生活保護受給者であれば、保護施設を利用できます。そうした保護施設の中でも、常に医療的ケアが必要な障害者で利用する施設が医療保護施設です。
医療保護施設というのは、要は病院になります。病院にて過ごすことにより、たとえ高度な医療が必要な状態であっても問題なく生活できるようになります。
それでは、医療保護施設の目的や役割、利用方法としては何があるのでしょうか。医療保護施設の活用法を解説していきます。
もくじ
生活保護が対象者の医療保護施設
保護施設を利用することにより、生活保護受給者は施設にて生活できるようになります。こうした保護施設には種類があり、医療保護施設はその一つです。それぞれの保護施設の目的は以下のようになります。
- 救護施設:障害者に住居と生活扶助を与える
- 更生施設:障害者の独り立ちを目指す
- 授産施設:就労や技能の訓練を行う
- 宿所提供施設:住まいの提供を行う
- 医療保護施設:医療の提供を行う
障害者の中には、難病患者や重症心身障害者を含めて常に医療が必要となる人がいます。その場合、一般的な施設では生活できません。そこで、医療保護施設を利用することで生活するのです。
病院が医療保護施設に該当する
それでは、医療保護施設とは何なのでしょうか。医療保護施設として専門の機関が存在するわけではありません。医療保護施設というのは、要は病院と考えましょう。一般人(健常者)や障害者が利用する総合病院の施設を活用して、医療保護施設として利用するのです。
そのため医療保護施設にて生活するというのは、病院生活を送るのと意味は同じです。
ただ一般的な病院での入院だと、できるだけ早く退院するように促されます。一方で医療保護施設としての入院であれば、通常よりも長く病院へ滞在できます。
医療扶助により、費用負担はゼロ
なお生活保護受給者が医療を利用する場合、無料であることは有名です。医療扶助により、医療費の全額が補助金として出されるのです。
これは、医療保護施設として病院を利用する場合も同様です。病院へ入院するときに無料になるのと同じく、医療保護施設として利用しているときについても生活保護受給者は利用料金が無料です。
生活保護では、すべての人でお金がありません。ただ、そうした低所得者で働けない障害者であっても、医療扶助によってお金の支払いなしに過ごせるようになっています。
利用の窓口は福祉事務所
それでは、医療保護施設を利用するにはどうすればいいのでしょうか。保護施設の利用では、まず福祉事務所に相談しましょう。
生活保護の受給では、必ず福祉事務所や市区町村の役所で相談します。医療保護施設は生活保護法が元になっているため、医療保護施設の利用についても同様に福祉事務所での相談になるのです。
医療保護施設の制度を利用しようとして病院へ問い合わせても受け付けてくれません。そうではなく、「福祉事務所から病院へ連絡が行き、医療保護施設として障害者を受け入れる」という手順が必要になります。
自由度は低く、プライベートはない
なお医療保護施設の利用を考えている障害者であれば、これまでに病院で入院したことが何度かあると思います。医療保護施設というのは、最重度の障害者が利用する制度になるからです。
病院での入院と同じになるため、当然ながら行動の自由度は低いです。例えばスタッフによる付き添いのもと、外に出ることは当然ながらできません。また大部屋をカーテンで仕切っている部屋にて生活することになるため、プライベートな空間はありません。
場合によっては、看護師や介護スタッフによる手引きにより、病院内を移動することはあるかもしれません。ただ、基本的にベッドから移動することもありません。
障害者施設とは異なり、病院では行えることが限られます。もちろん、お金を自由に利用できることはありません。そのため、日々の生活はどうしても不自由になりやすいです。
他の障害福祉サービスで代用可能
なお実際のところ、医療保護施設の制度を利用する意味があるかというと、ほとんどありません。理由としては、障害者向けのほかのサービスですべて代用できるからです。
ALSや筋ジストロフィー、重症心身障害者などで常に医療が必要な最重度の障害者について、療養介護を利用できます。療養介護は障害福祉サービスの一つであり、病院での入院と意味は同じになりますが、生活保護でなくても利用できます。
また市区町村の役所へ相談することで、その他の障害福祉サービスまで含めた利用が可能になります。また医療保護施設よりも、療養介護に対応している病院のほうが数は多いです。そのため同じ病院での入院であっても、通常は療養介護を活用して過ごします。
・障害者グループホームで過ごす人も多い
また複数の障害者が共同生活を送る場所として障害者グループホーム(共同生活援助)があります。障害者グループホームについて、難病対応の施設も存在します。
こうした障害者施設であれば個室にて過ごせますし、お金の使い方を含めた自由度は病院よりも圧倒的に高いです。また生活保護であれば、新たな費用負担なしに障害者グループホームで過ごせます。そのため、最重度の障害者はグループホームの利用を考えても問題ありません。
生活保護で医療保護施設を利用できる
生活保護受給者であり、さらには常に医療が必要となる障害者は医療保護施設を利用できます。対象者は最重度の障害者であり、病院にて過ごします。医療保護施設では医療が必要な人の利用を役割・目的としていますが、障害者の中でも特に重度の人が利用するのです。
生活保護の場合、医療扶助によって医療費が無料です。そのため医療保護施設として病院を利用するときについても、無料にて利用できます。
実際の入所では、福祉事務所へ相談することになります。ただ障害福祉サービスを利用すれば、療養介護によって医療保護施設と代用できます。または、障害者グループホームにて過ごすこともできます。そのため医療保護施設の利用よりも、障害福祉サービスの利用を検討すれば問題ありません。
医療保護施設の制度はあるものの、障害福祉サービスを利用すればいいため、そこまで重要な制度ではありません。ただ、最重度の障害者で生活保護受給者は医療保護施設を活用可能です。
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