住所不定者としてホームレスがいます。路上生活者に限らず、ネットカフェ難民についても住所不定なのでホームレスといえます。
こうしたホームレスについて、生活保護の保護施設を利用できます。保護施設には救護施設や更生施設などがあり、これらの施設に住むことでホームレスから脱することができるのです。
それでは、ホームレスが救護施設や更生施設への入居を考えるとき、どのように行動すればいいのでしょうか。ホームレスの保護施設利用について解説していきます。
もくじ
生活困難者が利用する保護施設
生活保護を受給しており、さらには自力では生活困難な人が保護施設を利用できます。要は、知的障害者や精神障害者、身体障害者が救護施設・更生施設を活用します。
実際のところ、ホームレスでは精神障害者や軽度の知的障害者が多いです。そのため、こうした人は保護施設の利用対象者になります。精神障害者には発達障害やパニック障害、アルコール依存症なども含まれ、多くの人が対象になるのです。
また完全なる健常者であっても、ホームレスでは自立した生活を行うのが困難な人がそれなりにいます。この場合、生活困難者として、救護施設や更生施設の利用対象者になります。
通常、保護施設は規模が大きく、一つの施設内に50人以上が生活します。こうした救護施設や更生施設を利用することで、生活保護を活用しながら日々の生活を送れるようになります。
必ずしも無料低額宿泊所ではない
なおホームレスが役所で生活保護の相談を行い、新たに住み始めるとき、一般的には役所から無料低額宿泊所を紹介されます。失業者や障害者、ホームレスを含めて、住居のない人に対して一時的に利用する施設が無料低額宿泊所です。
無料低額宿泊所を利用する場合、通常は個室です。ただ以前から運営されている無料低額宿泊所では、極小の部屋が残っていることがあり、場合によっては劣悪な環境にて生活しなければいけないケースがあります。
また救護施設や更生施設とは異なり、無料低額宿泊所では生活扶助が提供されません。つまり介護スタッフによる援助はなく、無料低額宿泊所ではあくまでも住む場所が提供されるだけと考えましょう。
・保護施設で相部屋は多い
なお住む部屋という意味では、救護施設や更生施設の場合、個室になるとは限りません。例えば救護施設を利用するとき、カーテンで仕切られた2~4人の相部屋になることはよくあります。そのため部屋の環境という意味では、必ずしも個室ではないため、無料低額宿泊所と大きな違いはありません。
ただ救護施設や更生施設では、常に介護スタッフがいます。そのため介助が必要な障害者であっても利用でき、無料低額宿泊所のように住む場所が提供されるだけではありません。その点、無料低額宿泊所と保護施設は大きく異なります。
また、無料低額宿泊所は貧困ビジネスで悪用されやすい側面があります。そのため食事の内容が簡素でまずいにも関わらず、利用者の手元にお金がほとんど残らないケースがあります。一方で救護施設や更生施設が貧困ビジネスを行うことはないため、少なくとも利用者が貧困ビジネスに巻き込まれることはありません。
役所で申請し、救護施設や更生施設を利用する
実際に救護施設や更生施設を利用する場合、役所で申請する必要があります。生活保護法を元にしている施設が救護施設や更生施設です。そのため、生活保護の申請と同時に保護施設の利用を依頼しなければいけません。
生活保護の申請は福祉事務所や市区町村の役所で行います。そこで、保護施設の利用についても福祉事務所へ出向きましょう。
生活保護の申請で住所がない場合、前述の通り通常は無料低額宿泊所を紹介されます。ただ、ホームレスでも保護施設を利用できます。そこで救護施設や更生施設を希望する場合、これらの施設に空きがないか確認してみるといいです。
長く施設に住める救護施設
生活保護の障害者が住む施設の中でも、生活扶助の提供を目的にして救護施設が利用されます。救護施設では、生活保護の障害者を住まわせることができれば十分です。また期間は決められておらず、救護施設に長く住む人は多いです。
事実、救護施設の平均入所期間は11年2か月です。厚生労働省の資料では、以下の入所期間になっています。
入居期間 | 割合 |
1年未満 | 13.4% |
1年以上、2年未満 | 11.5% |
2年以上、3年未満 | 8.4% |
3年以上、4年未満 | 7.2% |
4年以上、5年未満 | 5.4% |
5年以上、10年未満 | 19.2% |
10年以上 | 34.8% |
※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業
また救護施設にはうつ病や統合失調症、アルコール依存症などの精神障害者に加えて、知的障害者、身体障害者など、さまざまな人が生活しています。また、障害の重症度は人によってバラバラです。いずれにしても、こうした施設にて住所不定のホームレスは住むことができます。
将来の独り立ちが前提の更生施設
ただホームレスの中には、わりと健常者に近い人もいます。この場合、ずっと施設で生活するよりも、どこかの段階で独り立ちをして生活するほうが適切です。そうしたとき、救護施設ではなく更生施設を利用します。
救護施設と同様に、更生施設でも生活困難者に対して生活扶助を提供します。ただ救護施設とは異なり、更生施設では将来の独り立ちを前提にしています。つまり、入所して1~2年ほどで更生施設を出ると考えましょう。
事実、更生施設の平均入所期間は1年4か月です。救護施設に比べて入所期間が非常に短いのは、自らの力で生きていくことを目的としているからです。
なお更生施設を利用するとき、人によっては「2年ほど更生施設で過ごしたものの、賃貸マンション・アパートで一人暮らしをするのは不安」という人もいます。その場合、障害者グループホーム(共同生活援助)を利用して問題ありません。
救護施設や更生施設とは異なり、2~5人ほどの少人数で共同生活を送る施設が障害者グループホームです。施設には介護スタッフが常にいるため、精神疾患や知的障害があっても問題なく生活できます。そこで、更生施設の退所時までに完全なる一人暮らしをするのか、障害者グループホームを利用するのか考えましょう。
住所不定のホームレスが保護施設を利用する
生活保護受給者について、障害者やホームレスなどの生活困難者は保護施設を利用できます。保護施設としては、救護施設や更生施設などが知られています。
ホームレスが役所で生活保護へ申請するときに住所がない場合、一時的な住居として通常は無料低額宿泊所を紹介されます。ただ生活保護の場合、救護施設や更生施設も利用対象になります。そこで保護施設を利用したい場合、空きがあるかどうか役所で確認しましょう。
なお、長く住み続けられる施設が救護施設です。それに対して、更生施設は将来の独り立ちが前提となっています。そこで、精神疾患や知的障害の程度に合わせて利用する施設を決めましょう。
救護施設や更生施設を利用している元ホームレスはたくさんいます。そこで路上生活者やネットカフェ難民を含め、生活保護の受給と同時に保護施設の利用を見据えても問題ありません。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
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