知的障害者であれば、療育手帳(愛の手帳)を取得できます。ただ、療育手帳へ新規申請や更新をするためには知能指数(IQ)を測定するためにテストを受けなければいけません。

それでは、どのようなIQであれば療育手帳を保有できるのでしょうか。また、知能検査の中身としては何があるのでしょうか。

障害者手帳を入手・更新するためには、知能検査での基準値を下回らなければいけません。そこで、どのような内容のテストを受け、このときどのような基準になっているのか知っておくのは重要です。すべての人が療育手帳を取得できるわけではなく、あくまでも知能指数の低い人で障害者手帳を利用できるのです。

それでは、療育手帳を申請・更新するときの判定基準はどのようになっているのでしょうか。知能検査の中身や知的障害者と判定される基準について解説していきます。

知的障害者かどうかで重要な知能指数(IQ)

多くの人は自分の知能指数(IQ)を測定したことがないものの、知的障害者についてはすべての人で知能検査が行われます。知能指数として数字を出すことにより、平均的な人よりも知能レベルが劣っていると客観的に示す必要があるからです。

障害者手帳の申請・更新をするとき、すべての人で診断書の提出が必要です。療育手帳(愛の手帳)の診断書では、「知的障害がどれだけ重度なのか」を記載する項目があり、重症度にIQが利用されるというわけです。以下は実際の診断書の一部です。

いずれにしても、知的障害者が障害者手帳を入手するときは知能指数(IQ)が重要になると考えましょう。こうしたテストを児童相談所(18歳未満)または知的障害者更生相談所(18歳以上)で受け、診断書を発行してもらうことになります。

・日常生活の能力を加味する

なお実際に療育手帳の申請をするとき、本人について日常生活の遂行能力を加味することになります。知的障害者の場合、行えることがどうしても少なくなります。そのため本人への知能テストだけでなく、親へのヒアリングなども行われます。

療育手帳(愛の手帳)の対象者とIQの申請・判定基準

それでは、知能検査の結果によって重症度はどのように判断されるのでしょうか。療育手帳について、以下のような基準になっています。

IQ重症度等級・区分
~20最重度療育手帳A
21~35重度
36~50中度療育手帳B
51~70軽度

このように、知能指数(IQ)によって等級・区分が異なります。なお、あなたが住んでいる地域によって療育手帳の名称が異なり、等級が違うことはよくあります。ただいずれにしても、知能検査の結果によって等級が決定される事実は共通しています。

大人でも療育手帳に申請は可能

このとき、療育手帳は18歳未満で新規に取得するのが一般的です。知的障害は生まれつき、または幼少期の事故・病気が原因である必要があり、大人になった後に事故や病気で物事を正常に考えられなくなった場合、それは知的障害者ではなく身体障害者または精神障害者に該当します。

ただ元から知能指数が低かった場合、大人になった後であっても新規で療育手帳を取得するのは可能です。なお成人後に療育手帳の取得を考える人としては、発達障害の人で多いです。

しかし、18歳未満の知的障害者に比べると、18歳以上での新規取得はどうしても難易度が高くなります。理由としては、18歳未満のときに知的障害が存在したことを書類によって証明する必要があるからです。具体的には、以下のような書類を可能な限り集めます。

  • 成績表・学力テストの結果
  • 特別支援学校や特別支援学級に在籍していたとわかる書類
  • 医療機関で実施した18歳未満での知能検査の結果

18歳未満であれば、学校の成績表が手元にありますし、たとえ紛失していても学校に問い合わせればいいです。一方で18歳以上の場合、こうした書類をすべて捨てており、学校にも記録が残っていないのは普通です。そのため、療育手帳の新規取得は18歳未満が一般的になります。

IQは何を意味しているのか?

それでは、IQは何を意味しているのでしょうか。知能検査を受けるにしても、IQの概念を知らなければ、結果が何を意味しているのかわかりません。

平均をIQ100とします。年齢に関係なく、平均の知能指数を100とするのです。そのため「5歳や10歳の平均IQは?」と疑問に思う人は多いですが、5歳の平均IQは100ですし、10歳の平均IQも100です。その年齢相当の平均知能が100なのです。

こうして、IQ100からどれだけズレているのかによって知能指数を考えます。具体的には、IQ70以下は知的障害者、IQ130以上は天才というわけです。また、IQ70~130の人が全体95%です。

つまりIQ70以下は全体の2.5%、IQ130以上は全体の2.5%に該当します。知的障害者というのは、100人に2.5人の割合で存在するのです。こうした内容を知っていれば、IQの結果を得られたときに「結果が何を意味しているのか」がわかります。

知能検査の種類とテスト内容:田中ビネー式知能検査

それでは、知能検査にはどのような種類があるのでしょうか。有名な検査法としては以下が知られています。

  • 田中ビネー式知能検査
  • 鈴木ビネー式知能検査
  • ウェクスラー成人知能検査

他にもありますが、療育手帳での知能指数測定では田中ビネー式知能検査がほとんどです。ちなみに、約5~6割で田中ビネー式知能検査が利用されていると公表されています。2歳から成人で利用できる検査法が田中ビネー式知能検査です。

なお検査方法としては、パズルや図形を用いるなど、どれだけ問題を解けるのかによって測定することになります。

幼児では発達指数DQを用いる:新版K式発達検査

ただ幼児など年齢が低い場合、言葉を自由に話すことですら難しいです。そのため知能指数を測定するのは難しく、IQの代わりに発達指数(DQ)を用いることがよくあります。

発達検査の方法としては、新版K式発達検査が知られています。新版K式発達検査は生後100日から利用できます。検査ではおもちゃや道具を含め、日常的な題材が利用されます。いずれにしても、年齢が低い幼児で利用される検査方法が新版K式発達検査です。

そのため未就学児については新版K式発達検査を利用することがよくあり、小学生以上では田中ビネー式知能検査を利用することがよくあります。

参考までに、療育手帳の発行で新版K式発達検査が利用される割合は約2割です。年齢が低い場合、新版K式発達検査によって療育手帳の発行可否を判定するのです。

療育手帳の発行では知能指数(IQ)と発達指数(DQ)が重要

知的障害者が障害者手帳を新規申請・更新するときに必須となるのが知能検査です。検査内容によってIQが出され、日々の生活実態についてもヒアリングされた後、療育手帳の発行可否を判定されます。

当然、「日常生活を送るのがどれだけ大変か」を親が伝えても、テスト結果でIQが基準に満たなければ療育手帳は発行されません。療育手帳(愛の手帳)というのは、あくまでも知的障害者のみ保有できる障害者としての証明書だからです。

なお年齢が低い場合、IQではなく発達指数(DQ)が利用されることがよくあります。この場合についても、数値が低い場合は療育手帳への申請が可能です。

知能検査を受ける場合、事前に内容を学びましょう。テスト結果だけを受け取っても、それが何を意味しているのかわかりません。そこで、ここまで解説した内容を学び、知的障害の疑いがある場合は知能検査または発達検査を受けましょう。

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