保護施設の一つに更生施設があります。障害者やホームレスを含め、生活が困難になっている人が入所し、独り立ちに向けて訓練する施設が保護施設です。

他の保護施設に対して、更生施設はあくまでも独り立ちが前提となっています。そのため障害者が利用するにしても、軽度の人が対象になります。そのため、すべての人で更生施設が優れるわけではありません。

それでは、更生施設の目的や入所方法、対象者はどのようになっているのでしょうか。更生施設とは何かについて解説していきます。

生活保護で利用できる更生施設の対象者

生活保護受給者が主に利用する施設として保護施設があります。これら保護施設の一つが更生施設であり、利用者のうち99.6%は生活保護です。生活保護というのは、更生施設を利用するために必要な条件と考えましょう。

このとき、それぞれの保護施設の目的は以下のようになっています。

  • 救護施設:障害者に住居と生活扶助を与える
  • 更生施設:障害者の独り立ちを目指す
  • 授産施設:就労や技能の訓練を行う

施設に住むことができれば十分な救護施設とは異なり、更生施設では将来の独り立ちが前提となっています。そのため、ある程度の段階で必ず退所することになります。

障害者やホームレスを含め、無職の利用になる

なお実際に更生施設を利用するとき、生活保護受給者という事実に加えて、日々の生活が困難になっている人が利用の対象者になります。健常者の場合、一般的な賃貸マンション・アパートに住めばいいからです。

更生施設の利用者というのは、障害者やホームレスなど日々の生活が困難な人がメインになります。例えば厚生労働省の資料によると、更生施設の利用者で障害者の割合は46.1%となっています。

参考までに、更生施設を利用している障害者について、障害の種類は以下のようになっています(重複回答あり)。

障害の種類割合
身体障害13.8%
知的障害8.6%
精神障害78.0%

※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業

精神障害者の利用がメインになりますが、こうした人が更生施設を活用しています。

・利用者はほぼ男性で女性は少ない

参考までに、更生施設の利用者はほぼ男性であり、女性はほとんどいません。男性と女性について、利用者の割合は以下のようになっています。

性別割合
男性92.3%
女性7.6%
無回答0.1%

※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業

このように、一般的に更生施設は男性が利用することになります。

1~2年で独り立ちする

なお実際に更生施設を利用するとき、前述の通り将来の独り立ちが前提となっており、どこかの段階で退所することになります。

更生施設を利用するとき、具体的には1~2年で退所するのが一般的です。更生施設の平均入所期間は1年4か月です。更生施設というのは、長く住み続ける施設ではなく、あくまでも独り立ちに向けて一時的に入所する施設と考えましょう。

救護施設や授産施設など、これらの保護施設では10年以上、同じ施設に住んでいる人がたくさんいます。それに対して、更生施設の目的・役割が独り立ちである以上、早めの退所になるのです。

なお前述の通り、独り立ちが条件になっていることから、たとえ生活困難者が入所するとなっても、障害の程度は軽めになりやすいです。例えばアルコール依存症やパニック障害、軽度のうつ病、軽度知的障害などが該当します。

参考までに、更生施設を利用する人で知的障害者の重症度は以下のようになっています。

療育手帳の重症度割合
A1(IQ20以下:最重度)0%
A2(IQ21~35:重度)0%
B1(IQ36~50:中等度17.9%
B2(IQ51~75:軽度82.1%

※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業

このように、軽度知的障害者の利用割合が圧倒的に多いです。こうした事実からも、更生施設では軽度の人がメインで利用し、1~2年の退所になることがわかります。

更生施設への入所方法は何か

それでは生活保護受給者が更生施設を利用するとき、入所方法としては何があるのでしょうか。保護施設を利用するとき、施設へ直接、申し込みをすることはできません。そうではなく、福祉事務所へ相談する必要があります。

生活保護を受給するとき、福祉事務所や市区町村の役所で相談する必要があります。更生施設も生活保護の受給が前提となるため、福祉事務所で申請をするというわけです。このとき、以下の流れになります。

  1. 利用のため、福祉事務所へ相談
  2. 見学を行い、入所申し込みをする
  3. 所持品・持参品をもって入所

第一ステップが福祉事務所での相談であるため、更生施設を考えている場合、生活保護の申請をしたときと同じ場所へ向かいましょう。

契約をした後、引越しをする

また福祉事務所から更生施設へ連絡が行き、実際に手続きが進むようになったら、見学をします。本人(や家族)が見学に行くことで、「どのような施設なのか」「施設のルールは何か」「どのような利用者がいるのか」などがわかります。

なお見学というのは、利用者が施設を確認するだけでなく、「更生施設側による利用者の確認」も重要になります。すべての人を受け入れ可能なわけではないため、更生施設の利用が適しているかどうか聞き取りによって判断されるのです。

このとき、必要であれば体験入所をしましょう。1~2年の期間限定ではあっても、それなりに長く住み続ける施設となります。そこで、事前に体験入所をすれば失敗を回避しやすくなります。

そうして利用者と施設の双方が承諾したら、更生施設へ入所となります。必要な荷物を持って引越しをすれば、更生施設での生活がスタートします。

なお、主な持参物としては以下があります。

  • 普段着・パジャマ
  • 靴(上履き、運動靴)
  • タオル
  • 日用品:歯ブラシ、コップなど

何をもっていけばいいのかについては、事前に更生施設に確認しましょう。そうして入所すれば、独り立ちに向けた訓練を開始できます。

生活保護で更生施設を利用する

更生施設とは、日々の生活が困難な生活保護受給者に対して生活扶助を提供する施設です。ただ他の保護施設とは異なり、将来の独り立ちが目的・役割になっています。基本的には、障害者やホームレスなどが利用する施設になります。

入所要件としては、生活が困難なことに加えて、障害の程度が軽度なことが挙げられます。これは、更生施設の利用者は1~2年で退所するのが一般的だからです。少なくとも、ずっと住み続ける施設ではありません。

そこで実際に無職の障害者やホームレスが更生施設を利用する場合、福祉事務所へ相談しましょう。これにより、更生施設を利用するための手続きに進むことになります。

保護施設の中でも、更生施設を利用する人がいます。そうしたとき、更生施設の目的や対象者、入所要件を把握したうえで活用しましょう。

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