過去に犯罪をしてしまい、刑務所に収監されるなど、罪をつぐなわなければいけない人がいます。ただ、こうした人は出所後に帰る場所がなく、住む場所を確保できないケースがあります。
そうしたとき、更生保護施設を利用することで一時的に住むことができます。短い期間ではあるものの、その間に将来安定して生活できるように準備するのです。
それでは、更生保護施設の入所期間は何か月なのでしょうか。また、更生保護施設の退所後はどのような場所にて生活することになるのでしょうか。更生保護施設をいつまで利用できるのか、またその後の生活はどうなるのかについて解説していきます。
もくじ
更生保護施設の収容期間は原則6か月
まず、更生保護施設は何か月の収容期間になるのでしょうか。いつまで利用できるのか決まっており、更生保護施設は原則として6か月の入所期間になります。
6か月以内の退所が原則になるため、犯罪白書によると、更生保護施設を6か月以内に退所する人の割合は約9割です。
更生保護施設というのは、入所してずっと過ごす場所ではありません。刑務所を出ても身寄りがないなど、そうした人が一時的に過ごす場所です。そのため入所して1か月以内に退所するのは普通ですし、長くても6か月というわけです。
例外はあるが、それでも入所期間は1年以内
なお更生保護施設について、場合によっては延長できるケースがあります。事実、以下のように定められています。
- 例外的にさらに6か月を超えない範囲で延長可能
つまり、例外に当てはまる人は合計で1年間、更生保護施設へ入居できます。ただ、それ以上の入居は基本的に無理であり、1年以内に更生保護施設を退所する人の割合はほぼ100%です。
犯罪白書によると、1年を超えて更生保護施設に入居している人の割合は全体の1%未満です。そのため、よほどのことがない限り1年以内に退所しなければいけません。
退所後は自らの力で生活する
それでは6か月(または1年の収容期間)を経たあと、更生保護施設の退所後はどのようにして過ごせばいいのでしょうか。更生保護施設では、一人で生活できるように訓練したり、就職先を紹介したりします。こうして、独り立ちに向けて準備するのです。
このとき、最も重要なのは住宅の確保です。住む場所を確保できていない状態で放り出される場合、再犯率が高くなり、再び刑務所へ戻ってしまうリスクが大きくなるからです。このとき、以下のように考えましょう。
- 健常者:一般賃貸住宅に住む
- 障害者:障害者施設を検討する
健常者であれば、一般的な賃貸マンション・アパートを借りればいいです。ただ更生保護施設へ入所する人のうち、17%ほどは知的障害者・精神障害者であり、障害者の割合もそれなりに高くなります。
また以前は健常者であっても、麻薬中毒者やアルコール依存症は精神障害者に該当します。軽度の発達障害も精神障害者であるため、精神障害者というのは範囲が広いです。
健常者は一般賃貸にて生活をスタート
そうしたとき、健常者は一般的な賃貸マンション・アパートを借りて生活をスタートさせるのが一般的です。
高齢でないのであれば、更生保護施設へ入居している間に就職先を探してもいいです。そうすれば、就職先の借り上げ社宅を利用して格安にて住むことができます。もちろん、自分名義で賃貸物件を借りてもいいです。
参考までに、更生保護施設の利用者は退去後に以下の場所に住んでいることがわかっています。
- 一般賃貸:31.3%
- 就業先:16.8%
- 親族:15.1%
身寄りのない人が一時的に住む場所が更生保護施設であるものの、中には親族を頼る人もいます。ただ大多数は賃貸物件に住むことになるため、就職先を見つけて一人暮らしをします。
なお理由があって働けない場合、生活保護にて一般賃貸を探すことになります。生活保護を受け入れてくれる賃貸物件は少ないものの、そうした賃貸マンション・アパートを探すといいです。
障害者の場合、障害福祉サービスの申請が重要
一方で知的障害者や精神障害者、身体障害者については、障害者グループホーム(共同生活援助)を利用するという方法があります。もちろん、障害者であっても一般賃貸に住んでいいですが、そうなると費用が高額になりやすいです。
また障害者では、更生保護施設の入居期間である6か月以内に働く先を見つけるのが困難な人が多いです。そうしたとき、障害者グループホームであれば入居後にすぐ働く必要はないですし、ずっと同じ施設で生活することも可能です。
複数の障害者が共同生活を送る場所が障害者グループホームです。住民税の非課税世帯や生活保護など、低所得者ではサービス料が無料ですし、家賃は国や自治体から補助があります。そのため、働けない障害者であっても格安にて生活可能です。さらには、介護スタッフによる援助も受けられます。
また数年ほど障害者グループホームで過ごしたあと、「企業就職や一人暮らしが可能になる目途が立ち、そのときに賃貸マンション・アパートを借りて新たな生活をスタートさせる」ことも可能です。
障害者の場合、更生保護施設での6か月が過ぎた後も十分に働ける状態ではなく、低所得者である人が多いです。その場合、その後の生活場所として障害者グループホームが第一候補です。
入所期間を知り、その後の生活を見据える
刑務所からの出所後など、身寄りのない犯罪者が利用する施設が更生保護施設です。何か月まで利用できるかというと、原則6か月です。いつまでも利用できるわけではないため、入居した後はその後の生活を見据えて準備する必要があります。
健常者であれば、就職を目指すなど社会復帰を考えます。また高齢であったり理由があって働けなかったりする場合、生活保護にて一般賃貸へ住んでも問題ありません。
一方で障害者の場合、障害者グループホーム(共同生活援助)の利用を考えましょう。介護スタッフによる支援を得つつ、最も格安にて生活する方法が障害者グループホームです。知的障害者や精神障害者で犯罪をしてしまった人は多く、その場合は障害者施設の利用が第一選択肢になります。
更生保護施設は収容期間が決まっているからこそ、入居したらすぐに次の生活場所を考えましょう。健常者と障害者ではその後の生活場所も大きく異なるため、そうした違いについても認識するといいです。
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