障害者は多くの場合、低所得者になります。こうした障害者について、格安にて住める場所を提供する公的サービスがいくつもあります。
多くの障害者が利用する居住サービスに障害者グループホーム(共同生活援助)があります。軽度から重度まで、すべての障害者で利用できます。一方で障害者が住むとき、救護施設や更生施設などの保護施設もあります。
それでは障害者が住む場所を探すとき、障害者グループホームと救護施設・更生施設にはどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの中身を解説していきます。
もくじ
障害福祉サービスである共同生活援助
障害者であれば、さまざまな公的サービスを利用できます。こうした公的サービスの一つが障害福祉サービスであり、障害者グループホーム(共同生活援助)は障害福祉サービスの一つです。
障害福祉サービスを利用するためには、必ず障害福祉サービス受給者証が必要です。以下の書類が障害福祉サービス受給者証になります。
実際に障害者グループホームを利用するとき、多くの障害者は日中活動をします。日中活動には就労やデイサービスなどがあります。これら日中活動をするため、障害者グループホームの施設外にある別の施設へ通います。
なお軽度でも重度でも障害者グループホームを利用できますが、施設によって対応可能な障害者は異なります。「軽度から中等度まで利用可能」「最重度の障害者を受け入れ」「他害・暴力ありでもOK」など、障害者施設によって特徴が異なります。
保護施設である救護施設・更生施設
一方で保護施設に住むという方法もあります。知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者を含めて、生活保護の人が救護施設や更生施設を利用します。
障害者グループホームの場合、20代や30代などの若い人であっても多くの人が障害者グループホームを利用します。一方で救護施設・更生施設については、生活保護を受けている人が対象になるため、利用者の年齢層は障害者グループホームよりも高いです。
なお保護施設の規模は大きくなりがちであり、同じ施設内で作業訓練を行うことができます。日中活動を行うために外出が必須になる障害者グループホームに対して、救護施設・更生施設では外出が不要です。
障害者への家の提供という意味では同じ
なお障害者に対して住む場所(家)を提供するという意味では、障害者グループホーム(共同生活援助)も保護施設(救護施設・更生施設)も同じです。また障害者グループホームでも、救護施設・更生施設でも、施設内に介護スタッフが常駐しているので常に障害者に対して介助が可能です。
- 低所得者でも格安で住める
- 介護スタッフが常駐している
- 入居時に初期費用が不要
- 昼間は日中活動を行い、トレーニングする
これらは共通しています。そのため障害者グループホームと救護施設・更生施設では、役割が似ています。
生活保護でなくても障害者グループホームを利用可能
なお障害者グループホームと救護施設・更生施設では、根拠となる法律が異なります。そのため、「障害者へ住む場所を提供する」という役割は同じであるものの、異なる点がそれなりにあります。
前述の通り、生活保護受給者が保護施設を利用します。厳密には、生活保護でなくても部屋に空きがあれば、自費にて救護施設・更生施設に住むことができます。ただ基本的には、生活保護を受けている人が救護施設・更生施設を利用します。
一方で障害者グループホーム(共同生活援助)では、必ずしも生活保護である必要はありません。実際のところ、障害者グループホームに入居する人は生活保護受給者が大多数です。ただ必ずしも生活保護である必要はなく、障害者であれば軽度でも重度でも障害者グループホームを利用できます。
生活保護でなくても、住民税の非課税世帯であれば、格安にて障害者グループホームに住めます。障害年金だけで障害者グループホームに住めるケースはよくあり、生活保護でない人は救護施設・更生施設ではなく、障害者グループホームを選ばなければいけません。
障害支援区分・受給者証無しで保護施設に入れる
なお障害者グループホームは障害福祉サービスの一つであるため、前述の通り必ず障害福祉サービス受給者証が必要です。また同時に障害支援区分を取得しなければいけません。区分には1~6まであり、数字が大きいほど重度を表します。
初めて障害福祉サービスを利用するとき、1~2か月と申請から利用までにある程度の時間がかかります。これは、障害支援区分の取得に時間がかかるからです。
既に障害支援区分を取得しており、障害福祉サービス受給者証を保有している障害者であれば、障害者グループホームをすぐに利用できます。一方で初めての利用では、すぐには障害者グループホームと契約できず、1〜2ヶ月の時間が必要です。
一方で生活保護を受けている障害者であれば、障害支援区分や障害福祉サービス受給者証なしに救護施設や更生施設を利用できます。障害福祉サービスではなく、あくまでも「いま生活保護を受けているかどうか」で入居可否を判定されます。
規模は共同生活援助と保護施設で大きく異なる
なお施設の規模という意味では、障害者グループホームと救護施設・更生施設は大きく異なります。障害者グループホームは施設数が多く、日本全国に存在します。また、一軒家やアパートなどで運営されており、2~5人などの少人数で障害者が共同生活を送ります。
少人数であるため、その分だけ介護スタッフによる目は行き届きやすくなります。また、障害者グループホームは運営主体が自由であり、どのような会社であっても参入できます。
一方で救護施設・更生施設は運営主体に制限があり、市区町村や地方独立行政法人、社会福祉法人などによる運営に限られています。そのため障害者グループホームに比べて施設数は圧倒的に少ないです。
その代わり、施設の規模は大きくなりがちです。一般的には、保護施設では一つの施設に50人以上の利用者が住み、共同生活を送ることになります。
施設の規模が大きいため、同じ施設内に日中活動を行える設備を整えているのが救護施設・更生施設です。
このとき、普通の家を障害者グループホームとして利用するため、共同生活援助では近くにコンビニやスーパー、駅があるのは普通です。一方で保護施設は規模が大きいため、郊外にあるのが一般的です。そのため救護施設・更生施設で外出は可能ですが、買い物などは不便になりやすいです。
更生施設は通常、1~2年以内に退所する
なお障害者グループホーム(共同生活援助)を利用するとき、長期で入居できます。軽度であれば独り立ちを目指す人は多いものの、特に重度ではずっと障害者グループホームに入居しているのは普通です。
これは救護施設にもいえます。救護施設に10年以上、入居している人はたくさんいます。救護施設は60代以上の利用者が7割以上になり、年齢の高い人で利用が多くなりますが、施設に入れば長く生活できます。
それに対して、更生施設は独り立ちを前提としてトレーニングする施設です。そのため救護施設に比べると年齢層が若くなり、通常は1~2年以内に更生施設を退所します。事実、厚生労働省の資料では、厚生施設の平均入所期間は1年4か月です。
保護施設の中でも、更生施設は短期間の利用になります。これは、障害者グループホームとの大きな違いです。
障害者グループホームと保護施設は異なる
障害者グループホームと救護施設・更生施設には、似ている部分がたくさんあります。障害者に対して住む場所を提供し、介護スタッフによる支援があるという意味では両方とも同じです。
ただ根拠となる法律が異なるため、障害者グループホーム(共同生活援助)と救護施設・更生施設には違いがあります。保護施設(救護施設・更生施設)は生活保護受給者が利用するのに対して、障害者グループホームでは生活保護以外でも利用できます。
その代わり救護施設・更生施設では、障害支援区分や障害福祉サービス受給者証が不要です。また施設の規模や立地なども異なります。
障害者が住む場所を確保するとき、公的サービスを利用しましょう。そうしたとき、障害者グループホームや救護施設・更生施設が役立ちます。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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