障害者手帳には障害等級が存在します。同じ種類の障害者手帳であっても、等級が軽ければ受けられるサービスや補助内容は薄くなります。

等級が重いほど優れたサービスを受けることができ、手厚い補助内容になりますが、どのように障害等級が決まるのでしょうか。それぞれの障害者手帳について、等級の基準が存在します。また当然ながら、障害者手帳を交付してもらうためには基準を満たす必要があります。

なお障害者手帳を交付された後、再審査によって等級変更になるのは普通ですし、障害が増えることによって内容変更(追加)されるのもよくあります。

それでは、障害者手帳の等級や対象者の選定基準はどのようになっているのでしょうか。障害者手帳の等級や基準、等級変更について解説していきます。

障害の重症度によって等級が異なる

障害者手帳には種類があり、それぞれに等級があります。障害者手帳の等級は以下のようになっています。

  • 身体障害者手帳1~6級:体の機能に障害のある人
  • 療育手帳A・B:知的障害のある人
  • 精神障害者保健福祉手帳1~3級:精神障害のある人

療育手帳(または愛の手帳)については、自治体によって障害等級の基準が異なります。ただいずれにしても、療育手帳にはAとBの等級があります。

それではどのようなときに身体障害者手帳1級となり、精神障害者手帳2級になるのでしょうか。以下でそれぞれの基準を確認しましょう。

身体障害者の等級と障害ごとの基準・対象者

身体障害者とはいっても、視覚障害者や聴覚障害者、肢体不自由、内臓機能の障害と人によって障害の内容がまったく異なります。そこで、それぞれの内容に分けて障害者手帳の対象者を確認しましょう。

  • 視覚障害者
1級良い方の眼の視力が0.01以下
2級良い方の眼の視力が0.02~0.03
良い方の眼の視力が0.04、かつ他眼視力が手動弁以下(眼前でも視力がない)
3級良い方の眼の視力が0.04~0.07
良い方の眼の視力が0.08、かつ他眼視力が手動弁以下(眼前でも視力がない)
4級良い方の眼の視力が0.08~0.1以下
5級良い方の眼の視力が0.2、かつ他眼視力が0.02以下
6級良い方の眼の視力が0.3~0.6、かつ他眼視力が0.02以下

メガネやコンタクトレンズを使用して、矯正後の視力で身体障害者手帳の等級を判断します。なお、片目だけ見えない人は身体障害者の対象外です。

  • 視野障害
両眼開放エスターマンテスト視認点数10-2プログラム両眼中心視野視認点数
2級70点以下20点以下
3級40点以下
4級
5級100点以下
40点以下

恐らく医師でなければ内容を理解できないと思いますが、緑内障などによって視野が狭くなっている場合についても視覚障害者となります。

  • 聴覚障害
2級両耳の聴力レベルが100デシベル以上(両耳全ろう)
3級両耳の聴力レベルが90デシベル以上(耳をくっつけないと大声を理解できない)
4級
両耳の聴力レベルが80デシベル以上(耳をくっつけないと話し声を理解できない)
両耳による普通話声の理解度が50パーセント以下
6級
両耳の聴力レベルが70デシベル以上(40センチメートル以上の距離での会話を理解できない)
片耳の聴力レベルが90デシベル以上、他の片耳の聴力レベルが50デシベル以上

大きい声での会話が70デシベルです。つまり、「大きい声での会話を理解できない人」が聴覚障害者に該当します。

  • 平衡機能障害
3級平衡機能の極めて著しい障害
5級
平衡機能の著しい障害

めまいを含め、平衡機能に障害がある場合についても身体障害者の基準を満たします。

  • 音声機能、言語機能、そしゃく機能の障害
    3級機能の喪失
    4級
    機能の著しい障害

    声を出せなかったり、そしゃくが難しかったりする場合も身体障害者となります。

    • 上肢(肩から先の部分)の肢体不自由
    1級
    両腕の機能がまったくない
    両方の手関節が存在しない
    2級
    両腕・両手の著しい機能障害
    両手すべての指が存在しない
    片腕が2分の1以上で存在しない
    片腕の機能がまったくない
    3級
    両手の親指と人差し指が存在しない(または機能がまったくない)
    片腕の著しい機能障害
    片手のすべての指が存在しない(または機能がまったくない)
    4級
    両手の親指が存在しない(または機能がまったくない)
    片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節機能がまったくない
    片手の親指と人差し指が存在しない(または機能がまったくない)
    親指または人差し指を含めて、片手の3指が存在しない(または機能がまったくない)
    親指または人差し指を含めて、片手の4指の著しい機能障害
    5級
    両手の親指の著しい機能障害
    片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節の著しい機能障害
    片手の親指が存在しない(または機能がまったくない)
    片手の親指と人差し指の著しい機能障害
    親指または人差し指を含めて、片手の3指の著しい機能障害
    6級
    片手の親指の著しい機能障害
    人差し指を含めて、片手の2指が存在しない(または機能がまったくない)
    7級片腕の軽度の機能障害
    片腕の肩・ひじ・手のうち、どれか一関節の軽度の機能障害
    片手指の軽度の障害
    人差し指を含めて、片手の2指の著しい機能障害
    片手の中指・薬指・小指が存在しない(または機能がまったくない)

    7級については、一つのみが対象となる場合、身体障害者手帳は交付されません。一方で7級が2つ以上、該当する場合に身体障害者手帳6級が交付されます。肢体不自由では7級があるものの、7級に一つだけ引っかかる場合では身体障害者手帳の交付対象外となるのです。

    • 下肢(股関節以降の足)の肢体不自由
    1級両足の機能がまったくない
    両足で太ももの2分の1以上が存在しない
    2級両足の著しい機能障害
    両足でひざ下の2分の1以上が存在しない
    3級両足が足の付け根以上で存在しない
    片足で太ももの2分の1以上が存在しない
    片足の機能がまったくない
    4級両足のすべての指が存在しない(または機能がまったくない)
    片足でひざ下の2分の1以上が存在しない
    片足の著しい機能障害
    片足の股関節または膝関節の機能がまったくない
    片足がもう一方より10cm以上(または10分の1以上)短い
    5級片足の股関節または膝関節の著しい機能障害
    片足の足関節の機能がまったくない
    片足がもう一方より5cm以上(または15分の1以上)短い
    6級片足が足の甲半分より先(リスフラン関節以上)で存在しない
    片足の足関節の著しい機能障害
    7級両足すべての指の著しい機能障害
    片足の軽度の機能障害
    片足の股関節、膝関節、足関節のうち、いずれか一関節の軽度の機能障害
    片足の指すべてが存在しない(または機能がまったくない)
    片足がもう一方より3cm以上(または20分の1以上)短い

    下半身の障害についても7級はありますが、単独では障害者手帳が交付されることはなく、7級が2つ以上ある場合に身体障害者手帳6級が交付されます。

    • 体幹
    1級座れない
    2級座るまたは立つ姿勢の維持が困難
    立ち上がれない
    3級歩行が困難
    5級体幹機能の著しい障害

    体幹の障害により、体を垂直に維持するのが困難になります。この場合、身体障害者手帳を保有できます。

    • 運動機能障害(上肢・下肢の不随意運動)
    1級
    上半身の利用が不可能
    歩行が不可能
    2級上半身利用の日常生活が極度に制限
    歩行が極度に困難
    3級上半身利用の日常生活が著しく制限
    歩行で日常生活に制限
    4級
    社会での日常生活が著しく制限
    5級
    社会での日常生活に支障がある
    6級上半身や歩行の機能が劣る
    7級上半身または下半身に不随意運動がある

    自分の意識とは関係なく動いてしまう現象を不随意運動といいます。不随意運動によって日常生活が制限されている場合、運動機能障害となります。

    • 内臓(心臓、腎臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸)の障害
    1級日常生活活動が極度に制限
    3級家庭内での日常生活活動が著しく制限
    4級社会での日常生活活動が著しく制限

    事故や病気、難病により、内臓に障害を抱えている人はたくさんいます。この場合、障害の程度に応じて障害者手帳を交付されます。なお内臓の障害については、医師の診断書に検査値が記されることになるため、こうした客観的なデータによって等級が決められます。

    • HIV、肝臓の障害
    1級日常生活活動がほぼ不可能
    2級日常生活活動が極度に制限
    3級日常生活活動が著しく制限
    4級社会での日常生活活動が著しく制限

    HIVと肝臓について、先ほど記した「内臓の障害」と内容は似ています。ただ、等級の認定内容が少し異なります。

    知的障害者・精神障害者の等級と基準・対象者

    一方で知的障害者と精神障害者はどのような基準になっているのでしょうか。まず、知的障害者が申請できる障害者手帳の等級と基準は以下のようになっています。

    IQ重症度等級・区分
    ~20最重度療育手帳A
    21~35重度
    36~50中度療育手帳B
    51~70軽度

    療育手帳の入手では知能指数(IQ)のテストをすることになります。これに加えて、ヒアリングをすることで療育手帳の等級・区分が決定されます。

    ・精神障害者保健福祉手帳の基準はあいまい

    それに対して、精神障害者保健福祉手帳の基準は以下のようになっています。

    • 1級:一人では日常生活が不可能
    • 2級:一人では日常生活が困難
    • 3級:一人では日常生活が多少難しい

    このように、身体障害者手帳や療育手帳に比べて基準の内容があいまいです。そのため精神障害者の場合、診断書を書いてもらう医師によって得られる等級・区分は大きく異なります。つまり、診断書に記載された内容が得られる等級を大きく左右すると考えましょう。

    等級・区分によって得られるメリットは大きく異なる

    障害者手帳の等級・区分について、重度の障害者と認められるほど得られる公的サービスは大きくなります。例えば同じ身体障害者手帳であっても、1~2級は重度の障害者と認定されます。その結果、障害者手帳を用いるときの所得税・住民税の減額は大きくなり、国や自治体からの助成金も受けやすいです。

    「映画館やテーマパークの割引」「失業手当の長期支給」などのように、障害等級に関係なく、すべての障害者で等しく利用できる制度はたくさん存在します。ただ、等級が大きいほど得られるメリットが多くなるというわけです。

    身体障害者や知的障害者については、医師によって等級が変化することはほとんどありません。一方で精神障害者については、医師の独断と偏見によって「どの等級になるのか」「そもそも障害者手帳を入手できるか」が大きく異なってきます。

    障害者手帳で障害の程度を判断する書類は医師の診断書のみです。そこで医師の診断書の中身について、特に精神障害者は「日々の生活の困難さに関して、あなたの意見が正確に反映されているか」を確認しましょう。

    診断書の中身によって等級変更・障害の内容追加となるのは普通

    なお知的障害者と精神障害者については数年おきに再審査することになります。このとき、障害の程度が重くなっているのは普通です。この場合、等級変更によって、より重い等級になるのは普通です(反対に等級が軽くなることもあります)。

    更新に伴って再審査するときについても医師の診断書が必要になります。診断書の障害内容が深刻になっている場合、等級変更となるケースがあるというわけです。

    なお身体障害者については有効期限がありません。ただ他の事故や病気・難病の進行によって症状が重くなるのは普通です。この場合についても、最新の医師の診断書を役所に提出することで、より重い等級へ変更するのは可能です。

    または、他の障害が追加になることもよくあります。この場合についても、医師の診断書によって障害の内容変更・追加となり、障害者手帳の等級・区分が変わります。

    ちなみに、等級変更に伴って受け取れる手当が自動的に増えたり、利用できる公的サービスが多くなったりするケースはよくあります。そのため、症状が重くなった段階で等級変更を積極的に行うのは優れています。

    障害者手帳の等級と対象者を学ぶ

    すべての種類の障害者手帳について、障害等級が存在します。障害の程度によって得られる等級が異なるのです。

    基準を確認すれば、どのような人が障害者手帳の対象者になるのかわかります。ただ精神障害者のように、基準があいまいなケースがあります。この場合、医師の診断書が障害者手帳の取得にとって重要であり、記載の内容次第で等級も変わります。

    なお身体障害者や知的障害者、精神障害者、難病患者について、等級変更は可能です。身体障害者手帳のように有効期限がなくても、症状が悪化した場合、医師の診断書と共に再審査を依頼することで等級変更となるのは普通です。

    等級によって、障害者手帳を活用できる範囲が異なります。そこで障害者手帳へ申請するとき、障害の程度によってどのような等級・区分になるのかも確認しましょう。

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