障害者グループホーム(共同生活援助)では、いくつかの補助金・助成金を利用できます。補助金を利用することで、グループホーム経営がスムーズになります。

障害者施設に対する補助金・助成金としては、経営側と利用者側があります。両方の補助金を理解することで、障害者グループホームの継続した経営がうまくいきやすくなります。キャッシュフローの負担を軽減できたり、利用者獲得を促せたりできるからです。

それでは、障害者グループホームへ入居するときにどう補助金を活用すればいいのでしょうか。共同生活援助で利用できる補助金の種類や内容について解説していきます。

経営で利用できる補助金・助成金

障害者グループホームを開設したり、継続した経営をしたりするとき、どうしても大きなお金が必要です。また国保連からの入金は遅いため、キャッシュフローは悪くなりがちです。

そこで、大きな資金調達が必要になります。このとき銀行融資だけでなく、補助金としてお金を得ることも考えましょう。何でも利用できる融資とは異なり、補助金では「特定の用途に利用する場合のみ、補助金としてお金の支出額を減らせる」ようになります。

このとき、経営側は以下の補助金を確認しましょう。

  • 社会福祉施設等施設整備費補助金
  • 自治体が実施している補助金

それぞれについて確認していきます。

社会福祉施設等施設整備費補助金を利用

社会福祉法人が障害者グループホームを運営するとき、施設整備費用の4分の3を補助してくれます。補助率の内訳は以下のようになっています。

  • 国:2分の1
  • 自治体:4分の1

4分の1の負担でいいため、非常に高額な補助金となります。

ただ社会福祉法人は設立・運営の条件が厳しく、元々の母体が病院・クリニックであるケースを除き、ほとんどの人が社会福祉法人を選択しません。通常、一般社団法人やNPO法人、株式会社、合同会社にて共同生活援助を運営することになります。

そのため、実際のところ多くの障害者グループホームでこの補助金を利用できません。あくまでも、社会福祉法人でのみ利用できる制度だからです。

自治体が実施している助成金を活用

一方で自治体が実施している補助金・助成金については、法人の形態に関係なく、その地域で障害者グループホーム(共同生活援助)を運営しているのであれば対象になります。

自治体が福祉関係の企業に対して補助金を出しているケースはよくあり、該当する場合は補助金を活用できます。例えば、以下は千葉市の内容になります。

千葉市が支給決定した利用者(千葉市で障害福祉サービス受給者証を得た人)について、障害者グループホームの運営に関する経費を補助金として出してもらえます。

それぞれの自治体について、どのような補助金があるのかは異なります。共同生活援助に対して、補助金を提供していない自治体もあります。ただ、多くの自治体で補助金を活用できるため、運営している自治体でどのような種類の補助金があるのか確認しましょう。

利用者で重要な補助金

また障害者グループホーム(共同生活援助)への補助金としては、利用者側の補助金もあります。障害者グループホームを利用する人は住民税の非課税世帯や生活保護などの低所得者がメインであり、これらの人は補助金を利用できます。

課税世帯の場合、障害者グループホームの利用金額が高くなってしまいます。そのため、低所得者として障害者が入居し、正しく補助金を利用するのは重要です。補助金の内容を把握し、利用者へ正しく案内しないと入居してくれないため、補助金の内容を事業者側が把握するのは必須です。

このとき、障害者グループホームに関わる補助金には以下があります。

  • 補足給付(特定障害者特別給付費)
  • 低所得者でのサービス料の無料化

どちらも住民税の非課税世帯や生活保護など、低所得者のみ利用できる補助金です。そこで、これらの補助金を利用することで低所得者は格安にて生活できます。

補足給付(特定障害者特別給付費)での一万円の補助

障害者グループホームへ入居する人について、低所得者は国から月1万円の家賃補助があります。これを補足給付(特定障害者特別給付費)といいます。

課税世帯の場合、国からの家賃補助はありません。ただ低所得者では、家賃補助によって負担額が小さくなります。

なお、補足給付による補助金は利用者(障害者)ではなく、障害者グループホームへ支払われます。障害者グループホームは利用者へ家賃請求をするものの、低所得者については1万円分を引いて家賃請求することになります。

低所得者が格安で障害者グループホームに住めるのは、シェアハウス形式によって費用を安くできるだけでなく、家賃補助を受けられる側面も強いです。その結果、賃貸マンション・アパートで一人暮らしするよりも、共同生活援助を利用するほうが支出を大幅に少なくできます。

低所得者によるサービス料の無料化

なお通常、障害福祉サービスを利用するときは1割負担になります。ただ低所得者はサービス料が無料であり、障害者グループホームを利用してもサービス料はゼロ円です。共同生活援助のサービス料に関する月の負担上限額は以下のようになっています。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
課税世帯37,200円

一方で課税世帯では、月37,200円のサービス料が発生してしまいます。そのため課税世帯の場合、低所得者とは対照的に、障害者グループホームよりも賃貸マンションにて一人暮らしをする方が費用負担は低いです。

そのため親と同居している障害者については、障害者グループホームへ入居するとき、住民票を移すことで世帯分離するように提案しましょう。これにより、障害者は低所得者になることでサービス料がゼロ円になり、さらには補足給付も得られるようになります。

何の提案もしないと、「障害者グループホームの利用料は高い」と捉えられてしまい、利用者を逃してしまいます。ただ制度の仕組みを知っていれば、利用者を獲得しやすくなります。

・フルタイム勤務の障害者は課税世帯

ちなみに障害者グループホームへの入居を希望する人の中には、一般企業でフルタイム勤務をしている人もいます。フルタイム勤務ではないアルバイトであれば、障害者控除によって課税世帯ではないケースがよくあります。ただフルタイム勤務だと、多くのケースで課税世帯に該当します。

この場合、月37,200円のサービス料が発生し、さらには家賃補助がありません。

なお「それまで低所得者だった人」がフルタイム勤務で働き始める場合、初年度(または2年目まで)は住民税の非課税世帯です。この場合、たとえフルタイム勤務をしていても、課税世帯になるまでの間は引き続き補助金ありで格安にて住めます。その後、課税世帯になるタイミングで一人暮らしを開始するといいです。

共同生活援助で補助金・助成金を活用できる

障害者グループホームの開設・経営をするとき、どうしても高額な初期費用やランニングコストが発生します。そこで、これを軽減することを考えましょう。

社会福祉法人に関する補助金はあるものの、多くの共同生活援助は社会福祉法人ではありません。そこで、自治体独自の助成金が存在するかどうかを確認しましょう。もし補助金・助成金がある場合、積極的に申し込むといいです。

また利用者に対する補助金の制度も理解しましょう。正しく利用者へ案内することにより、補助金を活用することで利用者は格安にて障害者グループホームへ入居できます。

うまく補助金・助成金を利用すれば、キャッシュフローが改善されたり、利用者の定着が進んだりします。そこで、こうした補助制度をうまく活用することで障害者グループホームの経営を進めましょう。

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