障害者としてダウン症は有名です。人によって軽度や重度など症状の程度は異なりますが、ダウン症は遺伝が関わる先天性疾患なので治ることはありません。

こうしたダウン症の場合、障害者手帳へ申請できます。このときの障害者手帳は療育手帳(愛の手帳)または身体障害者手帳になりますが、メインは療育手帳です。療育手帳を利用することにより、子供でも大人でも補助や割引など非常に多くの支援制度を利用できるようになります。

それに加えて、障害者向けの福祉サービスも利用できます。障害児が利用できるサービスがあれば、大人で利用する福祉サービスもあります。

これらの支援制度を利用すれば、軽度や重度のダウン症であっても負担を軽減でき、大人になっても単独で生きていけます。そこで、ダウン症で利用できる支援制度や補助の中身を解説していきます。

取得できるのは療育手帳(愛の手帳)

障害者手帳には種類があります。その中でも、遺伝子に対して先天的に疾患のあるダウン症の人が取得できるのは療育手帳(愛の手帳)または身体障害者手帳になります。

  • 身体障害者手帳:体の機能に障害のある人
  • 療育手帳(愛の手帳):知的障害のある人

なお、遺伝子に異常のあるダウン症の人は身体障害者手帳よりも、療育手帳に申し込むことになります。

問題なく歩行できて内臓に異常がない場合、たとえ重度のダウン症であっても身体障害者手帳は保有できません。一方でダウン症の場合、軽度や重度の違いはあるものの知的障害があります。そのため、療育手帳へ申請するというわけです。

いつから申請可能?通常は1歳から

なお身体障害者手帳とは異なり、療育手帳は0歳児から申請できるわけではありません。療育手帳について、面接や知能テストを受ける必要があります。そのため、ある程度の年齢にならないと療育手帳の発行ができません。

そのため、原則として療育手帳を発行できるのは3歳以降です。こうした年齢でないと面接や知的テストを実施することができないからです。

ただダウン症の場合、遺伝子に異常があるのでテストをしなくても知的障害があると容易に判断できます。この場合、例外的に3歳になる前に療育手帳の発行が可能です。しかし、ダウン症であっても療育手帳の発行に面接や知的テストは必要であり、ダウン症での療育手帳の発行には1歳以降である必要があります。

逆にいえば、1歳を過ぎればダウン症児をもつ親は子供のために療育手帳の発行が可能というわけです。

療育手帳で受けられる支援内容は多い

ダウン症児を育てる親ができるだけ早い段階で療育手帳を発行するのは大きな意味があります。軽度や重度によって得られる支援は異なりますが、以下のような支援内容を得られるのは普通です。

  • 特別児童扶養手当
  • 障害児福祉手当
  • 医療費助成
  • 所得税・住民税の所得控除
  • 自動車税の減免やガソリン代の補助
  • 電車、新幹線、バス、タクシーの割引
  • 高速道路料金の割引 など

他にもたくさんありますが、例えば子供のダウン症児であればこれらの制度を利用できます。

手当によってお金を受け取る

障害児を育てる場合、国からお金が支給されます。障害の重症度(障害者手帳の等級)によって異なりますが、例えば療育手帳のA程度(IQ35以下)であれば、障害児を育てる親は以下の2つを得られます。

  • 特別児童扶養手当
  • 障害児福祉手当

また、重度ではなく中度・軽度の療育手帳(B程度・IQ50以下)であっても特別児童扶養手当を受け取ることができます。通常だと手当の受け取りに以下の診断書は必要になりますが、療育手帳があれば医師の診断書を省くことができます。

障害者手帳の入手に医師の診断書が必要であるため、助成金の申請で医師の診断書を入手するとなると二度手間です。まだダウン症では知的障害があると明らかであり、手当の受取申請で障害者手帳を利用できることはよくあります。

なお20歳以上になると、特別児童扶養手当や障害児福祉手当の代わりに障害年金を受け取れるようになります。障害者であると、常に国からお金が支給されます。

所得控除によって所得税・住民税を低くする

それに加えて、所得税・住民税を低く抑えましょう。障害児を育てる親は働いていると思いますが、世帯に障害者がいる場合、その分だけ所得控除があります。障害者手帳の所得控除は以下のようになっています。

区分所得税住民税
障害者27万円26万円
特別障害者40万円30万円
同居特別障害者75万円53万円

ダウン症で重要なのは、上の表で「障害者」と「同居特別障害者」です。「重度の知的障害者(IQ35以下)の扶養者」が同居特別障害者であり、それ以外が障害者(扶養者でも問題ない)と考えましょう。

ダウン症の症状が重度(障害者手帳の等級が重度)の場合、親は所得税75万円・住民税53万円を所得控除できます。軽度の場合であっても、親(または本人)は所得税27万円・住民税26万円を所得控除可能です。

電車や高速道路などの障害者割引を利用する

それに加えて、各種の障害者割引や補助を利用しましょう。障害者手帳の等級や自治体によって制度が変わることはありますが、以下の割引や補助を活用できます。

  • 電車
  • 新幹線
  • 飛行機
  • バス
  • タクシー
  • 高速道路
  • ガソリン代
  • おむつ代
  • 水族館、美術館、テーマパーク

他にもありますが、障害者手帳またはアプリを提示することによってこうした割引や補助が可能です。割引や補助についても優れる支援制度になります。これらの制度は申請や提示をしないと利用できないため、積極的に活用しましょう。

障害者向けの福祉サービスを活用する

ここまでは障害者手帳を用いての支援内容になりますが、療育手帳とは異なる支援制度(福祉サービス)も積極的に活用する必要があります。

例えば障害児であれば、多くの人が児童発達支援や放課後等デイサービスを利用します。障害をもつ未成年が利用できる通所型の施設が児童発達支援・放課後等デイサービスです。

また大人向けのサービスに障害福祉サービスがあり、障害福祉サービスの中には子供(障害児)であっても利用できるサービスがたくさんあります。その一つが短期入所(ショートステイ)です。短期入所できる施設に子供を預け、親は冠婚葬祭や入院などが可能です。

それに加えて、子供が18歳以上になれば障害者グループホームを利用できます。障害者が複数人で共同生活を送るシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。

費用は格安であり、障害年金だけでも生活できる施設が障害者グループホームです。また介護スタッフが24時間体制で常駐しているため、親の負担はゼロになり、同時に親亡き後問題も解決できます。18歳以上で入居できるため、若い利用者(障害者)も多く障害者グループホームを利用しています。

子供から大人まで、障害者の場合は問題なく生きていけるための支援制度が整っています。ただ申請しなければこれらの制度は利用できないため、積極的に活用しなければいけません。

療育手帳を用いてさまざまな特典を得る

ダウン症の場合、軽度や重度の違いはあるものの、知的障害が現れることになります。そのため障害者手帳として療育手帳へ申請しましょう。1歳を過ぎれば、医師の診断書を提出することで療育手帳を入手できます。

障害者手帳によって利用可能になる支援内容は多いです。国から毎月手当を受けたり、税金を低くしたりできるのです。また障害者割引を利用できますし、自治体からガソリン代やおむつ代の補助を得ることもできます。

それに加えて、障害者向けの福祉サービスを活用しましょう。児童発達支援・放課後等デイサービスを障害児であれば利用できますし、18歳以上であれば障害者グループホームに入居することで親元から完全に独立して生きていけます。

障害者に対する補助制度は手厚く、種類は多いです。ただ、申請しなければ利用できないというデメリットがあります。そこで、どのような支援制度が存在するのか理解して障害者手帳と福祉サービスを効果的に利用しましょう。

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