障害者グループホーム(共同生活援助)の利用者では、多くのケースで定期的な送迎が必要になります。日中活動をしていたり、病院への通院同行が必要だったりするのです。
そうしたとき、共同生活援助は送迎加算を算定できるのでしょうか。先に結論をいうと、共同生活援助で送迎加算を利用できません。これは、通院同行でも同様です。そのため、加算とは異なる方法にて送迎を考えなければいけません。
それでは、障害者グループホームの利用者でどのように送迎を考えればいいのでしょうか。共同生活援助での送迎問題について解説して言います。
もくじ
共同生活援助で送迎の加算は存在しない
障害者で自立している人は少なく、一人の力で生活できないケースがよくあります。日々の生活で援助が必要だからこそ十分に働けず、障害者グループホームを利用しているといえます。
そうした障害者がどこかへ出向くとき、送迎が必要になるケースはよくあります。ただ、障害者グループホームに対する送迎加算は利用できないと考えましょう。
日中活動系や短期入所で送迎加算を利用可能
なお障害者グループホームの入居者で送迎が必要な人は非常に多いです。そうしたとき、送迎加算は日中活動系の障害福祉サービスや短期入所で利用できます。
障害者グループホームの利用者では、日中活動をするために共同生活援助から以下のような日中活動サービスの施設へ出向きます。
- 就労継続支援A型・B型
- 就労移行支援
- 生活介護
こうした施設について、送迎サービスを実施することで送迎加算を得られます。特に就労継続支援B型や生活介護は重度の障害者が利用するため、送迎サービスを提供しているケースが多いです。いずれにしても、送迎加算を利用できるのは共同生活援助ではなく、日中活動系の事業所です。
医療機関への通院同行・送迎はどうする?
ただ障害者グループホームで送迎加算を利用できないとはいっても、共同生活援助で障害者の送迎が必要になるケースはよくあります。最も代表的な送迎の場面としては、医療機関への通院同行です。
親族が利用者(障害者)を病院・クリニックへ連れて行ってくれるのであれば特に問題ありません。ただ親族と連絡を取れなかったり、縁を切られていたりするケースがよくあります。また本人だけでは通院できない場合、結局のところ障害者グループホーム側で対応しなければいけません。
このとき、主に以下の方法があります。
- 施設側で車を用意し、通院同行を行う
- 通院等介助を活用する
それぞれについて確認しましょう。
施設側で車を用意し、通院同行を行う
障害者グループホーム側で車がある場合、車を利用して通院同行を行います。ただ前述のとおり、たとえ通院同行を実施したとしても送迎加算を得ることはできません。そのため、車を用意して通院同行したとしても施設側のボランティアになります。
または、1時間1000円ほどを送迎費用として利用者から徴収し、車による送迎を実施しても問題ありません。
もちろん通院同行に限らず、車を利用して買い物同行を行うなど、その他の支援で車を利用しても問題ありません。ただいずれにしても、介護スタッフによる車による送迎はボランティアのような形になります。
通院等介助により、月2回まで支援してもらう
このとき、医療機関へ通う頻度が少ないのであれば、障害者グループホーム側の通院同行で対応できます。ただ、月に複数回の通院が必要になる場合は施設側の対応が難しくなります。そうしたとき、通院等介助の利用を検討しましょう。
居宅介護のサービスの一つに通院等介助があります。障害者グループホームに入居中の利用者であっても、通院等介助を利用して医療機関へ出向くことができます。
通院等介助では、ヘルパー分の交通費を含めて、交通費は全額利用者の負担になります。ただ、通院等介助によって障害者は問題なく病院・クリニックへ出向けるようになります。
なお障害者グループホームの利用者が通院等介助を利用する場合、月2回までという制限があります。ただ月2回の送迎が可能であれば十分な障害者は多く、たとえ障害者グループホーム側で通院同行が厳しい場合であっても、通院等介助を利用してもらうことで病院対応が可能になります。
共同生活援助で利用者の送迎を行う
一人だけの力では生活が困難な障害者は多く、そうした障害者では自らの力で外出するのも困難です。そのため、送迎が必要になる場面は多いです。
ただ送迎加算は日中活動系や短期入所で利用できる加算です。障害者グループホーム(共同生活援助)で送迎加算の利用は考えないようにしましょう。
しかし、医療機関への通院など、障害者グループホームから送迎しなければいけない場面がどうしても発生します。そこで、この場合は送迎費用を徴収してもいいので障害者グループホーム側が車を用意して送迎しましょう。または、通院等介助を利用すれば月2回までヘルパーによる病院への同行が可能になります。
障害者である以上、送迎に関する支援が必要になります。ただ共同生活援助では送迎加算を利用できないことを理解して、利用者に対して適切な支援を提供しましょう。