障害者が親元を離れて暮らすとき、障害者グループホーム(共同生活援助)は優れた選択肢になります。このとき、東京にて生活したいと考える人は多いです。
特に精神障害者の場合、東京に住民票を有する人は家賃がほぼ無料になります。知的障害者や身体障害者だと自己負担が発生するものの、特定の障害者にとって東京の障害者グループホームは非常に住みやすい制度になっています。
なお中には他県から東京の障害者グループホームへ引越したいと考える方もいます。この場合、金銭的な問題を解決しなければいけません。
他の都道府県に比べて、東京の障害者グループホームには注意点が多いです。そこで、どのように考えて東京の障害者グループホームを活用すればいいのか解説していきます。
もくじ
東京に住みたい障害者は多い
最も人口の多い日本の都市が東京です。そのため東京に障害者が多いだけでなく、他の県に住んでいる人についても東京の障害者グループホームへ入居したいと考える人もたくさんいます。
当然ながら、東京は地価が高いです。そのためほかの県で運営されている障害者グループホームに比べて、マンションタイプが非常に多くなっています。
そのため、東京にある障害者グループホームは以下がメインの居住形態になりやすいです。
- 大部屋を複数人でシェア
値段が高いのでワンルーム形式はどうしても珍しくなりやすく、大部屋を複数人の障害者でシェアする形式が一般的です。いずれにしても、東京ではこうした障害者グループホームを活用することになります。
・低所得者だとサービス料は無料
なお障害者グループホームを利用するとき、月の負担上限額が設定されています。以下のようになります。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
このように住民税の非課税世帯や生活保護ではサービス料が無料です。そのため障害者で働くことができなくても、サービス料の負担については心配不要です。
精神障害者に存在する都加算での家賃補助
ただサービス料が無料であっても、家賃や水道光熱費、その他の雑費などの支払いが必要になります。このとき水道光熱費やその他の雑費については、他の都道府県の障害者グループホームへ住むにしても東京と比べて金額に大きな差はありません。
一方で東京の場合、他の都道府県に比べて家賃が圧倒的に高いです。そのため、家賃を考慮しなければいけません。
このとき、精神障害者はほとんどのケースで家賃無料にて障害者グループホームへ入居できます。これは、東京都から以下の補助金があるからです。
- 東京都の補助金(都加算):月69,800円
以下のように、東京都内に住所があれば、施設借上費として東京都から高額な家賃補助があります。
他の都道府県の障害者グループホームを利用する場合、国からの家賃補助(補足給付)として月1万円の補助があります。ただ東京都の場合、補足給付として国から月1万円の家賃補助を受けると、その分だけ東京都からの補助(都加算)が減額されます。そのため、着目するべき家賃補助は都加算のみとなります。
ただ国からの家賃補助が実質的に存在しないとしても、都加算(施設借上費)があるので家賃が月69,800円までなら無料になります。高額な家賃補助があるため、住民票が東京にある精神障害者は東京都の障害者グループホームへ入居しやすくなっています。
知的障害者・身体障害者の家賃補助
一方で知的障害者や身体障害者については、どのように考えればいいのでしょうか。精神障害を併発している場合、障害者グループホームの家賃は無料になります。ただ精神障害を併発していない場合、先ほどとは異なる補助を利用することになります。
精神疾患を有していない知的障害者や身体障害者が東京都の障害者グループホームへ入居する場合、以下の家賃補助があります。
- 東京都の補助金(都加算):月24,000円
※生活保護受給者の場合、この家賃助成の対象外
なおより正確には、障害者の所得によって補助金の額が異なります。以下のようになります。
- 障害者の所得が月73,000円未満:月24,000円の家賃補助
- 障害者の所得が月73,000円以上、97,000円未満:月12,000円の家賃補助
障害者は低所得の人が多いため、基本的に知的障害者や身体障害者は「月24,000円の家賃補助」と理解すればいいです。なお、ある程度の収入がある場合は東京都のよる家賃補助がありません。
なお月24,000円の家賃補助は存在するものの、精神障害者に比べると圧倒的に補助額は低くなります。少なくとも、家賃が無料になるわけではありません。
低所得者だと精神障害者以外は自己負担が大きい
うつ病や統合失調症、発達障害を含めて何かしらの精神疾患を有する障害者であれば、東京都内の障害者グループホームへ入居するのは手軽です。家賃無料にて住めるため、たとえ収入が障害基礎年金だけであっても何も問題なく生活できます。
一方で精神疾患を有さない知的障害者や身体障害者の場合、どうしても自己負担が大きくなってしまいます。
場所にもよりますが、東京23区内にある障害者グループホームに住むとき、家賃が月6~7万円またはそれ以上になるのは一般的です。仮に家賃が月7万円の場合、精神障害者では家賃がほぼ無料であるものの、それ以外の障害者は月46,000円の支払いになります。
知的障害者や身体障害者で障害基礎年金のみが収入の場合、現実的に東京の障害者グループホームに住むことはできません。収入に比べて、支出が大きいからです。この場合、知的障害者や身体障害者は東京以外の障害者グループホームを探す必要があります。または、東京の郊外にある家賃の低い障害者グループホームが適切です。
他県から東京への引越しは金銭的に難しい
それでは、精神疾患を有している人であれば誰でも東京の障害者グループホームが無料または格安になるのかというと、そういうわけではありません。
都加算(施設借上費)として月69,800円の家賃補助を利用できるのは、最初から東京都に住民票を有する障害者のみとなります。他県から東京に引越しをする場合、都加算として月69,800円の家賃補助がありません。
つまり、月7万円ほどの家賃全額を障害者側が負担する必要があります(実際には国からの家賃補助が月1万円あるため、差額家賃の月6万円を負担する)。
「東京に住みたい」という障害者はたくさんいるものの、他県から東京への引越しでは金銭面の問題で障害者グループホームの利用は現実的に厳しいです。ある程度、高額な収入のある障害者であれば特に問題ないものの、そうでない場合は東京の障害者グループホームを諦めるほうが適切です。
ゼロから申請すれば可能だが、人によっては現実的ではない
なお、「他県からの引越しで都加算を得る方法がゼロ」というわけではないです。まず、第一条件として親族や友人が東京に住んでいることが必須になります。そこで、親族や友人にお願いして「その人が住んでいる場所」へ住民票を移します。
その後、白紙の状態から障害支援区分や障害福祉サービス受給者証の申請をします。
通常、障害福祉サービス受給者証を既に保有している場合、他県へ引越しをするときは区分や受給者証の内容を引き継ぐ手続きをします。ただこれをせず、いま保有している受給者証を完全に廃止して、東京へ住民票を移した後に東京で障害福祉サービスの申請をし直すのです。
しかし、その場合は親族・友人の家(または近くの場所)で新たに数か月ほど住みながら、東京にある医療機関で医師の診断書を作成してもらうなどの手続きが発生します。また、いま保有する受給者証を廃止するため、すべての障害福祉サービスをやめて有効期限が切れるのを待たなければいけません。
このように考えると、東京へ住むために住民票を親族・友人の家に移し、白紙の状態から申請しなおすのは現実的ではありません。
こうした実情があるため、既に受給者証を保有している場合、他県から東京都内の障害者グループホームへ引越しする人はほぼいません。金銭的な余裕があるなら問題ないですが、低所得者が他県から東京へ住むことを考えるとき、障害者グループホームを利用するのは厳しいのです。
・新規申請で住所を借りられるなら問題ない
一方で障害福祉サービスなどへ初めて申請し、障害支援区分や受給者証を得る障害者について、東京に住んでいる親族・友人の住所を借りることができる場合は特に問題ありません。この場合、最初から「東京に住民票を有する精神障害者」として申請可能です。
いずれにしても、障害者として申請するときに最初から東京に住民票を有している人でなければいけません。
他県引越しでは東京以外の安いエリアを選ぶべき
そのため最初から東京都内に住民票を有する人を除いて、他県から東京へ引越しを考えているのであれば、東京への引越しそのものを諦める必要があります。金銭的な問題により、住むのは現実的に不可能だからです。
一方で東京以外であれば、神奈川や埼玉、千葉を含めて、これらの都市では「東京にある程度近いものの、家賃補助を利用すれば超格安にて住む」ことができます。
一般企業に勤めている健常者についても、こうした東京周辺の場所(家賃の低い都市)に住むのが一般的です。これと同じことを障害者についても行えばいいため、東京以外の周辺都市に住むのは何も問題ありません。
他県から東京の障害者グループホームに住む場合、非常に高額なお金が必要です。そのため、いま東京に住民票がない場合、東京以外の都市で障害者グループホームを探しましょう。
東京の共同生活援助の補助内容を学ぶ
低所得の障害者にとって、どのような補助があるのかは非常に重要です。補助があるからこそ、十分に働けない障害者であっても問題なく生活できるようになります。
このとき、東京に住民票を有する精神障害者であれば、東京の障害者グループホームに無料で住めます。そのため、特に問題なく東京にて生活できます。一方で精神疾患のない知的障害者や身体障害者の場合、東京は家賃が高いため、どうしても都市部は金銭的な負担が大きくなります。
また東京以外に住民票を有する精神障害者の場合、都加算による家賃補助がありません。そのため高額な家賃負担が必要であり、金銭面の問題で他県から東京へ新たに住む人はほとんどいません。
東京の障害者グループホームへ入居することを考えるとき、こうした東京都の補助内容を理解する必要があります。補助の内容によって、東京都の障害者グループホームに住める人とそうでない人がいます。そこであなたの状況を理解して、金銭的に東京都の障害者グループホームへ入居できるかどうかを考えましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
そこで、当サイトでは完全無料で障害者グループホームを紹介するサービスを日本全国にて実施しています。「いますぐ入居したい」「いまの障害者グループホームから他の施設へ移りたい」「強制退去となり、新たな施設を探している」など、軽度から重度の障害者を含めてあらゆる方に対応しています。