障害者の中でも、受け入れが非常に大変になりやすいのが強度行動障害です。暴力や暴言により、他の入居者や介護スタッフがケガをしてしまうリスクが高いからです。

ただ、強度行動障害を受け入れてくれる施設は少なく、そうした施設は貴重です。また強度行動障害を有している人を受け入れる場合、それに応じて加算を得ることができます。

それでは、強度行動障害の人の受け入れではどのように加算を得ればいいのでしょうか。障害者グループホーム(共同生活援助)での、強度行動障害の加算について解説していきます。

強度行動障害の受け入れで加算がある

他害ありの場合、どうしても障害者グループホーム(共同生活援助)での受け入れは大変になります。暴力によるケガがあったり、施設内が破壊されたりすると、大変な事態に陥ります。

そのため障害支援区分が高く、さらには強度行動障害を有する障害者について、受け入れによって加算を得ることができます。

研修修了者による支援で加算を得る

障害者グループホーム(共同生活援助)にある程度の区分の人が入居する場合、生活支援員を設置しなければいけません。このとき、生活支援員で20%以上が対象の研修を修了している場合、強度行動障害の加算を得られます。

多くの場合、生活支援員は世話人と兼ねることになりますが、パート従業員を含めて研修修了者が20%以上であれば問題ありません。具体的な加算は以下になります。

  • 重度障害者支援加算Ⅰ:360単位/日
  • 重度障害者支援加算Ⅱ:180単位/日

それなりに高額な加算であるため、強度行動障害の人を受け入れる介護サービス包括型や日中支援型のグループホームでは、この加算を視野に入れましょう。

重度障害者支援加算Ⅰの算定要件

重度障害者支援加算Ⅰを算定するとき、対象者は以下の両方の条件を満たす人になります。

  • 区分6
  • 行動関連項目10点以上

このとき、利用者だけでなく施設側の要件も満たす必要があります。施設側の算定要件は以下になります。

1. 基準以上の生活支援員を配置

区分の高い人を受け入れる場合、生活支援員に関する人員配置基準を満たさなければいけません。そうしたとき、「通常の人員配置基準」よりも多くの生活支援員を配置することで加算を得られます。

例えば生活支援員の人員配置基準が1.2人の場合、それより多い1.3人を配置することで、重度障害者支援加算Ⅰの算定要件を満たすようになります。

2. サービス管理責任者・生活支援員のうち、一人以上が下記研修のうちどれかを受講

  • 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)
  • 行動援護従業者養成研修
  • 喀痰吸引等研修:第一号 or 第二号

3. 支援計画シートを作成

個別支援計画とは別に作成が必要

4. 生活支援員の20%以上が下記研修のうち、どれかを受講

  • 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)
  • 行動援護従業者養成研修
  • 重度訪問介護従業者養成研修行動障害支援課程
  • 喀痰吸引等研修:第一 or 第二号 or 第三号

こうした基準を満たすことにより、大きな加算を得られるようになります。

重度障害者支援加算Ⅱの算定要件

次に、重度障害者支援加算Ⅱの算定要件は以下になります。

  • 区分4以上
  • 行動関連項目10点以上

強度行動障害について、区分6でなくても、区分4以上であれば重度障害者支援加算Ⅱの対象者になります。一方、施設側の基準は以下になります。

1. 基準以上の生活支援員を配置

生活支援員の配置については、重度障害者支援加算Ⅰと同じく、通常より多くの生活支援員の配置が必要になります。

2. サービス管理責任者・生活支援員のうち、一人以上が下記研修のうちどれかを受講

  • 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)
  • 行動援護従業者養成研修

3. 支援計画シートを作成

個別支援計画とは別に作成が必要

4. 生活支援員の20%以上が下記研修のうち、どれかを受講

  • 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)
  • 行動援護従業者養成研修
  • 重度訪問介護従業者養成研修行動障害支援課程

強度行動障害で区分4以上を受け入れる場合、重度障害者支援加算Ⅱを算定しましょう。

20%の維持と行動関連項目の内容

障害者グループホーム(共同生活援助)の中でも、利益率の高い施設の多くは重度障害者支援加算を算定しています。他害ありの人を受け入れるのは大変であるものの、対応できれば施設の利益率は大きく改善するというわけです。

なお、加算取得後は「生活支援員のうち20%以上が研修を受講している」という条件を必ず維持するようにしましょう。このとき、世話人のみで配置しているスタッフは「生活支援員の20%」に含めずにカウントします。

・強度行動障害を表す行動関連項目

障害者について、強度行動障害かどうかを表す指標に行動関連項目があります。行動関連項目について、以下の場合は重度(2点)を表します。

  • コミュニケーション:独自方法でのみコミュニケーション可、またはできない
  • 説明理解:理解しているかどうかも判断できない
  • 大声・奇声:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 異食行動:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 多動・行動停止:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 不安定な行動:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 自傷行為:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 他害・暴力:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 不適切な行為:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 突発的な行動:ほぼ毎日(週5日以上)
  • 過食・反すうなど:ほぼ毎日(週5日以上)
  • てんかん:週に1回以上

中程度(1点)もありますが、ひとまずこれらの項目を確認し、合計点数が10点以上の利用者は強度行動障害を含め、手厚いサポートが必要と判断できます。

強度行動障害の利用者を受け入れ、高額な加算を得る

障害者グループホーム(共同生活援助)は利益率が低いため、さまざまな方法によって加算を得ることを考えなければいけません。そうしたとき、それなりに大きな加算の一つが重度障害者支援加算です。

強度行動障害を有する人を受け入れるときの加算であるため、介護スタッフとしては大変です。ただ受け入れ先がないからこそ、そうした人を受け入れ可能な施設は貴重であり、それに伴って大きな加算を得られます。

利益率の高い障害者施設であるほど、重度障害者支援加算を得ています。区分の高い利用者である必要があり、施設側の要件もあるものの、こうした加算を利用することで施設の利益率は大幅に上昇します。

重度の障害者を受け入れて大きな売り上げを狙うとき、重度障害者支援加算を視野に入れましょう。強度行動障害を有する障害者を入居させることにより、月の加算は大きくなります。

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