害からうつ病となるケースはよくあります。
そうしたとき、うつ病や適応障害で会社を休み、十分に働けなくなることがあります。この場合、傷病手当金を利用できます。
それでは、うつ病・双極性障害や適応障害で傷病手当金を活用するとき、どのように考えればいいのでしょうか。正しい手順があるため、正しく公的制度を利用することでお金を受け取り、うつ病や適応障害で働けない間も生活できるようにしましょう。
もくじ
うつ病・双極性障害や適応障害は傷病手当金の対象
働いている人にとって、最も一般的な病気の一つがうつ病や適応障害です。どちらも抑うつ状態となりますが、適応障害からより症状の重いうつ病への移行も一般的であり、いずれにしても十分に働くことができません。
そうした精神疾患で働けない場合、傷病手当金を利用できます。休職前・退職前に3日連続して休んでいる場合、傷病手当金の対象になります。
ザックリと給料の3分の2が出されるため、その後に生活をまったく送れなくなることはなくなります。そこでうつ病・双極性障害や適応障害で働くことができず、長期休職で会社からお金を受け取れない場合、傷病手当金を積極的に活用しましょう。
パワハラなど業務内の理由でも傷病手当金は普通
このとき、うつ病・双極性障害や適応障害を発症してしまった原因として、パワハラやセクハラ、職場でのいじめなどが原因であるケースは多いです。
傷病手当金の受け取りというのは、業務外での病気やケガのときに活用できます。そのため、例えばパワハラが原因にる精神疾患の発症では、傷病手当金を利用できず、労災保険での利用になります。
ただ精神疾患を理由とする労災の認定では、半年以上などそれなりに時間がかかります。また労災となるためには、会社側が「パワハラやいじめがあった」と認める必要があり、現実的に難しいです。裁判をすれば可能かもしれませんが、裁判結果が1年先になるのは普通です。
またうつ病や適応障害によって抑うつ状態になっているにも関わらず、そうした面倒な作業を行うのは現実的ではありません。
そのため実際の原因はパワハラやいじめなど業務中のストレスが原因であっても、業務外の理由によるうつ病や適応障害の発症として傷病手当金を利用するのが一般的です。
退職後でも受け取りでき、失業保険へ切り替えできる
うつ病や適応障害で傷病手当金を利用するとき、結局のところ、いまの会社を退職する人が非常に多いです。仕事のストレスによってうつ病・双極性障害や適応障害を発症した人は非常に多く、この場合はいまの会社に戻っても再発する可能性が非常に高いからです。
同じ会社に戻る場合、パワハラやいじめを含め、仕事をするときのストレスは改善されません。そこで、いったんは退職するというわけです。
このとき、退職後であっても傷病手当金を受け取ることができます。ただ傷病手当金は1年6か月の期間であるため、期間が経過すれば切れてしまいます。
そうしたとき、傷病手当金が切れた後は失業保険を活用しても問題ありません。外に出れないほどうつ病の症状が重い場合は利用できないものの、ハローワークで申請することで失業保険を利用できます。
通常、失業・退職して1年以内に失業保険へ申請しなければいけません。ただ延長手続きが可能であるため、こうした手続きによって「傷病手当金が終わった後に失業保険を受け取る」ことが可能になります。
医師の証明をもらい、傷病手当金へ申請
そこで医師の診断書をもらい、傷病手当金へ申請しましょう。うつ病・双極性障害や適応障害の診断が下り、傷病手当金の申請書に医師による証明をしてもらうのです。
傷病手当金の申請では、診断書の提出は不要です。ただ医師によるサインが必要であり、申請書に記載してもらうのです。その後、会社の人事担当者などへ提出すれば手続きが進みます。または、申請書を協会けんぽ支部へ送っても問題ありません。
このとき、うつ病・双極性障害や適応障害で抑うつ状態があったとしても、必ず以下を行うようにしましょう。
- 退職前に医療機関を受診し、初診日を作る
- その他の補助制度を利用する
それぞれについて確認していきます。
必ず退職前に医療機関を受診するべき
うつ病・双極性障害や適応障害では、前述の通り、結局のところいまの職場を退職する人が非常に多いです。そうしたとき、休職中であれば特に問題ないものの、退職するのであれば必ず行うべきことに「退職前の医療機関の受診」です。
抑うつ状態が続く場合、たとえ外へ出る気力が薄くても、必ず退職前に医療機関を受診することで初診日を作りましょう。
うつ病や適応障害で初めて医療機関を受診した日を初診日といいます。当然ながら、初診日よりも前の状況を説明することはできず、初診日よりも前の状況について「就労不可な状況であった」と申請書にサインすることはできません。
また前述の通り、傷病手当金の申請では3日以上を休んでいる必要があります。そのため傷病手当金を受け取るためには、退職日よりも4日以上前に初診日がなければいけません。
精神疾患では、その他の補助制度も重要
また退職日よりも前に初診日があるのは、他の制度を利用する場面でも重要です。実際のところ、うつ病では数年と長い治療期間になるケースもよくあるからです。そこで、より長く給付金を受け取ることで生活できるようになる必要があります。
適応障害では対象になりませんが、うつ病であれば障害年金の対象になります。このとき、初診日が退職前の場合、会社員・公務員なので障害厚生年金の対象になります。
退職後に初診日がある場合、社会保険(厚生年金)の加入ではないので障害基礎年金になりますが、障害厚生年金のほうが得られる金額は非常に大きくなります。
傷病手当金の期間が切れた後、障害年金に頼る精神障害者は多いです。そのため、退職前に初診日を作るのは非常に重要です。
・障害福祉サービスを利用する
このとき、適応障害であれば「仕事はできないものの、日常生活は問題ない」という人がたくさんいます。一方でうつ病・双極性障害の場合は洗濯や食事、トイレでさえも抑うつ状態によって不自由になり、日常生活が困難になります。
実家暮らしや配偶者がいるなら、手助けしてくれる人がいます。ただ一人暮らしなど、こうした人では生活を送れません。そこで、障害福祉サービスの一つである障害者グループホームを利用するのは一般的です。
退職後の低所得者ではサービス料が無料となり、国や自治体から家賃補助を得ながら生活できます。またシェアハウス形式なので、食費や水道光熱費は最安値になります。さらに、介護スタッフによる援助があるため、抑うつ状態が強い精神障害者であっても生活できます。
またうつ病・双極性障害や適応障害の状態が改善してきた場合、就労継続支援A型・B型や就労移行支援などの障害福祉サービスを利用し、社会復帰を目指すこともできます。
うつ病・双極性障害や適応障害を発症した後、すぐに症状が改善して社会復帰できるなら問題ありません。ただ、実際のところそうでない人は多く、その場合は傷病手当金以外の公的サービスについても積極的に利用し、日々の生活を送れるようにしましょう。
うつ病や適応障害で傷病手当金を受け取る
会社員・公務員で抑うつ状態になってしまい、仕事できないケースはよくあります。こうしたうつ病・双極性障害や適応障害について、仕事を休むことで傷病手当金の受け取り対象になります。
傷病手当金を利用するため、たとえ抑うつ状態が強かったとしても、必ず退職前に医療機関を受診し、初診日を作りましょう。これにより、たとえ退職後でも傷病手当金を受け取れるようになります。このとき、症状が軽いなら傷病手当金を受け取った後、失業保険へ切り替えていいです。
一方で十分に働けるほどの症状ではない場合、障害年金を利用するのが一般的です。退職前に初診日がある場合、障害厚生年金を活用できます。また精神障害者では毎日の生活が大変なため、障害福祉サービスも活用しましょう。
うつ病・双極性障害や適応障害を発症している精神障害者について、十分に働くことができず、治療には長い時間が必要です。そこで、働けない間は傷病手当金をうまく活用するといいです。
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