重い犯罪をして刑務所に収監されていた人などについて、出所後に身寄りのないケースがあります。この場合、何のサポートもないまま外の世界に放り出されると住む場所がなく、再び犯罪をしてしまうリスクが高くなります。

そこで、身寄りのない犯罪者を対象に一定期間、住む場所を与える制度が自立準備ホームです。既に運営されている社会福祉施設を一時的な居住場所として活用することで、犯罪者が社会復帰するための機会を提供するのです。

それでは、自立準備ホームの利用対象者や費用、期間などはどのようになっているのでしょうか。自立準備ホームの中身を解説していきます。

自立準備ホームとは、空きベッドを活用した施設

出所後の元受刑者などで身寄りがない場合、過ごす場所として更生保護施設が知られています。ただ更生保護施設だけでは数が足りず、自立準備ホームが作られました。

自立準備ホームとは、社会福祉施設が運営している空きベッドを活用することで、そこに犯罪者が一時的に住める仕組みです。社会福祉施設としては、例えば以下があります。

  • 障害者グループホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 保護施設(救護施設など)

これら既存施設を利用することにより、犯罪者が入居できます。更生保護施設のように厳格な設置基準を設けるのではなく、特定の基準を満たしていれば自立準備ホームとして活用できます。

対象者は重い犯罪をした人

このとき、自立準備ホームの対象者は重い犯罪をした人になります。犯罪者が住む施設としては、例えば以下があります。

  • 更生保護施設
  • 自立準備ホーム
  • 障害者グループホーム
  • 保護施設(救護施設など)
  • 老人施設

この中でも、更生保護施設と自立準備ホームは犯罪者のみ利用します。

ただ前述の通り、自立準備ホームの中身は障害者グループホームや老人施設です。そのため自立準備ホームへ入居するとき、施設には犯罪者以外にも障害者や要介護者など、さまざまな人がいます。

更生保護施設や自立準備ホームは選べない

なお犯罪者が一時的に住む場所を求めるとき、保護観察所が総合的に判断して住む場所を決めます。つまり更生保護施設や自立準備ホームについて、どちらを利用するのか選べるかというと、選ぶことはできません。

もちろん、住む場所が決まった場合に施設の情報を入居前に聞くのは可能です。体験入居などはできないものの、情報を得るのは問題ありません。

なお自立準備ホームには基本的に常にスタッフがいます。こうしたスタッフによる指導のもと、社会復帰に向けて準備をしていきます。

このとき、施設のルールに従わなければいけません。もしルールを守れない場合、強制退去になります。また退去理由によっては、仮釈放が取り消されるリスクもあります。そのため、時間や門限を含めたルールを守りましょう。また当然ながら、入居中の犯罪行為をしないようにしましょう。

費用は必要なく、保護観察所から出される

なお犯罪者について、収入がほとんどなく、貯金もない人が多いです。こうした人について、利用料を心配する人は多いです。

これについて、生活保護かどうかに関係なく、すべての犯罪者は自立準備ホームで過ごすときの費用を心配する必要はありません。自立準備ホームは国へ費用を請求でき、これによってすべての人件費やサービス料が賄われることになります。つまり犯罪者にとって、自立準備ホームの利用料は無料です。

・病院への通院費用も心配不要

なお犯罪者の中には、精神疾患を有していたり、その他の病気を抱えていたりします。そうしたとき、通院費用を心配します。

たとえ生活保護の対象であっても、自立準備ホームを利用中は生活保護による生活費は出されません。ただ医療保護受給により、無料にて通院できるようになっています。そのため、病院への通院費用も心配不要です。

住民票や生活保護など、必要な手続きを行う

そこで自立準備ホームへ入居した後、自立に向けた準備をしましょう。例えば、施設側から以下の支援をしてもらいます。

  • 住民票の設定
  • 生活保護の手続き
  • 金銭管理の指導
  • 就労支援:ハローワークなど
  • 退去後の住居調整
  • 今後の生活相談

受刑者では住民票がなかったり、生活保護を申請できていなかったりするなど、出所直後は生活の基盤が整っていません。そこで、これらを整えておくのです。

また健常者で働けるのであれば、仕事を見つけるのは重要です。一方で障害者であれば、障害福祉サービスへ申請し、公的サービスを利用できるように準備する必要があります。こうして、犯罪者ごとに社会復帰に向けて必要な手続きを進めていきます。

期間は短く、早めに次の住む場所を見つける

なお実際に自立準備ホームを利用するとき、利用期間は更生保護施設に準じます。つまり、利用期間は原則6か月以内と短いです。犯罪白書によると、約9割の人が更生保護施設から6か月以内に退所しています。これは、自立準備ホームも同様と考えましょう。

1~3か月ほどでの退所は普通なので、自立準備ホームへの入居後、すぐに退所に向けた準備を始める必要があります。

例えば生活保護の手続きをした後、健常者は一人暮らしできるように賃貸マンション・アパートを探しましょう。身寄りのない生活保護受給者を受け入れてくれる賃貸物件を探すのは難しいものの、根気よく探す必要があります。

また知的障害者や精神障害者、身体障害者の場合、障害者グループホーム(共同生活援助)の利用を視野に入れるといいです。複数の障害者が共同生活を送り、介護スタッフによる援助のもとで格安にて生活できる施設が障害者グループホームです。

障害者グループホームであれば、まったく働けない人であっても生活保護によって日々の生活を過ごせるようになります。統合失調症や発達障害、パニック障害、軽度知的障害などを含めると障害者はたくさんいるため、多くの人で障害者グループホームを活用できます。

自立準備ホームを利用し、社会復帰を目指す

犯罪者が社会復帰をするにしても、住む場所が不可欠です。そこで身寄りのない犯罪者は、一時的な居住場所として更生保護施設や自立準備ホームを利用します。このとき、更生保護施設のような厳格な設置基準でなくても、犯罪者を受け入れ可能な施設が自立準備ホームです。

既存施設の空きベッドを活用することで、犯罪者は障害者グループホームや老人施設、保護施設(救護施設など)にて一時的に過ごせます。このとき費用は国から出るため、利用料金を心配する必要はありません。

ただ利用期間は短く、6か月以内の退所が原則です。そこで早めに退去することを考え、自立準備ホームへの入居と同時に退所に向けた準備を開始しましょう。

犯罪者であっても自立して生きていかなければいけません。そこで重い犯罪をした人について、自立準備ホームを活用することで社会復帰を目指しましょう。