障害者にとって、親亡き後問題は重要です。親の死後では、たとえ健常者の兄弟姉妹がいたとしても、面倒を見てくれるとは限りません。

こうした親亡き後問題への対策として、最初に考えるべきは施設の利用です。障害者支援施設や障害者グループホームなどの施設を利用すれば、たとえ障害者の面倒をみてくれる親族が誰もいなくても、障害をもつ子供は問題なく生きていけます。

また施設を利用すれば障害者は問題なく働けます。さらには、仕事だけでなくお金の心配をしなくて済みます。

それに加えて、遺言と家族信託を親が健全なときに設定しましょう。これにより、成年後見人の利用を避けることができます。障害者の親亡き後問題では考えるべきことが多いため、何を考えればいいのか学びましょう。

最初の対策はグループホームなどの施設利用

軽度や重度を問わず、すべての障害者で考えるべき最初の対策は障害者支援施設や障害者グループホームなどの利用です。

障害が軽度であり、症状によってはこれらの施設を使用しなくても問題ないケースは多いです。例えば軽度の精神障害者であれば、症状が出ていないときは健常者と同じです。一方で少しでも症状が重い場合、こうした施設の利用が適しています。

例えば障害者グループホームであれば、同じような知的障害者や精神障害者が共同で暮らしているため、介護職員の指導のもと、規則正しい生活を送れます。また親亡き後であっても、その他の親族が面倒をみる必要はありません。

なお、障害者が20歳などの若いときからこうした施設へ入れている親は非常に多いです。障害者グループホームなど、こうした施設の利用は誰も損をせず、障害者に関わるすべての人にとってメリットが大きいです。

ダウン症、自閉症、発達障害、精神疾患で最適な施設の探し方

なお障害者とはいっても、ダウン症や自閉症、発達障害、精神疾患(統合失調症、躁うつ病など)と種類が異なります。このうち、障害者グループホームなどの施設では多くの場合、あらゆる障害者がごちゃまぜで共同生活をします。

場合によっては症状ごとに特化しているグループホームは存在します。また複数の障害があったり、難病もちだったりする場合、対応している施設かどうかのチェックは必要です。そうした確認は当然であるものの、ほかには以下のポイントを確認して最適な施設を探します。

  • 建物のタイプ:一軒家またはアパート・マンション
  • 夜間対応
  • 生活の立地

障害者グループホームとはいっても、建物のタイプはさまざまです。一軒家で何人もの障害者が共同生活を送ることがあれば、アパート・マンションにて少数が共同生活を送るケースもあります。

参考までに、以下は実際のアパートタイプの障害者グループホームですが、このように見た目は普通のアパートと同じです。

またグループホームによって「夜間も職員が常勤している」「夜勤常駐はないものの、近くのグループホームに常駐があって見回りにくる」などの違いがあります。ほかには、食事を作ってくれるのか、それとも弁当なのかが異なります。

障害者グループホームごとに特徴は大きく異なるため、これについては実際に見学をするのがいいです。同じダウン症や自閉症、発達障害、精神疾患であっても、人によって症状は異なりますし、求めている支援内容は違うからです。

働く場所は障害者向けの就労支援を利用する

親亡き後に最も重要なのは、障害者の住む場所です。このとき親が亡くなる前からこうしたグループホームへ入所するのが普通であり、住む施設を探すことができれば、障害者の親の死後に関する問題の大半を解決できます。

これは働く場所も同様です。軽度であれ重度であれ、障害者グループホームに入所している人は働いているのが一般的です。これは、障害者の自立支援訓練という意味も含まれています。

もちろん、障害の程度によって働ける場所は異なります。軽度の障害であれば一般企業で勤務できますし、重い障害の場合は雇用契約を結ばない軽作業となります。

障害者向けの就労施設は多く存在し、その中には就労支援施設もたくさんあります。自宅では引きこもりの障害者であっても、障害者グループホームへ入所すれば規則正しい生活や就労が可能であり、さらには賃金を得られるため、親が健全なときからこうした施設の利用が最適なのです。

統合失調症など、一生入院するのは現実的ではない

なお障害者では、病気持ちであるのが普通です。ダウン症や自閉症、発達障害、統合失調症、躁うつ病など、毎日服用しなければいけない薬があるのが基本なのです。

このとき中には、「親亡き後、障害者が一生入院することはできないのか?」と考える人もいます。ただ現実的には、「親が死亡した」という理由だけで一生を病院生活するのは微妙です。病院としては、基本的には退院させるのが仕事になります。

そのため、やはり親亡き後は障害者グループホームでの生活が一般的です。長く働けない知的障害者や精神障害者であっても、施設であれば問題なく受け入れてくれますし、仕事に困ることも少なくなります。

障害者グループホームは一生、住み続けることができます。障害者のためのセーフティーネットであるため、親が健在なときから利用を開始して、早めに備えておくといいです。親が急に死亡すると対処できないため、親が生きているうちから障害者はグループホームなどの施設を利用するといいです。

仕事やお金の心配はしなくても問題ない

このとき、障害者グループホームなどの施設を利用するにあたり、お金の心配をする必要はありません。

ダウン症や自閉症、発達障害、統合失調症、躁うつ病など、こうした人では多くのケースで所得が低く生活保護や住民税の非課税世帯です。この場合、障害者グループホームの介護サービスは無料です。家賃や食費は別にかかるものの、金銭全体の収支がマイナスになることはありません。

障害者であれば、親の死後であっても障害年金を得ることができます。また障害年金に加えて、生活保護の申請も可能です。なお生活保護の場合、障害年金によって得られたお金を差し引かれて支給されるものの、同時の利用が可能となります。

さらに前述の通り、就労支援施設を利用して働くことも可能です。仮に生活保護がなかったとしても、障害年金や労働賃金を考慮すると問題なく生活できます。

障害者グループホームでは、ほぼ所得が存在しない重度の知的障害者や精神障害者もたくさん暮らしています。こうした人であっても問題なく生活しているのがグループホームであるため、施設を利用するのであれば、お金について心配する必要はありません。

事前の贈与をなくし、名義預金を回避する

なおこのとき、親によっては「障害をもつ子供に対して事前にお金を贈与しておこう」と考える人もいます。ただ、やめておきましょう。こうしたお金は名義預金と判定され、まったく意味がないどころか、親族に多大な迷惑をかけるからです。

障害の程度が軽度であり、自ら金銭管理を行うことができ、判断能力があるのであれば問題ありません。ただ重度のダウン症や自閉症、発達障害、精神疾患(統合失調症、躁うつ病など)の場合、障害者が口座の管理をすることはできません。

そうなると、障害者の口座に存在するお金は「実質的に親の口座のお金と同じ」と考えることができます。これを名義預金と呼び、名義預金は相続税の対象になります。

また名義預金は相続財産となるため、遺産分割協議の対象となり、残された親族にとっては面倒な作業のみ増えることになります。名義預金は意味がないどころか、デメリットが非常に大きいのです。

そのため、障害者にお金を残すにしても生前贈与にならないので、生前に渡してはいけません。また親亡き後問題に備えるため、お金を残すにしても、生命保険などその他の節税対策を行うのが適切です。

兄弟がいても一人っ子でも遺言と家族信託は必須

なお親の死後に備えるとき、障害者グループホームを見つけた後、早めに遺言と家族信託を設定しましょう。障害者に兄弟がいる場合であっても、一人っ子であっても、遺言と家族信託の利用は必須の作業です。

親が死亡して相続が発生すると、相続財産に対して遺産分割協議をしなければいけません。以下のような遺産分割協議書を作成し、財産を分けるのです。

ただ遺産分割協議をするためには、「相続人全員が参加し、すべての相続人に判断能力がある」ことが前提条件となります。つまり相続人に障害者が含まれており、障害者に意思能力や判断能力がない場合、遺産分割を進めることができません。

このとき遺言があれば、遺言の通りに遺産を分ければいいため、遺産分割協議を回避できます。これが、遺言が必須になる理由です。

・家族信託によって財産を守れる

また事前に家族信託を設定しておけば、ほかの親族が障害者の代わりに財産管理を行えるようになります。通常、障害者本人でなければお金の引き出しはできませんし、契約も本人の同意がなければいけません。ただ家族信託を利用すれば、受託者(健常者の親族)が障害者の代行をできるのです。

なお、障害者が判断能力を有する場合であっても家族信託は有効です。例えば生命保険を利用する家族信託であれば、信託銀行が受託者(お金の管理人)になります。これにより、死亡保険金が一括で支払われるのではなく、分割で障害者に支払われます。

分割受取であるため、財産を受け取った人による無駄遣いを防げます。障害者の判断能力の有無に関係なく、家族信託は有効なのです。

さらに、障害者に子供がいない場合など、障害者に法定相続人がいなければ財産は国に没収されます。そこで家族信託を利用すれば、例えば「障害をもつ子供が死亡した後、孫(健常者である長男の子供)に財産を渡す」などのように、複数世代にわたって受益者を指定できます。

家族信託は自由度の高い方法であり、これによって国に財産を取られる事態を防げます。親亡き後問題では、一族の財産を守るのも重要なのです。

成年後見制度の利用はできるだけ避ける

それでは、遺言や家族信託なしに親が死亡した場合、どのような事態に陥るのでしょうか。このとき軽度の知的障害者や精神障害者であり、判断能力がある場合、遺産分割協議をすることができます。

一方で判断能力がない場合、障害者の代理人を設定しなければいけません。これを成年後見人と呼び、成年後見人が障害者の代わりとなって金銭管理や契約の代行が可能です。

ただ成年後見人は自由に選ぶことができず、裁判所が指定します。このとき8割以上は弁護士や司法書士などの専門家が指定され、これによって月2~5万円と高額な費用が発生します。しかも途中での解除ができず、障害者が死亡するまで後見人は継続します。

しかも、障害者の資産を減らさないように管理するのが成年後見人の仕事です。そのため、自立支援のためにお金の管理をグループホーム側が行おうとしても、成年後見人はお金の支出を許可してくれません。こうしてお金のコントロールが自由にできず、障害の程度が軽度であれ重度であれ、本人の自立は阻害されます。

また本人の収入が少ない場合、成年後見人へ支払う費用が高くなってしまい、正しく生活できなくなるリスクもあります。

デメリットの多い仕組みが成年後見制度です。成年後見人の利用を避けるのは、親亡き後問題で重要なポイントの一つです。遺言や家族信託をうまく利用すれば成年後見人の選定を避けられるため、相続人の中に障害者が含まれる場合は必ず利用しましょう。

グループホームなどの施設を利用し、相続に備える

親亡き後問題は親にとっても子供にとっても重要です。親の死後に障害をもつ子供が生活できなくなる事態は避けなければいけません。

何も対策をしないと、当然ながら障害者は一人で生きていくことができません。たとえ軽度で判断能力があっても、知的障害や精神障害によって長く働けない人は多いです。そこで、早めに障害者グループホームを利用することで、親がいつ死亡しても問題ない状態にしておきましょう。

こうしたグループホームを利用すれば、仕事の問題も解決できます。施設を利用する場合、ほぼ全員が働くことになるからです。またお金の支出が合計でマイナスになることを心配する必要もありません。

ただ事前に遺言や家族信託を利用することを忘れないようにしましょう。これによって成年後見人の選定を回避し、すべての相続人にとってスムーズに相続作業が終わります。親亡き後問題では、これらの対策を事前に行いましょう。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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