就労移行支援・就労定着支援でフリーランスを目指せるのか？

多くの障害者が利用するサービスに就労移行支援や就労定着支援があります。一般企業で働くことを考えるとき、これらの障害福祉サービスの利用は重要です。

ただ通常、就労移行支店・就労定着支援を利用してフリーランスを目指すのは支援内容に含まれません。また、いきなりフリーランスを目指すのは現実的ではないため、その前にステップを踏む必要があります。フリーランスとして在宅でお金を得るには簡単ではないのです。

それでは、障害者はどのように考えてフリーランスを目指すための障害福祉サービスを利用すればいいのでしょうか。フリーランスを目指す障害者について、就労定着支援・就労定着支援の活用法を解説していきます。

企業就職が就労移行支援・就労定着支援の目標

多くの人が利用する就労移行支援・就労定着支援ですが、どれも一般企業への就職が大前提となっています。まず、就労移行支援によってトレーニングを受け、企業就労で必要なスキルを身に着けると共に、面接対策を含めてサポートするのが就労移行支援です。

また実際に企業へ一般就労した後、その会社で働き続けられるように支援する障害福祉サービスが就労定着支援です。たとえ障害者雇用であっても

• 就労移行支援：企業就職を支援
• 就労定着支援：一般就労の定着を支援

つまり、就労移行支援も就労定着支援も個人事業主としての起業（フリーランスでの活躍支援）を想定していません。そのため就労移行支援を利用するとき、「フリーランスとして活躍したいので就労移行支援でトレーニングしたい」と申し出ても受け入れてくれません。

早いレスポンスは必須で甘えは通じない

なお精神障碍者の場合、特にフリーランスを目指す人が多いです。精神障害者は外出が苦手だったり、人付き合いが得意でなかったりする人が多いです。そのため、在宅で可能なフリーランスを考える精神障害者はたくさんあります。

ただ、在宅ワークを目指したいのは健常者も同じです。また、既に一般企業である程度の経験をもつ健常者がライバルになります。そのため、これまでのスキルなしでフリーランスで稼げるほど世の中はあまくありませんし、簡単ではないです。

当然、フリーランスである以上はクライアントへの素早いレスポンスは必須ですし、素早く仕事をして完成物を納品しなければいけません。当然、障害者だからといって優遇されることはなく、甘えは一切通じず、高いスキルをもつ健常者と同じ土俵で勝負することになります。

フリーランス希望でも企業就職からの独立が現実的

これらの事実を考えると、障害者がいきなり個人事業主にて在宅ワークで活躍するのは不可能といえるほど難しいです。そのため在宅で活躍するフリーランスを夢見るのではなく、もっと現実的に考えなければいけません。要は、最終的にフリーランスを目指す場合であっても最初は一般就労からスタートするといいです。

もちろん、一般就労とはいっても「工場で働く障害者雇用で働く」などではないです。この場合、どれだけ働いてもフリーランスで活躍するときにプラスになりません。

そうではなく、IT系企業での一般就労を目指しましょう。IT企業とはいっても幅広く、例えば以下のように種類が異なります。

• Webサイト運営（Webライティングなど）
• Webデザイン
• プログラミング・アプリ開発
• SNSマーケティング
• 広告運用

これらの会社で働く場合、必然的にITビジネスを行うためのスキルが身に付きます。仕事をすることで給料をもらいながら、個人事業主として将来独立するためのノウハウを得られるというわけです。また、企業で実際に働いた経験は実績として利用できます。

そのためいまスキルがない場合、現実的にすぐにフリーランスとして活躍するのはほぼ無理です。そこで、現実的に考えてIT企業での一般就労を目指しましょう。

就労移行支援で得られるスキルはフリーランスにも役立つ

そうしたとき、就労移行支援や就労定着支援が役立ちます。将来はフリーランスとしての独立を見据えるものの、最初は一般就労を目指すのです。その場合、就労移行支援や就労定着支援が役立ちます。

就労移行支援で学べる内容はさまざまですが、どの事業所でも社会人として必要なスキルに関する指導があります。例えば以下になります。

• 報連相（報告・連絡・相談）
• スケジュール管理
• 納期意識

これらは、個人事業主（自営業）として活躍するときにも活きてきます。通常、フリーランスで納期を守るのは当然なので、スケジュール管理することで間に合わせなければいけません。また、途中の経過報告を含めた連絡や相談も重要です。

これらは仕事を行うときに基本ですが、障害者では疎かにしがちです。そこで、まずはこうした仕事の基本を学ぶ必要があります。

ライティングやデザイン、プログラミングで学びたい内容を選ぶ

また就労移行支援ではスキルを学んでいきますが、このときはIT系の事業所を選びましょう。将来、在宅ワークが可能な仕事を選ぶ必要があるのです。ただ前述の通り、ITとはいっても広いです。そこで、以下の内容から興味のある分野を一つ選び、就労移行支援で学ぶといいです。

• Webライティング
• Webデザイン
• プログラミング

このうち、どれか一つでも優れたスキルを習得できれば、将来のフリーランスが可能になります。複数はダメであり、必ず一つだけ選んで特化しなければいけません。

例えば私の場合、当サイトを運営していることからわかる通り、Webライティングに特化しています。一方、Webデザインはできませんし、プログラミングも理解していません。ただ、Webライティングが可能なので多くの人を集める自社メディア（当サイト）を構築できています。

またWebライティングができれば、SNSマーケティングも行えるようになります。ライティングする場所がサイトからSNSになるだけであり、方法は同じです。

このように私の場合はWebライティングに特化しており、他のITスキルはないですが、それで問題ありません。同じように、どれか一つのスキルだけ学ぶことで専門性を高めることを意識しましょう。

そうして一般企業で働くことができたら、就労定着支援などによって企業勤めが続くように支援してもらいます。会社で働けば、前述の通り給料をもらいながら現場でスキルを磨ける最高の環境になります。そこで、会社で学ばせてもらったことを活かせば、将来のフリーランスへ近づけます。

働きながら副業をするといい

なお就労移行支援や就労定着支援を活用して企業就職する場合、将来のフリーランスを目指すのであれば、一般企業で働きながら副業をするといいです。副業とはいっても、アルバイトとしてどこかの施設で働くのではなく、在宅にて副業を行うのです。

実際のところ、会社を辞めた後にフリーランスを開始するのはリスクが大きいです。そうではなく、会社で働きながら副業で月4～5万円ほど稼げるようにしましょう。これくらいの収益があれば、会社を辞めた後にフリーランスとして本業に集中すれば収入を大きく増やせるため、大きな問題にはなりません。

このとき、最も手っ取り早いのはクラウドソーシングサービスです。例えばプログラミングであれば、以下のように案件がいくつもあります。

これは、WebライティングやWebデザインも同様です。まずはクラウドソーシングから始めてもいいので、スキルを磨いて会社に在籍しながら副業を開始しましょう。副業で少しでも成果を出せば、それをフリーランスとして拡大させていけばいいため、独立後の収益に悩まなくて済みます。

精神障害者がフリーランスをするにしても順序があります。スキルなしにフリーランスになるのは現実的ではないため、適切なステップを踏みましょう。

個人事業主の活躍で就労移行支援・就労定着支援は重要

障害者が就労移行支援・就労定着支援を利用するとき、起業（フリーランスとしての活躍）は対象外です。これらの障害福祉サービスはあくまでも、一般就労を想定しています。

ただ実際のところ、スキルのない障害者がいきなりフリーランスをしても失敗します。ライバルはスキルのある健常者であり、こうした人たちに勝てません。そこでフリーランスをするにしても、まずは一般就労を目指すのが一般的です。IT企業で働くことにより、実践にてスキルを磨くのです。

このときはWebライティングやWebデザイン、プログラミングが一般的です。この中から、あなたに最適なスキルを一つ選び、就労移行支援や就職後の企業でスキルを磨きましょう。そうして、働きながら副業を開始することで将来のフリーランスを見据えるのです。

個人事業主（自営業）として稼ぐには、適切な流れがあります。そこで現実的に考え、フリーランスを目指すにしても就航移行支援・就労定着支援を用いた企業就職からスタートするといいです。