生活保護や住民税の非課税世帯を含め、低所得者が利用する施設として無料低額宿泊所があります。それでは障害者やホームレスなどによって低所得者となっている場合、無料低額宿泊所を利用するにはどうすればいいのでしょうか。

役所での相談や自ら申し込むなど、利用方法を理解していないと無料低額宿泊所に入ることができません。また、実際の利用手続きを事前に学んでおく必要があります。

それでは無料低額宿泊所の入居条件や入り方はどのようになっているのでしょうか。無料低額宿泊所の利用方法について解説していきます。

生活困難者が使う無料低額宿泊所の利用条件

まず、無料低額宿泊所の利用条件はどのようになっているのでしょうか。入居条件は単純であり、「低所得者かどうか」です。つまり生活保護や住民税の非課税世帯など、収入が非常に低ければ問題ありません。

たとえいまは住民税の非課税世帯でなくても、例えば専業主婦だった人は離婚によって住民税の非課税世帯(または生活保護)となります。その場合、無料低額宿泊所の利用対象者です。

ちなみに、無料低額宿泊所の運営要件として以下があります。

  • 入居者を生計困難者に限定
  • 入居者総数のおおよそ5割以上が生活保護受給者
  • 入居時の契約が賃貸借契約以外の契約
  • 居室使用料・共益費以外の利用料を徴収し、食事などのサービスを提供
  • 家賃が生活保護の住宅扶助の基準額以下

いずれにしても、低所得者であれば無料低額宿泊所の入居条件を満たすと考えましょう。

障害者やホームレスなどが利用する

このとき、前述の通り生活困窮者が利用条件です。そのため「収入はあるものの、家賃を抑えるために無料低額宿泊所を利用したい」と考えても拒否されます。あくまでも、理由があって低所得者になってしまった人のみ利用できます。

そのため、無料低額宿泊所の利用者は例えば以下になります。

  • 仕事や住居を失った
  • 障害者:知的障害者・精神障害者・身体障害者
  • ホームレス
  • 犯罪者:刑務所からの出所後

仕事を急に失うことで生活困窮者になる人がいます。このとき借り上げ社宅に住んでいたのであれば、同時に住居も失ってしまいます。また障害者やホームレスの場合、多くの人で十分に働くことができません。

他には重い罪を犯してしまった人では、身寄りのない人がいます。この場合、刑務所からの出所後などで無料低額宿泊所を利用し、その後の生活の準備に入ることができます。

無料低額宿泊所への入り方:役所での相談や自ら見つける

それでは入居条件に当てはまっている人について、無料低額宿泊所への入り方としては何があるのでしょうか。犯罪者の場合、保護観察所から無料低額宿泊所に連絡が行き、そのまま入居になるケースがあります。

一方で犯罪者でない場合、役所経由での相談になることが多いです。例えば生活保護の相談をするとき、福祉事務所や市区町村の役所で相談することになります。このとき、役所から無料低額宿泊所へ連絡が行き、入居するというわけです。

なお無料低額宿泊所は都市部に集中して存在しており、地方都市での数は少ないです。そのため無料低額宿泊所を利用するために都市部への引越しが必要になる人もいます。このとき、無料低額宿泊所のリストを役所から提供してもらい、自ら問い合わせても問題ありません。

参考までに、無料低額宿泊所への入居者について、福祉事務所からの紹介で入居する人の割合は約6割です。それに対して、自ら無料低額宿泊所へ問い合わせて入居する人の割合は約2割です。

無料低額宿泊所は民間の団体(NPO法人など)が運営しています。そこで、自らそうした施設へ問い合わせをして、空きがあれば受け入れてもらえます。

手続きや利用方法:契約して引越しをする

そこで役所への相談または自ら問い合わせをすることで受け入れてくれる無料低額宿泊所を見つけたら、実際に利用手続きを開始します。

具体的には、無料低額宿泊所と事前に面談をした後に契約します。契約は1年を超えない期間となります。これは、無料低額宿泊所の利用期間が地域ごとに決められており、基本的には短い期間にて一時的に住むことを想定しているからです。

なお、無料低額宿泊所を利用するときに保証人は不要です。保証人なしでいいからこそ、ホームレスや身寄りのない犯罪者であっても無料低額宿泊所を利用できるのです。

そうして契約後、実際に無料低額宿泊所へ引越しましょう。こうした利用方法の流れにより、生活困窮者は無料低額宿泊所を利用できるようになります。

生活保護で利用するには引越し手続きが必要

なお生活保護ではなく、住民税の非課税世帯であれば、無料低額宿泊所への引越しは簡単です。無料低額宿泊所と契約したあと、引越しをすればいいからです。

また新たに生活保護を受給する場合であれば、無料低額宿泊所へ引越すときに問題は起こりません。失業やホームレスを含め、住む場所を確保できない人が新たに生活保護を利用し、一時的な避難場所として無料低額宿泊所を活用するのは普通です。

一方で既に生活保護を受けている場合、事前の手続きが必要です。生活保護では自由に引越しできないため、無料低額宿泊所へ引越したいことを福祉事務所へ伝えなければいけません。

そうして引越しの許可が下りれば、いま住んでいる場所から無料低額宿泊所へ引越しできるようになります。

契約したあと、次の入居先を探すべき

なお地域によって異なりますが、無料低額宿泊所を利用するにしても、早めに次の入居場所を検討しましょう。無料低額宿泊所というのは、長く利用するべき場所ではないからです。

もちろん人によっては、長く無料低額宿泊所を利用している人もいます。ただ当然ながら、無料低額宿泊所よりも賃貸マンション・アパートで暮らすほうがいいです。また障害者であれば、障害者グループホームを活用するほうが優れます。

無料低額宿泊所というのは、あくまでも一時的な滞在が望ましいです。参考までに、以下は厚生労働省による無料低額宿泊所での入居期間に関する調査結果です。

施設の利用期間割合
1か月未満4.2%
1か月~3か月未満7.0%
3か月~6か月未満8.8%
6か月~1年未満12.0%
1年~3年未満24.4%
3年以上37.4%
無回答など6.1%

※無料低額宿泊事業を行う施設の状況に関する調査結果について

無料低額宿泊所に1年以上、滞在している人は6割以上います。ただ本来、無料低額宿泊所はずっと住み続ける場所ではありません。そこで一般賃貸や障害者グループホームなどで過ごすことを考え、次の場所を早めに見つけるといいです。

利用方法や入り方を学び、無料低額宿泊所を活用する

生活保護や住民税の非課税世帯を含め、生活困窮者であることが無料低額宿泊所を利用する入居条件になります。こうした人としては障害者やホームレス、犯罪者、失業者などがいます。

実際に無料低額宿泊所へ入るには、多くの人で役所経由です。事実、福祉事務所からの紹介が無料低額宿泊所への入居で多いです。または、役所から無料低額宿泊所のリストをもらい、自ら問い合わせても問題ありません。

そうして空きのある無料低額宿泊所を見つけたら、無料低額宿泊所へ出向いて面談をします。そうして双方が納得したら契約となります。その後、引越しをすれば入居が完了します。

低所得者が無料低額宿泊所を利用するとき、これらの流れを理解しましょう。そこで日々の生活に困っており、住む場所を確保したい場合は無料低額宿泊所を活用するといいです。

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