障害者グループホーム(共同生活援助)を利用するとき、通常は長期間、障害者施設へ住むことになります。そのため、事前に障害者グループホームの雰囲気を知っておくことは重要です。
そこで通常、障害者グループホームへ入居するときは体験入所を利用します。3日や1週間など、数日ほど短期でのお試し利用をするのです。こうした体験入所により、他の利用者や世話人の様子、施設のルールを把握できるようになります。
なお、体験利用するためには障害福祉サービス受給者証の入手が必要です。そこで、障害者グループホームの利用では体験入居も含めて早めに申請しなければいけません。
それでは障害者が体験利用するとき、何を考えればいいのでしょうか。障害者グループホームでの体験入居の流れや手続き、料金について解説していきます。
もくじ
障害者グループホームで体験入所が可能
知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であり、障害支援区分の指定を受けているのであれば、誰でも障害者グループホーム(共同生活援助)を利用できます。障害者グループホームを利用する理由としては、例えば以下があります。
- 家族がずっと障害者の世話をしており、家族の休息が必要
- 単身生活を考えており、前もって一人暮らしに慣れたい
- 障害者が親元を離れて生活したい
ただ障害者グループホームへ入所を希望するにしても、どのような生活になるのかについて、実際に経験しなければわかりません。
障害者グループホームでは、複数の障害者や難病患者が共同生活を送っています。こうした施設では、家族のいない障害者も暮らしています。
ただ他の利用者や世話人と合わなかったり、施設のルールが微妙だったりする場合、障害者グループホームでの暮らしが苦痛になります。そこで、ミスマッチを防ぐために正式な入居前の体験入所をするのです。
なお家族がおらず、ほとんど働けない人であっても、介護職員による支援によって問題なく暮らせるのが障害者グループホームです。重度の知的障害者・精神障害者であっても障害者グループホームを利用可能です。
空いている一室で体験入居を行う
障害者グループホームで体験入所をする場合、多くは施設に存在する空き部屋を利用することになります。このときの部屋は、以下のように見た目は普通です。
障害者グループホームでは多くのケースで、複数人で一つの家に住み、浴室やトイレは共同利用となります。そのためお風呂は順番制であり、トイレが埋まっている場合は待たなければいけません。
また障害者グループホームという性質上、隣の部屋からうめき声が聞こえてくるケースはよくあります。これについてはどうしようもないため、我慢しなければいけません。ただ、それ以外は格安にて利用できるので優れています。
こうした障害者グループホームの性質を理解したうえで体験利用しておけば、「どのような場所で生活することになるのか」を事前に把握できるようになります。
体験期間は2~7日が一般的:最大30日間まで
それでは、障害者グループホームで体験入所をするとき、利用期間はどれくらいになるのでしょうか。体験利用したい場合、原則として同じ施設に連続で利用できる日数は30日までです。
ただ実際のところ、長期の体験利用をする人はいません。通常は2~7日の滞在であり、長くても10日ほどの体験入居になります。
障害者グループホームは格安にて利用できます。これは体験利用中も同様であり、格安利用が可能です。
ただ体験利用というのは、あくまでも「障害者グループホームを利用する前の確認作業」になります。そのため長期での体験利用は意味がなく、通常は2~7日ほどで体験入所を済ませるといいです。なお、体験入居の希望日数は利用者側(障害者側)で選ぶことができます。
なお通常、障害者グループホームまでは本人が自力で出向く、または家族による送迎となります。または、グループホームによっては有料にて送迎してくれることもあります。これについては、体験入居の利用前に確認するといいです。
格安料金で利用できるが、実費負担は発生する
なお前述の通り、体験利用であっても格安料金にて利用できます。通常、障害者グループホームはサービス料が1割負担です。ただ障害者グループホームについては、福祉サービスの月の負担上限金額が以下のようになります。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
障害者ですでに一人暮らしをしている場合、多くのケースで住民税の非課税世帯です。「前年まで健常者であり、事故で急に障害者になった」「実家暮らしであり、低所得世帯ではない」などの場合、障害福祉サービスの費用は必要であるものの、それでも負担額は安いです。
なお、こうしたサービス利用料とは別に食費や水道光熱費もかかります。ちなみに、一般的なグループホームでは食費や水道光熱費、インターネット代などすべての生活費を含めて月6~8万円となります。
こうした低料金でなければ、障害年金などのお金だけで生活することはできません。そのため、必然的に安い金額にて生活できるように設定されているのです。
なお体験利用であれば、食費や水道光熱費などを日割り計算するとして、一日あたり3000円ほどの実費負担と考えればいいです。例えば1泊2日の体験利用では、2日分なので6000円ほどの金額になります。これが2泊3日の場合、9000円ほどです。
体験利用であっても事前の申請が必要
それでは、どのように体験利用を依頼すればいいのでしょうか。ホテル利用とは異なり、空きがあったとしても、直前に依頼しても受け入れてくれません。体験入所であっても、新規申請の障害者はある程度の時間が必要になるのです。
利用する障害者グループホームを探すのは当然として、役所でも手続きが必要になります。このとき、役所にて障害者グループホーム(共同生活援助)の支給が決定すると、ようやく体験入所が可能になります。具体的には、「共同生活援助」と記された障害福祉サービス受給者証を得なければいけません。体験入居の場合、以下のように記されます。
ここには、障害者グループホーム(共同生活援助)にて3日間の体験利用が可能になっていると記されています。また体験利用の日付も記されており、いずれにしても体験入居するためにこうした書類が必要になります。
障害者グループホームの運営は国からの報酬支払いによって成り立っています。そのためホテルとは異なり、自由にいつでも受け入れられるわけではなく、事前の認定が必要になることを理解しましょう。
このとき、実際に体験利用する場合の流れは以下になります。
- 障害福祉サービス受給者証の保有・入手
- 利用したい障害者グループホームを探す
- 体験利用の申請をする
- 障害者グループホームで体験入居
こうした流れや手続きを理解したうえで、まずは障害福祉サービス受給者証を入手しましょう。その後に利用したい障害者グループホームを探し、体験入居の申請をするといいです。
・新規申請では1~2か月ほどの時間がかかる
なお既に障害福祉サービス受給者証を保有している人の場合、すぐに体験入居を依頼できます。既に障害支援区分があるため、体験利用したいと伝えることで近日中の体験が可能なのです。
一方、新規で障害福祉サービス受給者証を得る場合、1~2か月の時間が必要です。また体験入居するためには、障害福祉サービス受給者証が発行されている状態でなければいけません。そのため障害福祉サービス受給者証がない場合、早めに役所で申請することで体験入所できる状態にしましょう。
家具は備え付けなので必要なものは少ない
なお実際に体験入居するとき、必要となる荷物は少ないです。基本的には、どの障害者グループホームも家具が備え付けとなっているからです。
そのため体験利用で必要なのは、ホテルへの宿泊と同じような以下の荷物になります。
- 数日分の着替え
- 歯ブラシなどの日用品
- 毎日、服用している薬
ホテルや病院での宿泊とほぼ同じと考えれば、障害者グループホームでの体験利用で持っていく物はほとんどないとわかります。なお、持ち物の細かい内容については障害者グループホームによって異なるため、体験入所するときに必要な持ち物を施設へ聞きましょう。
体験入居を利用して施設の様子を把握する
長期滞在だけでなく、短期利用で障害者グループホーム(共同生活援助)を利用できます。体験利用にて、1泊2日や2泊3日が可能なのです。
通常、障害者グループホームへ入居すると何年もそこで生活することになります。そのため失敗を減らすため、他の利用者や世話人の様子、施設のルールを事前に把握しておくことは重要です。これにより、安心した状態で入居できます。
ただ体験利用するためには、障害福祉サービス受給者証が必要になります。既に保有している場合、すぐに体験利用できます。一方で新規にて申請する場合、1~2か月の時間が必要になります。
福祉施設の一つであるため、いつでも自由に障害者グループホームへ体験入居できるわけではありません。ただ体験であっても格安利用が可能であるため、障害福祉サービス受給者証を入手したら利用したい障害者グループホームの体験利用を済ませましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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