日常生活でタクシーを利用する障害者は少ないものの、病院への通院など必要な場面によってはタクシーを利用することがあります。

障害者手帳を保有している場合、タクシー代の割引があります。乗車時に障害者手帳を提示することにより、日本全国で障害者割引を利用できます。同乗者がいる場合であっても、障害者が乗るのであれば本人以外を含めて割引になります。

また障害者手帳によって福祉タクシー券(タクシーチケット)を活用できる自治体があります。この場合、無料にてタクシーを利用することもできます。

それでは、障害者がタクシーを利用するときはどのように考えればいいのでしょうか。障害者手帳によるタクシー代割引や福祉タクシー券について解説していきます。

1割引にてタクシーを利用できる

公共交通機関での移動ができず、さらには車を保有しておらず、親族の助けを得られない場合、タクシーでの移動が選択肢になります。タクシー利用は高額であるものの、知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で利用する人はいます。

障害者手帳を保有している場合、タクシー代の割引が可能です。タクシーの障害者割引について、全国一律で1割引となります。あらゆるタクシー会社にて、以下のように記されているはずです。

なお手帳の提示によって障害者本人が乗車していると確認されたにも関わらず、割引がなかった場合、道路運送法違反に該当します。2001年10月26日の国自旅第100号通達にて、「障害者手帳を有している人は割引率が1割」と明確に記されているからです。

稀に障害者割引を理解していないタクシー運転手がいるかもしれませんが、割引に応じない場合は法律違反であることを認識させましょう。もちろん、その場合は車のナンバーを写真で撮影しておくなどの対処が必要です。

タクシーでは乗車時に障害者手帳を提示

それでは、タクシー利用のどのタイミングで障害者手帳を活用すればいいのでしょうか。障害者やその付添人がタクシーを利用する場合、乗車時に障害者手帳(またはアプリ)を提示しましょう。降車時ではなく、乗車時に提示するといいです。

スムーズに障害者割引をしてもらうためにも、提示するタイミングを間違えないようにしましょう。目的地に到着した時点で障害者手帳やアプリを提示して値引きを依頼しても割引は可能であるものの、乗車時のほうがスムーズというわけです。

・障害者と同乗なら本人以外(付添人)がいてもいい

なお障害者が乗車していればいいため、このときは「障害者本人以外にも、付添人が一緒に乗車している場合」についても障害者割引が可能です。

自治体によっては福祉タクシー券での補助がある

なおタクシーを利用するとき、自治体によってはタクシー券が配布されることがあります。自治体によって制度が異なるため、タクシー券がないことはよくあるものの、利用できる場合は積極的に活用するといいです。

例えば京都市の場合、1枚500円の助成にて、年間48枚(年24,000円)のタクシー券を障害者に対して配布しています。京都市では、以下の障害者で利用できます。

  • 身体障害者手帳:1~2級
  • 療育手帳:A判定(IQ35以下)
  • 精神障害者保健福祉手帳:1級

このように重度の障害者のみ利用できる制度となっています。ただ自治体によって基準は異なるため、「いま住んでいる自治体にタクシー券の補助があるか」「どの程度の障害者で利用できるのか」を確認しましょう。

障害者割引と福祉タクシー券を併用する

なお障害者割引と福祉タクシー券(タクシーチケット)は併用できます。そこで、両方を活用してタクシーに乗車しましょう。またタクシーチケットを有効活用すると、無料にてタクシーを利用できます。

例えばタクシー代が2000円とします。この場合、障害者割引にて1割引となるため、支払うべき費用は1800円です。

またタクシーチケットが1枚500円の場合、3枚を利用すれば差額の300円の支払いで済みます。一方でタクシー券を4枚利用すれば無料にできます(おつりは出ない)。支払金額よりも多くのタクシー券を利用すれば無料になるため、障害者にとってタクシーチケットの利用は優れます。

なお福祉タクシー券の利用で格安または無料にてタクシー乗車できるとはいっても、タクシーチケットの枚数は限られています。そのため利用するにしても、「医療機関への通院でどうしてもタクシーを利用しないといけない」など、必要な場面のみ利用するといいです。

生活保護の障害者は医療利用で無料の場合がある

なお障害者で低所得者の人は多く、こうした知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で生活保護を受給している人がいます。生活保護については、「医療機関へ通うときに特定の条件を満たす場合、医療扶助にてタクシー代が出る」ようになります。

具体的には、以下のいずれかの人はタクシー代が出ます。

  • パニック障害など、公共交通機関を利用できない
  • 田舎に住んでおり、周囲に公共交通機関がない

生活保護の場合、通常は車を保有できません。また親族の助けを得られない場合、パニック障害では電車やバスに乗れないので通院できません。そのため、こうした人には例外的にタクシー代が生活保護費から出されます。同じことは、周囲に公共交通機関がない場合も同様です。

タクシー券とは異なり、生活保護のタクシー利用は特定の条件を満たす必要があります。ただ生活保護でタクシーでなければ通院が不可能な場合、タクシーチケットを利用しなくても無料にてタクシーを利用できるケースがあるのです。

障害者でタクシーを利用する

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者でタクシーを利用しなければいけない場面があるかもしれません。そこで障害者手帳を活用することにより、障害者割引を利用しましょう。障害者手帳またはアプリの提示により、1割引となります。

障害者本人が乗車しているのは当然として、本人以外に付添人(介護者)が乗車している場合についても障害者割引は有効です。

また障害者手帳の等級が重い場合、自治体によっては福祉タクシー券(タクシーチケット)を利用できます。障害者割引とタクシーチケットは併用でき、福祉タクシー券によってタクシー代を無料にすることもできます。

タクシー代は高くなりやすいため、障害者が利用できる割引やタクシーチケットを活用しましょう。これによって通常よりも安くなったり、無料にてタクシー乗車できたりします。

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