20歳未満の子供・児童をもつ親に対して支給されるお金が特別児童扶養手当です。障害をもつ子供を育てるのはどうしてもお金がかかります。そこで、特別児童扶養手当を利用することで補助してもらうのです。

障害児をもつ家庭にとって特別児童扶養手当はかなり大きな金額です。そのため審査に通るかどうかは非常に重要です。

障害の重さや種類によって特別児童扶養手当を得られるかどうかが変わります。このとき最も重要な書類が医師の診断書(または障害者手帳の種類)です。特に軽度の知的障害や発達障害(自閉症を含む)などの場合、より診断書が重要になります。

それでは、どのように考えて特別児童扶養手当の申請をすればいいのでしょうか。特別児童扶養手当の中身や対象者、認定基準などについて解説していきます。

高額な支給額となる特別児童扶養手当

当然ながら、子供は判断能力がありません。そのため、通常は親などの扶養者が面倒を見ることになります。そこで児童に関する補助金というのは、子供の面倒を見ている親にお金が振り込まれます。

特別児童扶養手当も同様であり、障害児を育てている親を補助するための助成金と考えましょう。どれくらいの金額になるかというと、以下のようになります。

  • 一級:月に約54,000円(年によって変動)
  • 二級:月に約36,000円(年によって変動)

障害の程度によって金額は異なりますが、年間で考えると非常に高額なお金になるとわかります。これが毎年続くため、合計では何百万円にもなります。

補助金の対象者には何があるのか

それでは、どのような人が対象者になるのでしょうか。知的障害者や身体障害者、精神障害者、難病患者をもつ家族について、以下の場合は特別児童扶養手当に申請できます。

  • 20歳未満
  • 施設(児童福祉施設など)に入所していない
  • 所得制限に引っかかっていない

小児を含め、20歳未満の障害児をもつ親に支払われる補助金が特別児童扶養手当です。また子供が施設に入所しているケースは少ないと思いますが、在宅であれば特別児童扶養手当の対象です。

なお18歳以上であれば障害者グループホームに入居できます。障害者グループホームは施設ではなく、家と同じであるため、この場合は特別児童扶養手当を継続して受け取ることができます。

これは短期入所(ショートステイ)も同様です。短期入所を利用している人で認定基準から外れることはありません。障害福祉サービスで短期入所の利用を認められたのであれば、自由にショートステイを利用して問題ありません。

課税対象ではなく、税金非課税にて確定申告は不要

なおお金が支払われるとき、補助金の種類によっては課税対象となります。ただ特別児童扶養手当については非課税であり、特に税金を支払う義務はありません。そのため、特別児童扶養手当を受け取っても確定申告は不要です。

これについては、以下のように自治体(和歌山県橋本市)が公式サイトに掲載しています。

特別児童扶養手当は所得税や住民税に影響せず、もらったお金はそのまま自由に利用できます。そういう意味でも、障害児をもつ家庭で特別児童扶養手当を得られるかどうかは非常に大きいです。

一級と二級の認定基準

それでは、特別児童扶養手当の一級と二級はどのような違いになるのでしょうか。一部を記すと、以下のようになります。

【一級】

  • 視力の良いほうの眼の視力が0.03以下
  • 両耳の聴力が100デシベル以上
  • すべての手の指がない、または両方の腕や手が機能しない
  • 両方の足が機能しない、または両方の足が欠損している
  • 座れない、立ち上がれない
  • 上記と同程度の知的障害者や精神障害者

【二級】

  • 視力の良いほうの眼の視力が0.07以下
  • 両耳の聴力が90デシベル以上
  • 片方すべての手の指がない、または片方の腕や手が機能しない
  • 片方の足が機能しない、または片方の足が欠損している
  • 歩くのが困難
  • 平衡機能、そしゃく、音声、言語機能に障害
  • 上記と同程度の知的障害者や精神障害者

実際にはより詳細な基準となりますが、わかりやすくまとめるとこのようになります。軽度の知的障害者や精神障害者であっても申請できるものの、重度の人であればより申請が通りやすくなります。

世帯収入が高いと所得制限がある

ただ、どれだけ障害児の症状が重くても世帯所得が高いと特別児童扶養手当の対象外となってしまいます。障害をもつ子供を育てている場合、すべての人で特別児童扶養手当を利用できるわけではないのです。

扶養人数本人扶養義務者・配偶者
0人4,596,000円6,287,000円
1人4,976,000円6,536,000円
2人5,356,000円6,749,000円
3人5,736,000円6,962,000円
4人以降1人増えるごとに380,000円加算1人増えるごとに213,000円加算

20歳未満の障害児が高い収入を得られるのは通常、考えられません。そのため、重要なのは扶養義務者・配偶者の所得です。なお表に記載している数字は所得であるため、年収換算では年800万円以上の世帯が所得制限に引っかかってきます。

ちなみに扶養義務者というのは、同じ家に住む父母、祖父母、兄弟姉妹が該当します。つまり、一般的には親の収入で所得制限が判断されると考えましょう。

申請で最も重要なのは医師の診断書:手帳なしでも可能

それでは、特別児童扶養手当でも最も重要な要素は何かというと、医師による診断書です。自治体によって必要書類は異なりますが、ザックリと以下の書類を提出することになります。

  • マイナンバーがわかる書類
  • 戸籍謄本
  • 前年の所得証明書
  • 障害がわかる書類:医師の診断書、障害者手帳

こうした書類の中でも、医師の診断書によって「どの程度の障害をもっており、どの種類の障害なのか」がようやくわかります。特別児童扶養手当は書類審査であるため、医師の診断書だけで判断されると考えましょう。

自治体によって診断書の様式は異なりますが、例えば以下は横浜市の知的障害者・精神障害者用のフォーマットです。

どのような障害があり、どのような日常生活の動作が困難なのか私たちは医師に対して正確に伝える必要があります。本来は日常生活に困っているにも関わらず、医師にうまく伝わっていないと診断書に反映されないからです。

診断書が最も重要であるため、いつも通っている専門の主治医(専門医)に診断書を書いてもらうだけでなく、先ほど解説した認定基準と照らし合わせ、困難な状況をできるだけ詳細に記載してもらう必要があります。

身体障害者手帳・療育手帳で診断書を省略可能

なお医師の診断書ではなく、障害者手帳を提示することによって「特別児童扶養手当に必要な診断書の提出」を省略できることはよくあります。

障害者手帳を入手するためには、医師の診断書が必要です。つまり、障害者手帳を保有している事実が既に「障害者である」という証明となるのです。このとき、以下を目安に考えましょう。

【一級】

  • 身体障害者福祉手帳:1~2級程度
  • 療育手帳:A程度(IQ35以下)

【二級】

  • 身体障害者福祉手帳:3~4級程度
  • 療育手帳:B程度(IQ50以下)

特別児童扶養手当は障害者手帳なしでも申請でき、この場合は医師の診断書が重要になります。一方、障害者手帳ありの場合は医師の診断書が不要なケースがよくあるのです。これは、後になって障害が重くなる場合も同様です。

例えば難病や精神疾患の併発、その他の要因を含め、児童によっては時間経過によって障害の程度が重くなるケースがあります。この場合は障害者手帳の等級も重度になりますが、それに伴って特別児童扶養手当が二級から一級へと変更されるのは普通です。

・軽度知的障害や発達障害は診断書が重要

ただ障害者手帳を保有していたとしても、軽度の知的障害や知的障害のない発達障害(自閉症を含む)は医師へ診断書を依頼するほうが無難です。特別児童扶養手当の審査に通過するため、障害者手帳に加えて、医師の診断書を添えるのは効果的です。

特別児童扶養手当の中身を理解して申請する

申請しなければもらえないお金が特別児童扶養手当です。しかも金額が大きいため、障害をもつ子供を育てているのであれば、すべての親が挑戦するべきです。

どの程度の障害の重さなのかによって支給額が異なります。ただ一級でも二級でも高額なお金を支給されるため、早めの申請を考えましょう。

最も重要な書類が医師の診断書です。専門の医師に正確な内容を伝え、診断書に反映してもらうようにしましょう。または、障害者手帳を保有することによって診断書の提出を省略できることはよくあります。ただ軽度の知的障害者や知的障害を含まない精神障害・発達障害については、医師の診断書を添えるといいです。

障害児を育てるのはどうしてもお金がかかります。そこで、特別児童扶養手当を利用することで大人になるまで安心して育てられるように補助金を申請しましょう。

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