刑務所から出た後や執行猶予が付くなど、重い犯罪をした人は罪を償わなければいけません。ただ犯罪者で身寄りがない場合、再び犯罪をしてしまうリスクが高まります。

そこで再犯率を抑えるため、犯罪者が一時的に住む場所として更生保護施設を利用できます。将来の独り立ちに向けて訓練を行い、準備するのです。

それでは、刑務所から更生保護施設に入るにはどうすればいいのでしょうか。入所条件や生活内容について解説していきます。

犯罪者が利用する更生保護施設

さまざまな公的施設の中でも、犯罪者が利用する施設に更生保護施設があります。通常、重い犯罪をしてしまった場合、釈放後は親族が住む場所に戻ることになります。

ただ犯罪をしてしまった場合、家族と縁を切られている場合があります。また障害者の犯罪では、元から頼れる親族がいないケースもあります。

そうしたとき、何も身寄りのない状態で社会に放り出されると再犯率が高くなります。そこで、刑務所から出た人などの犯罪者に対して、一時的に住居を提供しなければいけません。そうした役割を担う施設が更生保護施設です。

ずっと住み続ける施設ではないものの、一時的にでも犯罪者が住む場所を確保することにより、その後に備えることができます。更生保護施設の利用というのは、犯罪者にとって社会復帰するための第一歩となるのです。

入所条件は何があるのか?

それでは、どのような人が更生保護施設の利用対象になるのでしょうか。更生保護施設の利用者は犯罪者限定であるものの、軽犯罪は対象ではありません。以下のように、重い犯罪をすることで矯正施設(刑務所、少年院など)にお世話になったり、執行猶予が付いたりした人が入所対象になります。

  • 刑務所を仮釈放または満期釈放になった
  • 少年院を出た
  • 執行猶予を言い渡された

こうした犯罪者について、家族の協力を得ることができず、身寄りがない場合に更生保護施設の入所条件を満たすことになります。

あくまでも一時的な利用が原則

なお更生保護施設を利用するとき、あくまでも一時的な利用になります。具体的には、更生保護施設の利用は原則として6か月までとなっています。例外として、さらに6か月の延長は可能であるものの、基本的には6か月以内に退所すると考えましょう。

犯罪白書によると、更生保護施設の利用者で6か月未満の退所者は約9割です。また1年以内では、ほぼ100%の人が退所しています。

このように、更生保護施設での入所期間は短いです。そのため、更生保護施設へ入所したら「退所後の生活を見据えて過ごす」ことになります。

退所後の生活について、健常者であれば賃貸マンション・アパートで生活する人がほとんどです。一方で知的障害者や精神障害者、身体障害者の場合、障害者グループホーム(共同生活援助)などの公的施設が選択肢に入ります。

実際の入所方法や手順

それでは、更生保護施設への入所方法としては何があるのでしょうか。更生保護施設へ入所するとき、通常は「国の機関である保護観察所が要請する」ことで更生保護施設へ入所できるようになります。

刑務所や少年院にお世話になったり、執行猶予が言い渡されたりした人について、保護観察所にお世話になります。そこで、どうしても住む場所を見つけられない人について、保護観察所から更生保護施設へ依頼されるというわけです。

なお更生保護施設について、自ら申し出ることで入居を依頼することもできます。

更生保護施設の利用者は年間で約1万人であり、非常に多くの犯罪者が更生保護施設へ入所しています。入所期間は短いものの、一時的な生活場所を確保するために更生保護施設は利用しやすくなっています。

更生保護施設で何をするのか?

それでは実際に更生保護施設へ入居するとして、日々の生活では何をするのでしょうか。比較的、近い将来に退所することになるため、更生保護施設では以下が行われます。

  • 住民票の設定
  • 生活保護の手続き
  • 金銭管理の指導
  • 就労支援:ハローワークなど
  • 退去後の住居調整
  • 今後の生活相談

宿泊場所や食事を提供するだけでなく、これら必要な支援をします。

もちろん、人に応じて必要な支援は違います。例えば障害者であれば、障害福祉サービスを利用できるように役所で申請しなければいけません。そうすれば、障害者グループホームや就労継続支援など、必要な公的サービスを受けられるようになります。

なお、他には日中に清掃活動をしたり、ボランティアをしたりすることがあります。また社会復帰に向けて、地域のイベントやあいさつ運動などに参加することもあります。

どのような活動をするのかは施設によって異なるものの、こうした活動を通して独り立ちに向けた準備をします。

・時間は決まっており、規則正しい生活になる

なお犯罪者が住むための公的施設であるため、更生保護施設へ入所するとき、食事や入浴、消灯の時間などは決められています。具体的な時間は入所する更生保護施設によって異なるものの、ザックリと以下のようになります。

  • 7:00:起床、清掃、朝食
  • 12:00:昼食
  • 18:00:夕食
  • 19:00~21:00:入浴、夜間面接など
  • 22:00:門限
  • 23:00:消灯

これらの時間を守り、規則正しい生活を送ることが社会復帰でも重要になります。

生活費の支払いは心配不要

なお多くの場合、刑務所からの仮釈放や執行猶予が付くなど、これら犯罪者は低所得者に該当します。そうした住民税の非課税世帯や生活保護だと、十分なお金がありません。

ただ更生保護施設へ入所するとき、日々の生活費を心配する必要はありません。まず、更生保護施設では宿泊と食事が無料で提供されます。更生保護施設の運営は国からの補助金で成り立っており、更生保護施設に入所している人数に応じて、更生保護施設は国へ費用を請求できます。

こうした制度になっているため、更生保護施設の利用で費用を心配する必要はありません。

もちろん退所後は自らの力で生きていく必要があり、お金を支払わなければいけません。そのため、特に低所得者は「働く先を探す」「生活保護を利用する」「障害者グループホームへ申請する」など、その後も問題なく生活できるように準備しなければいけません。

更生保護施設を利用し、社会復帰を考える

過去に大きな犯罪をしてしまい、さらには身寄りがない場合、更生保護施設の利用が候補になります。原則6か月と短い期間であるものの、一時的に更生保護施設を利用することでその後の生活を立て直すのです。

実際の入所方法については、基本的には保護観察所から更生保護施設へ依頼が行きます。そうして、更生保護施設へ入所できるようになります。更生保護施設に入るには、刑務所からの仮釈放・満期釈放や執行猶予が付くなどであり、さらには頼れる人がいない犯罪者となります。

これら更生保護施設で何をするのかというと、独り立ちに向けた準備が活動のメインになります。また、生活費の心配は不要です。

犯罪者で行き場所がない場合、生活を立て直すために更生保護施設の利用は有効です。そこで、更生保護施設の活用によって再犯することなく、社会復帰を考えましょう。

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