障害者グループホームを利用する人では、ほとんどの人で病院・クリニックへの通院が必要です。知的障害や精神障害、身体障害、難病で毎日の薬の服用が必要になるのです。

そのため、必須になるのが定期的な通院です。薬を処方できる日数には上限があるため、例えば3か月に一度など、定期的に通院する必要があります。

それでは、病院へ行くとき障害者はどのような手段を利用すればいいのでしょうか。障害者グループホームの職員が通院への付き添いをしてくれるのでしょうか。病院同行については施設によって対応が異なるため、事前に確認しなければいけません。

グループホームにとって、施設利用者への病院同行は必須ではありません。そこで、どのように通院を考えればいいのか解説していきます。

病院への通院同行は施設によって異なる

ほとんどの場合、障害者や難病患者では毎日の薬の服用が必要になります。そのため、定期的に通院しなければいけません。

このとき、障害者グループホームによって通院同行に対する対応は異なります。主には、以下のパターンになります。

  • 無料にて通院同行をしてくれる
  • 有料にて通院同行をする
  • 病院への付き添いを行わない

つまり、障害者グループホームが積極的に病院・クリニックまで同行してくれるわけではありません。グループホームを利用するにあたり、まずはこの事実を認識する必要があります。

病院・クリニックへの送迎が必須ではない理由

それでは、なぜ障害者グループホームで病院やクリニックへの送迎が必須ではないのでしょうか。これは、グループホームはあくまでも障害者へ住まいを提供し、自立した生活を送れるように支援するのが仕事だからです。

そのため障害者グループホームにとって、以下の対応は仕事内容に含まれていません。

  • 病院への付き添い
  • 車を利用しての送迎
  • 役所や買い物への同行

「食事の用意やそうじ・洗濯の手伝い」「薬の服用対応」「周辺住民への説明」「その他の介助」など、施設内で毎日の生活に関わることは介護職員の仕事です。ただ、施設外に関する対応についてはスタッフの仕事ではありません。

これが、障害者グループホームによって送迎や付き添いへの対応が異なる理由です。グループホームが違えば、送迎への考え方だけでなく、「障害者とのミーティングの頻度」「レクリエーションの回数」など、さまざまな内容が大きく異なると理解しましょう。

有料にて病院への同行をする施設はよくある

前述の通り、病院送迎は障害者グループホームの仕事ではないですし、そうしたサービスを実施しても国から報酬をもらえるわけではありません。グループホームの収益源は国からの報酬支払いですが、病院送迎は想定されておらず、こうしたサービスはボランティアになってしまうのです。

このとき無料での送迎は無理であっても、有料にて病院へスタッフが同行・送迎してくれるケースはよくあります。この場合、グループホームが所有する車を利用して病院またはクリニックまで出向くことになります。

参考までに、以下はグループホームの利用者について施設所有の車で送迎しているときの様子です。

費用は障害者グループホームによって異なりますが、参考までに、上の写真を提供してくれたグループホームは通院同行援護費として1時間1000円を徴収しています。この費用については、毎月のグループホーム利用料に上乗せして請求されます。

なおこうした付き添いというのは、病院に限らず役所や買い物でも利用できます。この場合の同行についても同様に1時間1000円にて、この施設は対応しています。

利用者自ら公共交通機関や自転車などを用いて病院へ行くことができたり、家族が送迎してくれたりする場合、施設による有料送迎は必要ないです。ただ自力では通院できなかったり、家族が遠くに住んでいたりする場合、こうした送迎サービスを利用するというわけです。

同行費用はグループホームによって異なりますが、相場は1時間1000~1500円です。ものすごく高い金額ではないため、こうした送迎サービスがあるなら利用すればいいです。またほとんどの場合、いつもと同じ処方内容となるため、送迎回数と支出を抑えるために処方できる日数の最大を医師に依頼してもいいです。

送迎できない場合、家族はどうすればいいのか

ただ一番の問題として、利用している障害者グループホームが送迎に対応していないケースがあげられます。重度の知的障害者・精神障害者であったり、自らの力で移動が困難な身体障害者・難病患者であったりする場合、自ら公共交通機関を利用しての移動はできません。

また家族の協力がなかったり、親族が遠くに住んでいたりする場合、障害者は通院できません。そうなると薬を服用できず、症状の大幅な悪化を招いてしまいます。

この事態は防がなければいけないため、障害者グループホームで付き添いサービスが提供されていない場合、以下を検討しましょう。

  • 通院等介助の利用
  • 訪問診療の利用
  • 他のグループホームへ移る

それぞれの方法を確認しましょう。

通院等介助の利用で病院へ出向く

介護・福祉サービスに通院支援があり、障害者であれば「居宅介護の通院等介助」を利用できます。「通院介助が必要」と認められる必要があるものの、通院が困難な場合はヘルパーによる通院介助が可能です。

なお通院介助については、少し使い勝手が悪いです。まず、ヘルパーが車で迎えに来てくれて、病院やクリニックまで送迎してくれるわけではありません。移動方法はバスや電車などの公共交通機関の利用または徒歩です。そのため、病院まで移動するのに時間がかかります。

なお多くの場合、公共交通機関を利用することになりますが、障害者本人は当然として、ヘルパー分の交通費も全額自費負担となります。それに加えて、障害者グループホーム(共同生活援助)の利用者は「通院等介助の利用が月2回まで」という制限もあります。

ただ居宅介護(ホームヘルプ)の通院等介助を利用することにより、ヘルパーによる病院同行が可能になります。こうして障害者グループホームから病院への、ヘルパーによる通院同行が可能になります。

訪問診療により、診察に来てもらう

医療機関や訪問看護ステーション、薬局などと提携している障害者グループホームであれば、医師による訪問診療が可能です。また、訪問看護ステーションや薬局と提携することにより、外出しなくても診察や医療的ケア、薬の受け取りまで可能です。

常時医療が必要な人や重症心身障害者であっても受け入れ可能な障害者グループホームの場合、訪問診療が可能なグループホームであるケースが多いです。

または、医療法人が経営する障害者グループホームについても、医師による訪問診療が可能となっていることがよくあります。

障害者グループホームによって、医療機関と提携しているかどうかは異なります。そのため提携の有無を確認する必要はありますが、提携している場合はグループホームの外へ出なくても医師による診療が可能です。

通院・付き添いが可能なグループホームへの転居も考える

ただ事情によってこれらのサービスを利用できず、障害者グループホーム側が有料送迎もしていない場合、現実的に通院が無理な人は多いです。

体調不良や緊急時、自力では通院困難な人、日中の状態を主治医へ報告困難な人など、こうした障害者で家族が遠くに住んでいたり、親族の協力を得られなかったりする場合、通院できないので薬を受け取ることができず、病気は悪化する一方です。

この場合、仕方ないので障害者グループホームを変更しましょう。障害者グループホームの場合、ほかの都道府県にある施設であっても入居可能です。特定のエリアに存在するグループホームにこだわるよりも、定期的に病院へ通院し、診察を受けることで障害者の症状を安定させるほうが重要です。

グループホーム側の制度を変えることはできません。そこで有料でもいいので、病院への付き添い・送迎サービスを実施している障害者施設を選ぶのです。また、こうした施設なら通院に限らず、役所や買い物への同行も有料ですが依頼可能です。

障害者にとって非常に重要な支援内容の一つが病院同行です。障害者グループホームを選ぶとき、車での送迎が可能かどうかを含めて確認しましょう。

施設によって送迎・病院同行の対応が異なる

施設内について、障害者に介護サービスを提供するのが障害者グループホーム(共同生活援助)です。一方、障害者グループホームの施設外については、レクリエーションを除いてスタッフの仕事ではありません。

そのため通院については、基本は「本人が自力で出向く」または「家族の付き添い」によって受診してもらいます。ただ障害者グループホームによっては、問題なく付き添いをしてくれる場合があります。または、有料にて送迎してくれることもあります。

一方で送迎サービスがない場合、重度の障害者や難病患者で家族の支援がないのであれば、通院等介助を活用しましょう。ただ、事情によってこうしたサービスも利用できない場合、現実的に通院は難しいです。この場合、ほかのグループホームへ移ることも考えなければいけません。

障害者施設によって対応が異なるからこそ、事前に送迎対応できるかどうかを確認するのは重要です。特に自ら通院できない障害者の場合、入居するグループホーム選びは慎重にならなければいけません。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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