ケガや病気によって十分に働けない場合、傷病手当金を利用することによって大きなお金を得られるようになります。

このとき、必須になるのが医師の証明です。診断書は必要なくても、医師の証明をもらうことによって客観的に「働けない状態になってしまった」と証明です。これは、すべての身体障害者や精神障害者で同様です。

それでは、どのように考えて医師の証明を取得すればいいのでしょうか。やり方を間違えるともらえないため、正しい手順によって医師に証明してもらう必要があります。

傷病手当金では医師の証明が必要

給料の3分の2という非常に高額な補助金が傷病手当金であるため、自己申告だけで補助金を得られるようになることはありません。必ず医師の証明が必要になります。診断書は必要なくても、医師による客観的な証明が不可欠なのです。

医師の証明なしでは傷病手当金を得ることができないため、必ず医師に依頼する必要があります。

なお、このときの費用は申請者の負担になります。ただ保険適用となり、3割負担で問題ないため、費用負担は低いです。

3日以上の休みの前に病院を受診する

注意点として、早い段階で病院・クリニックを受診しましょう。受診する前の状態を客観的に証明することはできないからです。

傷病手当金を得るとき、必ず「3日以上の連続した休み」を作る必要があります。合計3日の休みではなく、3日以上の連続した休みでなければいけません。

ただ3日以上の休みを作ったとしても、医師を受診する前であれば意味がありません。「ケガや病気が原因によって休んでいた」と証明できないからです。

医師による証明が必要である以上、可能な限り早めに初診日を作っておく必要があります。うつ病や統合失調などの精神疾患は外出が困難になりやすいものの、何とかして受診することで医師の証明を得られる状態にしておく必要があります。

申請で記載してもらう内容の中身

なお、傷病手当金では医師に依頼して以下の内容を記載してもらう必要があります。

  • 傷病名
  • 初診日
  • 就労不能と認める期間
  • ケガや病菌の原因
  • 主な症状や経過
  • 治療内容、検査結果、指導内容

こうした客観的な内容を記載してもらうことで「ケガや病気によって働けない状況であった」とようやく証明できるようになります。

医師の証明のもらい方

それでは、医師の証明のもらい方としては何があるのでしょうか。これについて、前述の通りまずは病院・クリニックを受診して初診日を作る必要があります。初診日では、身体障害者や精神障害者の状態であり、いますぐに働けないことを遠慮なく伝える必要があります。

そうして、3日以上の連続した休みを作るのと同時に、医師に依頼して申請書類への記載をしてもらいましょう。

医師の証明は数か月後や退院後であっても問題ありません。事前に医療機関を受診しており、身体障害や精神障害によって就労困難なのであれば、問題なく記載してくれます。

条件を満たさない場合はもらえない

ただ場合によっては、医師の証明をもらえないケースがあります。傷病手当金の条件を満たしていない場合、医師は証明してくれません。

理由なく傷病手当金の記載を医師が異なることはなく、多くは申請者側に問題があります。例えば以下のケースが該当します。

・初診日より前の状況

前述の通り、初めて医療機関を受診した日より前の状況を医師は証明できません。そのため、傷病手当金を得たい場合、まずは医療機関を受診しなければいけません。

例えば大きなケガをして、症状の回復を期待して2週間ほど待っていたとします。ただ、我慢できなくなって病院を受診しました。

このとき、ケガをして2週間(病院を受診する前)の状況を医師は判断できません。最初のケガで働けなくなったのか、それとも時間経過と共に症状が悪化して働けないほどの状態になったのか、受診していないのでわかりません。これが、まずは医療機関を受診するべき理由です。

・就労不能な状況ではない場合

人によっては、ケガや病気の程度が軽度なケースがよくあります。そうしたとき、就労不能なほど状態が悪くないにも関わらず、医師に対して「傷病手当金を書いてほしい」とお願いしても断られます。

うつ病や統合失調症などの精神疾患の場合、見た目では症状が分かりにくいです。一方でケガや内臓疾患の場合、見た目や検査結果によって内容を把握しやすく、軽度であるにも関わらず傷病手当金にサインすることはできません。

・労災の場合

仕事上で起こったケガや病気以外について、傷病手当金の対象になります。そのため、明らかに仕事が原因によるケガや病気であれば、医師は傷病手当金の申請書類にサインすることはできません。

この場合、傷病手当金ではなく労災保険の休業補償を申請しましょう。

なお、上記に当てはまっていないにも関わらず医師が傷病手当金へのサインを断るケースがあるかもしれません。この場合、他の病院・クリニックを受診することで転院を視野に入れましょう。

病院の証明をもらい、傷病手当金を受け取る

傷病手当金を得るためには、すべてのケースで病院の証明が必要です。診断書は必要なくても、傷病手当金の申請書へ医師が記載しなければいけません。

医師の証明としては、傷病の内容だけでなく、就労不能と認める期間や治療内容を含めて記載されます。このとき、初診日よりも前の状況を医師は判断できません。そのため、必ず医療機関を早めに受診する必要があります。

なお、医師の証明のもらい方は簡単であり、主治医に依頼するだけです。ただ、「初診日の前の状況」「就労困難ではない」「労災が対象」などの場合、医師の証明をもらえないです。医師が申請書への証明を拒否するのは、当然ながら理由があります。

傷病手当金を得るとき、適切な手順によって医師の証明をもらいましょう。病院の証明により、客観的に障害の内容を判断できるようになります。