障害者手帳を保有していれば、電車代(JR、地下鉄、私鉄)や新幹線代の割引を受けることができます。一人での乗車では割引が難しいですが、介護者と一緒の乗車であれば大幅な割引が可能になるのです。
身体障害者手帳または療育手帳を保有・提示(障害者手帳アプリでも可能)することによって交通費の支払金額は低くなります。なお、割引内容は第一種と第二種によって異なります。
なお新幹線代は乗車券のみ適用されたり、窓口で障害者手帳を提示することで割引を受けられたりなど、運賃を安くするときに事前の注意点があります。
それでは、障害者手帳を利用してどのように交通費の割引をしてもらえばいいのでしょうか。電車代や新幹線代の割引について解説していきます。
もくじ
身体障害者・知的障害者は交通費が安くなる
障害者手帳はメリットばかりであり、デメリットがありません。こうした障害者手帳の中でも、身体障害者手帳と療育手帳については、交通費を安くすることができます。
- 身体障害者手帳:体の機能に障害のある人
- 療育手帳:知的障害のある人
障害者手帳を保有することによって乗車料金が半額などになるため、電車代や新幹線代を節約できるというわけです。
精神障害者はJR、地下鉄、私鉄の多くで割引なし
ただ障害者手帳には精神障害者保健福祉手帳もあります。精神障害のある人にはこのような手帳が交付されます。
ただ精神障害者については、残念ながら電車代(JR、地下鉄、私鉄)や新幹線代の割引が多くのケースでありません(割引を受けられる鉄道会社もあります)。
知的障害や身体障害は基本的に治ることがありません。一方、精神障害は薬によって症状をコントロールできますし、寛解も可能です。いずれにしても、身体障害者または知的障害者のみ交通費の割引を利用できると考えましょう。
旅客運賃減額の第一種と第二種の違いと見極め方
それでは身体障害者や知的障害者であればどのような人であっても割引となるかというと、必ずしもそうではありません。第一種と第二種が存在し、軽度である第二種に該当する場合は交通費の割引がほぼありません。
例えばJRを利用する場合、第二種は以下の場合に運賃が半分になります。
- 本人が単独で101キロ以上乗車するとき
- 子供(12歳未満)と付き添い乗車する場合、大人用の定期券
新幹線を除き、障害者本人が単独で100キロ超を乗車することはありません。また第二種の場合、12歳未満の子供に付き添いする大人用の定期券のみ割引は有効です。そのため普通券では適用されず、交通費の割引は期待しないほうがいいです。
なお第一種や第二種について、判断基準は障害者手帳の等級ではありません。「第一種=障害者手帳1級」ではないのです。身体障害者の場合、障害者手帳の等級が以下の場合に旅客運賃減額の第一種となります。
身体障害の種類 | 手帳の等級 |
視覚障害 | 1級~3級、4級の1 |
聴覚障害 | 2~3級 |
上肢不自由 | 1級、2級の1・2 |
下肢不自由 | 1~2級、3級の1 |
体幹不自由 | 1~3級 |
脳原性運動障害:上肢機能 | 1~2級 |
脳原性運動障害:移動機能 | 1~3級 |
心臓、腎臓、呼吸器、小腸 | 1~4級 |
ぼうこう、直腸 | 1~3級 |
肝臓、HIV | 1~4級 |
ここに記載がない場合、旅客運賃減額の第二種に該当します。例えば平衡機能障害は第一種の該当がなく、必ず第二種となります。
一方で知的障害者については、以下のどちらかに該当する人が旅客運賃減額の第一種です。
- 療育手帳A:知能指数(IQ)が35以下
- 身体障害(肢体不自由、視覚・聴覚障害など)を有し、知能指数(IQ)が50以下
つまり重度の知的障害者、または身体障害と知的障害を併発している人以外は第二種となります。
単独乗車で運賃・定期券の割引メリットはない
なお身体障害者で車いす生活だったり、聴覚障害でまったく音が聞こえなかったりしても、一人で問題なく公共交通機関を利用できる人は多いです。重度の知的障害者では難しいですが、脳機能がしっかりしている身体障害者が電車を利用するのは普通です。
ただ第一種であっても、単独乗車では障害者手帳による割引がほとんど役に立たないと考えましょう。以下のとき、第一種の障害者が一人で利用すると交通費が5割引となります(JRの内容)。
乗車券 | 内容 |
普通券 | 101キロ以上を乗車:大人用・小児用 |
回数券 | 割引なし |
定期券 | 割引なし |
ICカード | 割引なし |
このように、旅客運賃減額の第二種と同様にほとんど意味のない内容になっています。電車や新幹線を利用して遠出しない限り、単独乗車で交通費の減額を得られることはありません。
介護者付き乗車の場合に運賃が低くなる
単独乗車できる人というのは、ある程度自立している人と考えることもできます。そのためJRや地下鉄、私鉄を利用しても一人での利用では交通費の減額となりにくいですが、介護者付きの乗車となると、運賃が低くなります。
第一種の障害者が介護者付きで乗車する場合、以下のケースでは運賃が半額になります(JRの内容)。
乗車券 | 内容 |
普通券 | 大人用・小児用 |
回数券 | 大人用・小児用 |
定期券 | 大人用のみ |
ICカード | 大人用・小児用 |
このように、介護者付きの場合は旅客運賃減額の第一種で大幅な割引運賃が適用されます。障害者手帳を利用して交通費が半額になるのは、誰でもいいので付添人がいる場合に限られます。
新幹線は特急券でなく、乗車券のみ料金が低くなる
なお、交通費の支払いをするのは電車(JR、地下鉄、私鉄)だけではありません。新幹線を利用するときもあります。
新幹線についても当然ながら割引となりますが、割引となるのは乗車券のみです。特急券については割引とはなりません。新幹線料金は乗車券代と特急券代が分かれています。そのうち乗車券のみ、単独乗車や介護者付きの乗車で半額になると考えましょう。総額の新幹線代が半分になるわけではありません。
なお障害者手帳を利用する場合、ほかの割引との併用はできません。例えば600kmを超える区間を往復する場合、乗車券が1割引になります。ただ、障害者割引と往復割引の併用はできません。
また切符を購入するときは本人確認が必要になるため、みどりの窓口での購入になります。
ネット予約や自動券売機のほうが便利であり、みどりの窓口で長い列に並ぶのは嫌であるものの、新幹線代を安くするためには窓口で買うのが基本になります。
なお当然ながら、特急券が対象外なのは新幹線だけでなく、電車の場合も同様です。割引対象なのは、特急券ではなくあくまでも乗車券となります。
割引となるICカード払いや切符の買い方
それでは、障害者手帳を利用して割引料金を適用してもらうとき、ICカード払いや切符の買い方はどのようになるのでしょうか。
多くの人はICカード(SuicaやPASMOなど)を利用して電車に乗ります。このとき、乗車時は普通に入り、駅から出るときに改札窓口で障害者手帳(または障害者手帳アプリ)を提示し、半額料金にしてもらいましょう。
なお障がい者PASMO(本人用)・介護者PASMO(介護者用)など、こうしたICカードを発行することも可能です。その場合は例外的に窓口での清算が不要です。ただ全国対応ではないため、「PASMO・Suicaエリアのみの利用」など制限があります。
また切符を購入するときについては、新幹線の乗車券と同様、窓口で切符代を支払うことになります。通常はICカード利用になるので問題ないですが、もし切符を購入する場合、窓口で先に支払うことになります。
JR、地下鉄、私鉄での交通費を障害者は安くできる
障害者手帳を保有するメリットの一つが交通費の割引です。ただすべての障害者が対象ではなく、精神障害者は運賃を抑えることができません。身体障害者または知的障害者のみ対象となります。
ただ旅客運賃減額の第二種であり、軽度に該当する場合、電車代の割引は乏しいです。新幹線で遠出をする場合はメリットがあるものの、それ以外はほぼ利用する機会がありません。これは、第一種で単独乗車する場合であっても同様です。
電車代が安くなるのは、介護者付きの乗車です。親族や他人(介護スタッフ)を含め誰でもいいので、介護者がいる場合に利用料金が半額になると考えましょう。このとき、ICカードでの料金の支払い方や切符の買い方を事前に学んでおくといいです。
障害者手帳をもつすべての人であらゆる電車代を節約できるわけではないものの、特に第一種の障害者で介護者が付き添う場合、普通券や定期券、ICカード利用を含めて半額になります。そこで、対象者はこうした制度をうまく活用しましょう。
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