生活保護で住居がない場合、無料低額宿泊所の利用が候補になります。そうしたとき、無料低額宿泊所の利用で個室になるのかどうかが気になります。このとき基本的には個室になり、タコ部屋で住むことはほぼありません。

また無料低額宿泊所は地域によって利用期限があり、さらには門限などのルールも異なります。施設で行われる支援の内容も違います。

無料低額宿泊所を利用するとき、事前にこれらの内容を把握しなければいけません。そこで、無料低額宿泊所の中身やルールについて解説していきます。

部屋は個室?アパートのタコ部屋は少ない

生活保護受給者が利用する無料低額宿泊所というと、アパートの中でも、学生寮のような場所でのタコ部屋を想像しがちです。タコ部屋として複数人が一つの部屋で生活していたり、簡易個室として一つの部屋を簡易的な壁で区切ったりしているのです。

ただ、いまではタコ部屋や簡易個室は少なく、基本的には個室での生活になります。以下のような部屋にて過ごすことになります。

無料低額宿泊所とはいっても、必ずしも劣悪な環境というわけではありません。そのため適切な無料低額宿泊所を利用すれば、日々の生活を問題なく過ごせます。

個室が無料低額宿泊所の開業規定に定められている

なお無料低額宿泊所が個室になることについて、無料低額宿泊所の開業規定に定められています。具体的には、無料低額宿泊所の開業で部屋について以下の規定になっています。

  • 5人以上が入居できる
  • 居室は定員を1人とし、天井まで達した堅固な間仕切壁と扉を有する
  • 居室は収納設備などを除いて7.43m2(約4.5畳)以上

このように居室の定員は1名です。また簡易個室を認めておらず、天井まである強固な仕切りを有する部屋でなければいけません。また部屋の広さに関する規定もあるため、極小の部屋に放り込まれることもありません。

簡易個室の場合、他施設を利用すればいい

以前であれば、学生寮のようなタコ部屋であったり、簡易個室ばかりだったりした時代がありました。ただ無料低額宿泊所について、2019年には「3年以内に無料低額宿泊所の簡易個室の解消を図ること」と国から通達が出ています。

また前述の通り、新規開業では個室のみしか認められていません。こうした事情があり、無料低額宿泊所の利用でタコ部屋や簡易個室はほとんどありません。

ただいまでも、昔から運営している無料低額宿泊所では簡易個室が残っている場合があります。しかしその場合、他の無料低額宿泊所を利用すれば問題ありません。

無料低額宿泊所を利用するとき、役所からの紹介だけでなく、自ら問い合わせて入居することもできます。実際、無料低額宿泊所へ入居する前では、必ず見学をすると思います。そのとき個室ではなく、タコ部屋や簡易個室だった場合、入居を断って他の施設を探せばいいです。

基本は一時的な入居であり、利用期間がある

なお個室のある無料低額宿泊所を利用するとして、ずっと無料低額宿泊所に住めるわけではありません。無料低額宿泊所というのは、あくまでも賃貸マンション・アパートへ移行するための一時的な住まいです。

そのため自治体によってルールは異なりますが、多くの場合、無料低額宿泊所の利用では入居期間があります。例えば、ガイドラインによって「原則として1年以内の入居」と決めている自治体は多いです。

なお実際には、原則入居が1年以内の自治体であっても、1年を超えて無料低額宿泊所にて生活している利用者はそれなりにいます。例えば以下は、厚生労働省による無料低額宿泊所の利用期間に関する調査結果です。

施設の利用期間割合
1か月未満4.2%
1か月~3か月未満7.0%
3か月~6か月未満8.8%
6か月~1年未満12.0%
1年~3年未満24.4%
3年以上37.4%
無回答など6.1%

※無料低額宿泊事業を行う施設の状況に関する調査結果について

このように、1年以上の利用者はたくさんいます。ただあくまでも、無料低額宿泊所は一時的な利用が原則であり、入居するにしても次に住む先を見つけることを考えなければいけません。

このとき健常者であれば、賃貸マンション・アパートが候補になります。障害者であれば、障害者グループホーム(共同生活援助)に住むのが一般的です。無料低額宿泊所を利用する人の場合、うつ病や統合失調症、パニック障害を含めて精神障害者の割合が高く、この場合は障害者グループホームにて格安で住めます。

または老人であれば、老人施設が選択肢になります。いずれにしても、こうした施設へ移ることを考える必要があります。

門限や施設のルールはそれぞれ異なる

このとき無料低額宿泊所ごとに、門限を含めた施設のルールは異なります。無料低額宿泊所というのは、基本的には住む場所を提供するだけの施設です。そのため、門限なしの無料低額宿泊所もあります。

ただ施設によっては門限を設けていることがあるため、これについては事前にルールを確認しなければいけません。このとき、入浴時間についてもルールがあります。

また無料低額宿泊所について、食事を提供していることがよくあります。このとき3食を提供している施設があれば、2食の提供になる施設もあります。また、食事提供のない施設もあります。食事提供がある場合、大まかな食事時間が決まっているため、時間に合わせて生活しなければいけません。

他には、外出が自由な無料低額宿泊所があれば、外出届を出さなければいけない施設もあります。これらのルールについては、無料低額宿泊所へ確認しましょう。

日常生活での支援の有無

なお、無料低額宿泊所で過ごすときにどのような日常生活での支援があるのかも異なります。これについて、厚生労働省の調査では以下のようになっています。

日常生活の支援ありなし無回答
相談支援90.6%7.4%2.0%
居宅生活への移行10.7%87.7%1.6%
食事の提供85.9%14.1%0.0%
服薬支援75.0%22.9%2.1%
通院同行90.8%7.4%1.8%
金銭管理68.3%29.9%1.8%

※無料低額宿泊事業を行う施設の状況に関する調査結果について

ちなみに、無料低額宿泊所は貧困ビジネスで活用される場合があります。そのため粗悪な無料低額宿泊所だと、「レトルト食品が提供されるだけの食事」「謎に高い管理費」など、生活保護受給者からお金を取ることだけを考えている悪徳施設もあります。

そうした場合は他の施設に移ったり、できるだけ早く賃貸マンション・アパートや障害者グループホームを利用したりしなければいけません。施設によって個室の様子やルールが異なるため、これについては理解しましょう。

無料低額宿泊所の部屋やルールを確認する

生活保護で住居がない場合、役所から無料低額宿泊所を紹介されます。このときタコ部屋や簡易個室は少なく、通常は個室への入居です。ただ古い無料低額宿泊所によっては簡易個室になることもあるため、その場合は拒否して他の施設を利用しても問題ありません。

なお無料低額宿泊所によってルールがあります。門限は施設ごとに違いますし、食事の提供も異なります。これらのルールについては、事前に確認するといいです。

また通常、無料低額宿泊所は一時的な利用になります。そこで無料低額宿泊所へ住むにしても、賃貸マンション・アパートや障害者グループホームなど、次に住む場所をできるだけ早く探すといいです。

実際のところ、無料低額宿泊所によって部屋の様子やルールは大きく異なります。そこで、こうした内容を理解したうえで無料低額宿泊所を活用しましょう。

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