それまで健常者であっても、うつ病などの精神疾患を発症したり、大きなケガを負ったりして障害者になってしまうことがあります。そうした十分に働けない状態では、傷病手当金を利用することで給付金を受け取ることができます。
また精神障害者や身体障害者を含め、働けないことによって退職してしまう人がいます。その場合、失業保険の対象になります。
そうしたとき、傷病手当金と失業保険のどっちを利用すればいいのか気になります。これについては両方利用するべきですが、正しい活用法があります。そこで、どのように傷病手当金と失業保険の両方を利用すればいいのか解説していきます。
もくじ
傷病手当金と失業保険の同時併給はできない
精神障害者や身体障害者を含め、十分に働けない人は多いです。そうした人は傷病手当金や失業保険(失業手当)を活用できます。
ただ、傷病手当金と失業保険を同時併給することはできません。それなりに高額なお金を得ることになり、傷病手当金と失業保険を同時併給するとなると、働いているときよりも高額なお金を得ることになります。
そうした状況は明らかに変であるため、傷病手当金と失業保険は同時併給できません。あくまでも「働けない間の一時的な給付金」であるため、働いていたときよりも多くの給付金を得られないようになっています。
それぞれの制度は大きく異なる
このとき、傷病手当金と失業保険は制度が大きく異なります。大まかな違いとしては、以下のようになっています。
傷病手当金 | 失業保険 | |
得られる時期 | 休職中・退職後 | 退職後 |
受給期間 | 1年6か月 | 90~360日 |
金額 | 給料の3分の2 | 給料の50~80% |
病気やケガなどによって働けなくなり、休職または退職などの状況になっている場合に利用できる制度が傷病手当金です。物理的なケガだけでなく、うつ病などの精神疾患も含まれるため、多くの人で傷病手当金を利用できます。
それに対して、障害者かどうかに関係なく退職した人で利用できる制度が失業保険です。制度の目的が異なり、前述の通り両方を受け取ることはできません。
最初は傷病手当金を申請し、給付金を受け取る
ただ同じタイミングでの同時併給はできないものの、利用する時期をずらすことにより、傷病手当金と失業保険(失業給付)の両方を利用できます。手順としては以下になります。
- 最初に傷病手当金を利用する
- 退職後、失業保険の延長手続き
- 傷病手当金のあと、失業保険へ切り替え
傷病手当金については、休職中でも退職後でも利用できます。障害によっていつ職場を退職するのかタイミングは人によって異なるものの、まずは傷病手当金へ申請しましょう。これにより、退職後であっても継続して1年6か月の給付金を得られます。
もちろん、復職したら傷病手当金の対象外になります。ただ回復が難しい障害の場合、すぐの復帰は難しく、この場合は1年6か月を受け取れます。
退職したらすぐに失業保険の延長手続きをする
ただ失業手当には期限があり、原則として「離職日の翌日から1年間」が受給期間になっています。そのため傷病手当金を受け取るとき、退職して1年が経過すると失業手当の受給期間が過ぎてしまいます。
これを避けるため、退職したら失業保険の受給期間を延長させましょう。こうした手続きにより、退職からある程度の期間が経過したとしても、傷病手当金が切れた後に失業保険を受け取れるようになります。
失業保険の手続きはハローワークで行います。そこで、障害によって外へ出るのが大変であってもハローワークで延長手続きをしましょう。
病気の程度が軽く、すぐに復職または転職できる場合、延長手続きを考える必要はありません。精神疾患(うつ病や統合失調症など)であったり、身体障害を負ったりする場合、実際のところ何か月もの期間が必要になります。症状が重い場合、数年の期間が必要なケースもあります。
そこで、将来に失業手当を活用できるようにするため、退職後は早い段階で延長手続きを行いましょう。
待機期間を経て、失業保険に切り替え
そうして傷病手当金の受給期間が過ぎた後、失業保険へ切り替えになります。失業保険を得るためには、就職の意思が必要です。つまり障害者雇用でもいいので、働ける意思を示すのです。
このとき、医師の診断書によって「就労可能である」ことを証明する必要があります。そのため障害の程度が重く、まだ十分に働ける状況ではない場合、失業保険の受け取りはできません。失業保険を利用できるのは、あくまでも働けることを証明できる人のみとなります。
なお実際に失業保険へ申請するとき、すべての人で7日間の待機期間が発生します。7日間は何も給付金が発生しないものの、「申請日を含む7日間」の待機期間が満了した後、翌日から失業手当が支給されます。
「傷病手当金と失業保険でどちらが得なのか?」と考える人は多いですが、まずは傷病手当金を利用すればいいです。その後、失業保険を利用することで両方を活用できます。そのため、どちらが得かを考える必要はありません。
障害者手帳を有するなら、失業手当期の期間は長い
なお精神障害者や身体障害者について、障害者手帳を保有できます。そこで障害の程度が重く、すぐの復帰が難しいのであれば、どこかで障害者手帳を入手しましょう。
傷病手当金を受け取った後、失業保険まで利用する人の場合、障害が軽くなったとはいえ症状が残っており、障害者手帳を保有できていると思います。その場合、失業保険の利用で以下のように通常よりも期間を長くできます。
雇用期間 | 1年未満 | 2~9年 | 10~19年 | 20年以上 |
一般受給者 | - | 90日 | 120日 | 150日 |
障害者:45歳未満 | 150日 | 300日 | ||
障害者:45~64歳 | 360日 |
自己都合による退職であっても、障害者は就職困難者であるため、受給日数が長くなります。そこで、障害者手帳も利用することで失業手当を長く受け取りましょう。
どっちも使うことで給付期間を長くする
傷病手当金と失業保険について、どちらが得なのか考える人は多いですが、どっちも利用するといいです。両方の併用はできないものの、利用時期をずらすことによって傷病手当金と失業保険を活用できます。
最初に利用するべき制度は傷病手当金です。給料の3分の2になりますが、こうした給付金を1年6か月にわたって受け取りできます。
また退職後、失業保険の延長手続きをしましょう。これにより、傷病手当金が終了した後に失業保険へ切り替えできます。医師の診断書は必要になるものの、失業保険へ切り替えることで、待機期間を経て失業手当の対象になります。
障害の程度が重く、長く働けない場合に傷病手当金と失業保険の活用が最適です。そこで、正しい手続きをすることで両方を利用しましょう。
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