障害者グループホームを利用できる人に精神障害者がいます。こうした精神障害者には不安障害・パニック障害の人もいます。
不安障害・パニック障害では障害者手帳を発行でき、障害の程度にはよりますが、障害支援区分を得ることができます。つまり、不安障害・パニック障害であっても障害者グループホーム(共同生活援助)を利用できます。
なお精神障害者は治療によって症状を改善できるため、最終的には社会復帰し、完全なる一人暮らしを行えるようにする必要があります。そのための前段階として障害者グループホームを利用するのです。
それでは、不安障害・パニック障害を抱えている人が障害者グループホームを利用するにはどうすればいいのでしょうか。神経症を抱える人の障害者グループホームの活用法を解説していきます。
もくじ
精神障害者はグループホームを利用できる
障害者であれば、障害者グループホームを利用できます。こうした障害者には以下が含まれます。
- 知的障害者
- 精神障害者
- 身体障害者
- 難病患者
障害者グループホームを利用すれば、たとえ収入がなくても格安で生活できます。障害によって働くことができず、住民税の非課税世帯では障害福祉サービスが無料になりますし、障害者グループホームの家賃は国や自治体がほとんどを負担してくれます。
そのため実質的な負担は食費や水道光熱費のみであり、日常生活を送るために必要な費用をすべて含めて月6万円ほどと格安で生活できるのです。障害者たちで集団生活を送り、さらにはさまざまなサービスが無料になるため、安い生活費となるのです。
こうした障害者グループホームを利用できる精神障害者の症状には、不安障害・パニック障害も含まれるというわけです。
障害者手帳、区分認定、障害福祉サービス受給者証を得る
そこで障害者グループホームを利用するため、障害者手帳を入手しましょう。精神障害者は精神障害者保健福祉手帳となりますが、初診日から6か月以上が経過している場合、精神障害者保健福祉手帳の申請が可能です。
なお厳密には、障害者グループホームの利用に障害者手帳は必須ではありません。ただ、ほとんどの障害者グループホームで入居時に障害者手帳の提示を求められるため、事前に入手しましょう。
一方、必須になるのが障害支援区分です。障害支援区分があることにより、格安にて障害者施設に住めるのです。区分には1~6まであり、数字が大きいほど重度です。
また障害区分に加えて、障害福祉サービス受給者証が必須です。サービス利用の決定を受け、障害福祉サービス受給者証に「共同生活援助(グループホーム)」と記してもらいましょう。
ここまでの準備を整えれば、あとは入居可能な障害者グループホームを探すだけとなります。そこで不安障害・パニック障害を抱えている人は役所で精神障害者保健福祉手帳や区分認定、障害福祉サービス受給者証の取得手続きをしましょう。
障害支援区分の数字は低くなりがち
なお知的障害者や身体障害者、難病患者に比べると、どうしても精神障害者は「軽度の障害者」と判定されやすく、障害支援区分の数字は低くなりがちです。以下は厚生労働省が発表している精神障害者の区分です。
区分認定 | 割合 |
非該当 | 0.0% |
区分1 | 2.5% |
区分2 | 42.5% |
区分3 | 32.5% |
区分4 | 15.1% |
区分5 | 4.8% |
区分6 | 3.6% |
※障害支援区分の審査判定実績:2020年
このように区分2と区分3がほとんどであり、区分5や区分6はほとんどありません。
不安障害・パニック障害を含め、精神障害は治療によって寛解が可能です。知的障害者や身体障害者とは異なり、精神障害者は健常者と同じ状態まで改善できるのです。また見た目や体の構造に異常があるわけではないため、どうしても軽度の障害者になりがちなのです。
症状を落ち着かせることを優先する
ただ障害者である以上、不安障害・パニック障害を抱えている人は外出が困難であり、仕事をするのが難しいほど症状が悪化しているケースはよくあります。
この場合、ほかのすべての精神障害者に共通しますが、まずは症状を落ち着かせるために休息が必要です。
また仕事ができないほどの精神障害者だと、働けないので収入がありません。実家暮らしならいいですが、一般的な賃貸住宅に住むのは難しく、そこで家賃がほぼ存在しない障害者グループホームを利用するのです。
少なくとも毎月必要となる生活費は圧倒的に少なくなるので、障害者グループホームの利用でお金の問題はかなり軽減されます。ただ他の精神障害者とは異なり、不安障害・パニック障害などの神経症は通常、障害年金の対象外です。そのためほかの障害者のように「障害年金だけで生きていく」ことはできないものの、それでも生活費が格安になるのは優れています。
生活に慣れ、症状が落ち着けば就労移行支援を考える
こうして生活に慣れ、症状が落ち着いてくれば仕事のことを考えればいいです。うつ病や統合失調症など、すべての精神疾患に共通しますが、焦ると症状を悪化させるため、あくまでも休息が優先となるのです。
こうしてきちんと通院し、休息期間を設ければ、多くのケースで症状は改善していきます。
なお障害者グループホームは就労支援施設とも提携しています。そこで症状が改善したあと、こうした施設を利用することで最終的には一般企業への就職を考えましょう。
知的障害者などとは異なり、精神障害は寛解が可能です。症状が落ち着けば健常者とほぼ同じであるため、不安障害・パニック障害で一般企業への就職を考えるのは普通です。
最終的には完全なる一人暮らしを行う
こうして最終的には、障害者グループホームを離れて一人暮らしをしましょう。知的障害者や身体障害者、難病患者などで症状が重く、現実的に一人暮らしが難しい場合は障害者グループホームへずっと入居できます。しかし不安障害・パニック障害は治療可能なので、ずっと障害者グループホームへ入居することは考えないようにしましょう。
精神障害者にとって、障害者グループホームは「病気の症状を落ち着かせるため、一時的に格安で住むための場所」と考えましょう。
また、障害者グループホームは利用者の自立を促すのが仕事です。働いているのは介護職員であるものの、障害者が抱えるすべての作業を代行するのではなく、可能な限り障害者自身が行えるように支援するのです。
こうした支援には将来の独り立ちも含まれています。確かに安い金額で住めるものの、精神障害者にとって障害者グループホームはずっと住み続ける場所ではないため、どこかの段階で単独生活を行うことになります。
ワンルーム型やサテライト型で個室を検討してもいい
「知的障害などほかの障害が含まれている」「高齢である」などでない限り、不安障害・パニック障害ではほぼ全員がどこかの段階で一人暮らしを開始します。そのため、こうした精神障害者でワンルーム型やサテライト型の障害者グループホームを検討する人は多いです。
通常、障害者グループホームはシェアハウス型です。ただアパートやマンションタイプの障害者グループホームによっては、それぞれの部屋に浴室やトイレ、キッチンが備え付けられているワンルーム型が存在します。
この場合、個人のプライバシーは完全に守られます。症状が落ち着いている場合、精神障害者の思考能力は正常であるため、一人暮らしに近い形式を選ぶのは問題ありません。
また障害者グループホームには、サテライト型も存在します。本体の事務所の近く(自転車で20分以内)の場所に一部屋だけ障害者グループホームとして存在する形式がサテライト型です。
サテライト型の場合、周囲に住んでいる人は健常者であるため、本当の意味で一人暮らしとほぼ同じ環境になります。ただ、あくまでも障害者グループホームなのでスタッフによる確認はありますし、本体事務所に出向いて他の人と交流もできます。また、格安にて障害者グループホームを利用できます。
なお、居住の機能を重視するためにシェアハウス型やワンルーム型で選ぶというよりも、実際には空きのある障害者グループホームを利用するのが一般的です。障害者施設は数が多いわけではないため、見学をして最適な施設を見つけるといいです。
多くは3年間の利用となる
なお他の精神障害者にも共通しますが、寛解が可能であるため、不安障害・パニック障害で障害者グループホームを利用するときは多くのケースで3年間の利用になります。つまり、利用期間に制限があるのです。
障害者グループホームには無期限で過ごせる「滞在型」と3年が利用期間の「通過型」があります。不安障害・パニック障害では、通過型になります。
障害福祉サービスの中には、期限を決めているケースがあります。無駄に長く利用するのではなく、期限を設けることで、素早く自立してもらうのです。
なお人によっては、3年では不十分な場合がよくあります。このときは仕方ないので、通過型から滞在型へ移行できます。つまり、3年が過ぎると強制的に追い出されるわけではありません。
不安障害・パニック障害では病気の治療が重要であるため、3年という期限によって焦りが起こると、より社会復帰が遅くなります。3年というのは、あくまでも一つの目安と考えて障害者グループホームを利用しましょう。
神経症を抱える人でも障害者施設を利用できる
精神障害者は障害者グループホーム(共同生活援助)を利用でき、こうした精神障害には不安障害・パニック障害も含まれます。
他の障害者とは異なり、神経症は障害年金の対象ではありません。ただ障害者手帳を入手でき、区分認定や障害福祉サービス受給者証の取得手続きをすれば障害者グループホームへ入居できるのです。
障害者のための格安で入居できる施設が障害者グループホームです。こうした施設を利用して症状を落ち着かせ、社会復帰のための準備ができます。また障害者施設によっては、一人暮らしに近い形式で施設を利用できます。
親元を離れて暮らすものの、いますぐ仕事ができないほど症状が悪化している場合、格安で住める場所を考えなければいけません。こうしたとき、障害者グループホームを利用して生活費を大幅に抑えつつ、症状の改善を図りましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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