生活保護の障害者が入居できる施設に救護施設があります。ただ中には、救護施設から出たいと考える人もいます。
理由があって救護施設から退所する場合、その後の生活に向けた訓練をすることになります。また退去後は自宅やアパート・マンション、障害者施設などで過ごすのが一般的です。
それでは救護施設から出るには、どのようにすればいいのでしょうか。退所後の実情について解説していきます。
もくじ
救護施設の退所は問題なく可能
生活保護を受けている障害者で救護施設を利用している場合、長年にわたって救護施設に住むことができます。例えば10年以上、救護施設で生活するのは普通です。
ただ生活困窮者のための施設であり、中には救護施設を出たいと考える人もいます。この場合、退所したいことを伝えれば問題なく施設を出れます。
なお救護施設を出るには、家族や福祉事務所、医療機関と調整しながら行うのが一般的です。例えば厚生労働省の資料によると、退所時は91.1%の人で福祉事務所が調整役になっています。そこで理由があって救護施設を退所したい場合、事前に伝えるといいです。
居宅生活に向けた訓練(地域移行支援)を行える
なお救護施設では、施設内で障害者に対するトレーニング・訓練を実施します。そのため救護施設では作業訓練やリハビリ、クラブ活動などが行われます。
このとき退所希望者については、退所に向けた訓練が行われます。これを地域移行支援といいます。地域移行支援では、居宅生活を行う上での訓練が実施されます。
実家やアパート・マンション、障害者施設など、退所後にどのような場所に住むのかは人によって異なります。退所後に住む場所が障害者施設であれば、救護施設と同様に介護スタッフがいるため、特別な訓練は不要かもしれません。
一方、特にマンション・アパートなどで一人暮らしをする場合、すべての動作を障害者が一人で行わなければいけません。食事・洗濯・そうじだけでなく、日々の買い物も障害者が行います。そこで、それらを行えるように、地域移行支援として救護施設で事前に訓練しておくのです。
障害者であっても退所可能
なお救護施設に入居している人のうち、86.2%は障害ありです。つまり、ほとんどの利用者が知的障害者や精神障害者、身体障害者です。
それでは、退所者のうち障害者の割合がどうなっているかというと、厚生労働省の資料では以下のようになっています。
障害 | 割合 |
障害あり | 74.3% |
障害なし | 25.5% |
無回答 | 0.3% |
救護施設については、障害者の利用割合が86.2%なのに対して、障害ありの退所者は74.3%です。つまり、健常者(障害なし)のほうが退所している人の割合が高いです。
この事実は仕方ないものの、生活保護の障害者であっても退所している人はたくさんいます。そのため、たとえ障害者であっても必要であれば退所して問題ありません。
退所後、アパートでの一人暮らしが多い
それでは実際に地域移行支援を経て救護施設を退所するとき、どのような場所へ移り住む人が多いのでしょうか。一般的には、アパート・マンションになります。先ほどの厚生労働省の資料では、救護施設の退所後の居住先状況として「アパートなどでの生活」の人が24.6%で最も多いです。
なお中には、病院への長期入院によって強制退所となる人もそれなりに多います。例えば、退所後の居住先状況が病院である人は全体の20.2%です。一方で実家などに戻り、家族と一緒に暮らす人は1.4%と少ないです。
生活保護受給者であるため、家族の元に戻る人はほとんどいません。そこで、救護施設の退所後は家族に頼らず自らの力で生きていくのです。
障害者グループホームを利用してもいい
なお救護施設を退所するとき、新たな居住先として障害者グループホームなどの障害者施設を活用する人もいます。
老人ホームなどの高齢者住宅は一般的に高額であるため、条件を満たす物件は少ないです。一方で障害者グループホームは低所得者であっても格安にて生活できるように設計されており、軽度から重度まで、生活保護を受給しているすべての障害者で利用できます。
救護施設と同様に、複数の障害者で集団生活を送る施設が障害者グループホームです。ただ救護施設のように、一つの施設に50人以上など多くの人が生活しているわけではなく、一つの施設に2~5人と少人数になります。
元々の利用料が格安であり、救護施設と同様に介護スタッフが常駐しているため、たとえ障害の程度が重くても問題ないです。健常者では利用できませんが、知的障害者や精神障害者、身体障害者であれば誰でも利用できます。
どのような理由で保護施設を退去するのか
それでは、救護施設を退所する人はどのような理由で施設を退去するのでしょうか。厚生労働省の資料では、救護施設からの退所理由は以下のようになっています。
※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業
このように、退所後は居宅生活への移行(一人暮らしの開始)や他の保護施設・障害者施設にて生活する人がほとんどです。
生活保護を受けている障害者の状況によって、アパート・マンションでの一人暮らしが適切なのか、障害者グループホームなど他の施設が適切なのかは異なります。これについては、本人の状況や環境によって判断しましょう。
なおアパート・マンションで一人暮らしをするにせよ、障害者グループホームなど他の施設で生活するにせよ、退所の数か月前から退所に向けた準備をしなければいけません。生活保護を受け入れてくれる賃貸物件は少なくなりがちですし、障害者施設に入居するにしても事前に受け入れ可能な障害者グループホームを探さなければいけません。
救護施設の退去後の生活を考える
生活保護の障害者の場合、救護施設に入所した後、長く生活できます。ただ人によっては、退所したいと考えます。これについて家族や福祉事務所、医療機関との連携は必要であるものの、希望すれば問題なく退所できます。
このとき、退去後に一人暮らしを開始する人が最も多いです。たとえ障害者であっても、症状が回復すれば一人暮らしできます。または、障害者グループホームを含めて他の施設へ移動する人もたくさんいます。
ただ、すぐに退去できるわけではありません。事前に退去に向けたトレーニング(地域移行支援)が必要ですし、「退去後に住む場所」を事前に確保しなければいけません。これらの準備を整えた後、救護施設から出ることになります。
救護施設を出るのは可能であるものの、事前に考えるべきことがあります。そこで救護施設を出たいとき、どう対処すればいいのか事前に理解しておきましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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