生活保護を受給している人が利用する保護施設として救護施設や更生施設、授産施設があります。これら保護施設を利用するとき、生活保護受給者はすべて無料にて利用できます。

通常、生活保護であっても施設を利用するときは食費や水道光熱費を心配しなくてはいけません。ただ、これら保護施設では食費や水道光熱費についても心配する必要はなく、利用できるようになっています。そのため、利用料金は不要です。

一方で生活保護以外の場合、自費入所になります。少ないながらも生活保護以外で保護施設に入居している人がおり、この場合は自己負担が発生します。

それでは救護施設や更生施設、授産施設などの保護施設を利用するとき、利用者負担はどのようになっているのでしょうか。保護施設の費用負担について解説していきます。

生活保護は救護施設の利用料が無料

保護施設を利用する人はほとんどが生活保護の受給者です。また救護施設や更生施設、授産施設を利用する人の多くは障害者であり、日常生活に困難を抱えている人になります。

生活保護の場合、さまざまなサービスが無料になり、さらには生活費が出されます。日々の生活は生活扶助費によって可能ですし、住む場所は住宅扶助費によって賄われます。

これと同様に、生活保護受給者が保護施設を利用するときはすべての自己負担がなく、ゼロ円にて利用できます。そのため、生活が困難な低所得の障害者が利用者負担を心配する必要はありません。

なお厚生労働省の資料では、生活保護の受給者割合は救護施設で99.4%、更生施設で99.6%、授産施設で73.7%です。このような統計データを確認すると、保護施設の利用者は生活保護が前提であり、ほとんどの人が利用負担なしにて生活しているとわかります。

食費や水道光熱費は現物支給となる

なお救護施設を含め、保護施設では利用者に対して介護をしたり、日中活動を提供したりします。このとき、施設内で食事が出されますし、水道光熱費も発生します。

通常、障害者施設や老人施設では、食費や水道光熱費は利用者(障害者)の実費負担です。たとえ家賃について国や自治体から補助が出るにしても、食事代と水道光熱費、その他の雑費は別に請求されるのです。

一方で保護施設については、基本的に食費や水道光熱費の負担も考える必要がありません。食費や水道光熱費、石けん・ティッシュペーパーなどの日用品については、現物支給によって生活扶助費にてすべて賄われるからです。

・一時入所では1日の費用が日割りで発生

なお救護施設では、一時入所として短期間(原則7日間まで)の利用が可能です。この場合、生活保護受給者だとサービス料は無料であるものの、食費と水道光熱費について日割りで自己負担があります。

利用料金は施設によって異なりますが、一般的には1日1500~2000円ほどになると考えましょう。

医療費を含めて無料で利用

また救護施設や更生施設、授産施設を利用する人はほとんどのケースで医療機関への通院が必要になります。厚生労働省の資料では、保護施設で医療機関を受診している人の割合は救護施設で95.6%、更生施設で85.5%、授産施設で70.6%です。

多くの場合、保護施設の利用者は精神科や内科、整形外科などの受診になります。このとき、生活保護では医療扶助によって医療費が無料になると広く知られています。そのため、保護施設の利用者が医療機関へ出向いても無料です。

なお医療機関への通院は「施設側による送迎」または「本人が自力で出向く」がメインになります。重度の障害者も含めて利用される救護施設では、ほとんどの施設で送迎が実施されています。一方、保護施設や授産施設では自力で医療機関へ出向く人がそれなりに多いです。

生活保護以外は自費入所

前述の通り、保護施設を利用する人はほとんどが生活保護受給者です。ただ中には、生活保護以外の人もいます。この場合、施設に空きがあれば入所できるものの、生活保護ではないので自費入所になります。

障害者施設であれば、住民税の非課税世帯などの低所得者だと、生活保護でなくても国や自治体から補助があるため、障害年金だけでも十分に生活できます。一方で救護施設や更生施設、授産施設は生活保護以外に対する補助はなく、費用負担は全額自費になります。

・生活保護以外は障害者施設の利用が一般的

そのため住民税の非課税世帯を含め、生活保護以外は保護施設ではなく、障害者グループホームなどの障害者施設を活用するのが一般的です。

障害者施設の場合、保護施設と同様にスタッフによる介助があり、軽度から重度まですべての障害者で利用できます。また障害福祉サービスを利用することで日中活動も可能です。特別な理由がない限り、生活保護以外の人が自己負担ありにて保護施設を利用する意味はありません。

資産がなくなれば生活保護へ申請

なお例外として、既に保有する資産が非常に少ない場合、救護施設や更生施設、授産施設を利用するのは問題ありません。資産がなくなり、さらには低所得者であれば、その時点で生活保護の申請が可能になるからです。こうして、保護施設へ入居後に利用者負担をゼロにできます。

なお生活保護を受けるには、本人が低所得者であることに加えて、以下の資産を保有していないことが条件です。

  • 預貯金
  • 不動産:家、土地、田畑
  • 自動車
  • 貴金属
  • 高級ブランド品
  • 貯蓄性のある生命保険
  • 株・債券

これら資産性のある物品をすべて売り、さらには貯金がほとんどなくなれば、費用負担なしにて保護施設に住めます。

保護施設へ利用料金なしで住む

生活保護受給者は収入が少なく、障害者では自力での生活が困難になりやすいです。そうしたとき救護施設や更生施設、授産施設などの保護施設が活用されます。

保護施設へ生活保護受給者が入居する場合、自己負担はありません。また食事代や水道光熱費、その他の雑費は現物支給となり、生活扶助費にてすべてが賄われます。そのため、生活保護受給者は施設での費用負担を心配する必要はありません。

なお生活保護以外の場合、自費入所になります。補助金はないため、特別な理由がない限り、保護施設ではなく障害者施設など他の施設の利用を考えるほうがいいです。

保護施設を利用するとき、多くの人で利用者負担額を気にします。ただ費用負担・利用料金は生活保護受給者だとゼロ円であることを理解して保護施設を活用しましょう。

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