重い犯罪をしてしまった身寄りのない人が利用する施設として更生保護施設や自立準備ホームがあります。親族を頼れる場合、帰る場所があります。ただ中には、親族を頼れない人がいるため、そうした人が一時的な居場所として利用します。
このとき、更生保護施設と自立準備ホームにはどのような違いがあるのでしょうか。
両者に大きな違いはないものの、それぞれの相違点を理解しておくのは重要です。そこで、更生保護施設と自立準備ホームの違いについて解説していきます。
もくじ
犯罪者が利用する更生保護施設と自立準備ホーム
大きな犯罪をすると、刑務所に入ったり、執行猶予が付いたりします。このとき、元から親族を頼れなかったり、親族から縁を切られたりする人がいます。
そうした誰も頼れない状態で犯罪者が社会に放り出される場合、お金がないだけでなく、住む場所もありません。そうなると、貧困によって再び犯罪をしてしまう可能性が高くなります。そうしたとき、一時的に犯罪者が住む場所として更生保護施設や自立準備ホームが利用されます。
住む期間は短いものの、その間に社会復帰に向けた準備をすることで、刑務所を出た後や執行猶予が付いた後であっても犯罪をせずに過ごせるようになります。
通常は更生保護施設を紹介される
このとき、身寄りのない犯罪者は多くのケースで更生保護施設を紹介されます。国の許可を受けて運営されている施設が更生保護施設であり、日本全国にたくさん存在します。
居室の構造は共同(相部屋)であったり、個室であったり施設によって異なります。施設の収容規模は20人ほどが一般的になり、犯罪者が共同生活を送るのです。国の機関である保護観察所が要請することで、更生保護施設への入所となります。
犯罪者が利用できる施設は複数あります。その中でも、犯罪者のみが利用できる施設が更生保護施設であり、施設内で日常生活に向けたトレーニングをします。
更生保護施設で行われる内容としては、例えば以下があります。
- 住民票の設定
- 生活保護の手続き
- 金銭管理の指導
- 就労支援:ハローワークなど
- 退去後の住居調整
- 今後の生活相談
これらの活動や規則正しい生活を通して、更生保護施設を出た後であっても一人で生活できるようにします。
自立準備ホームとして施設へ住む
また、更生保護施設と同様に犯罪者が利用する施設として自立準備ホームがあります。更生保護施設と同じく、共同または個室にて住むことになり、一時的に住むという意味では更生保護施設と同じです。
以前から更生保護施設が存在していたものの、更生保護施設だけでは数が不足しており、他の施設の確保が必要でした。そこで、既に運営されている社会福祉施設の空きベッドを活用することにより、出所後の犯罪者を受け入れる仕組みが作られました。
社会福祉施設としては、例えば以下があります。
- 障害者グループホーム
- 特別養護老人ホーム
- 救護施設
他にもありますが、これらの施設について、自立準備ホームとして犯罪者が空きベッドを活用し、入居するのです。
犯罪者の受け入れとは別の目的で利用されている施設の空きベッドを活用するため、施設の形態や居室の様子、施設のルールはさまざまです。更生保護施設ほどの厳格な基準を満たす必要はなく、特定の要件を満たしていれば自立準備ホームとして活用できるようになっています。
元受刑者は施設を選べない
それでは、刑務所を出た元受刑者は施設を選べるのでしょうか。これについて、更生保護施設と自立準備ホームのどちらかを自ら決めて選ぶことはできません。基本は設置数の多い更生保護施設への入居になるものの、場合によっては自立準備ホームへの入居になることもあります。
身寄りのない犯罪者について、住む場所を保護観察所が総合的に判断して決定します。このとき、どの施設で過ごすのか決まったら、そこで過ごす必要があります。
更生保護施設だけでなく、自立準備ホームについても通常はスタッフが常に施設内にいます。そこで、スタッフによる指導のもと、犯罪者は社会復帰に向けた準備を行います。ただ施設のルールに従わない場合、退所を命じられるケースがあります。
また退所命令の内容によっては、仮釈放が取り消されて再び刑務所に戻らなければいけなくなる場合もあります。そのため施設のルールに従い、更生のために更生保護施設や自立準備ホームを活用するといいです。
数か月後の退所が基本:早く次の入居先を見つける
なお更生保護施設の利用期間は原則6か月です。犯罪白書によると、6か月以内に更生保護施設を退所する人の割合は約9割です。そのため、ほとんどの人が早いタイミングで更生保護施設を退所しているとわかります。
これは自立準備ホームも同様です。自立準備ホームの利用期間は更生保護施設に準ずるため、早いタイミングで次に住む場所を探す必要があります。
健常者であれば、一般就労や生活保護を活用することで賃貸マンション・アパートに住めばいいです。一方で知的障害者や精神障害者、身体障害者であれば、障害者グループホーム(共同生活援助)の利用が視野に入ります。高齢者であれば、老人施設の利用を考えましょう。
人によって、更生保護施設・自立準備ホームの利用後に住む適切な場所が異なります。そこで、更生保護施設や自立準備ホームで過ごした後、最適な場所で生活することを考えましょう。
更生保護施設と自立準備ホームの違いを学ぶ
身寄りのない犯罪者が刑務所を出所後などに一時的に過ごす施設という意味では、更生保護施設と自立準備ホームの違いはありません。また保護観察所が入居する施設を判断するため、利用者は更生保護施設や自立準備ホームを指名して選ぶことができません。
このとき、国に登録して運営されている施設が更生保護施設です。基本的には、自立準備ホームではなく更生保護施設への入居になります。
ただ更生保護施設が足りないため、既存施設の空きベッドの活用を国は考えました。そこで、既存施設を自立準備ホームとして利用し、犯罪者はそうした施設で過ごします。
更生保護施設と自立準備ホームには、こうした違いがあります。身寄りのない犯罪者にとって利用面での違いは大きくないものの、施設を活用する場合はこれらの違いを学んでおきましょう。
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