障害者グループホーム(共同生活援助)では、夜間に障害者の支援をするのが一般的です。そのため、昼間に障害者を支援する必要はありません。
ただ、たとえ介護サービス包括型であっても障害者によっては昼間に支援が必要なケースがあります。また、急に体調が悪くなって昼間の日中活動ができなくなり、障害者施設の中に留まる日が発生するのは普通です。
そうしたとき、日中に利用者を支援することで日中支援加算を算定できます。そこで、日中支援加算の要件や土日での加算について解説していきます。
もくじ
日中に介護スタッフ不在で問題ない共同生活援助
一般的には、障害者グループホームは夜間に障害者を支援します。そのため夕方から朝までの支援となり、平日の日中に介護スタッフが施設内にいないのは一般的です。
これは、利用者の多くは日中活動に出かけているからです。就労サービス(就労移行支援、就労継続支援A型・B型)や生活介護(デイサービス)などを利用することで、昼間に何かしらの活動をしているのです。
実際のところ、平日の昼間に障害者が施設内にいるケースはよくあります。ただ、障害者グループホームでは昼間の人員配置が必要ではありません。
日中支援従事者を配置し、加算を得る
ただ障害者によっては、現実的に昼間の日中活動が無理な人はたくさんいます。また、毎日ではなく「週2回だけ就労へ行く」なども普通です。場合によっては、症状が強く出てしまって急に日中活動を休むケースもあります。
そうした場合、日中支援従事者を配置することで日中支援加算を得られます。
日中支援型グループホームの場合、日中も介護スタッフを配置することが前提となっているため、日中支援加算の対象ではありません。
一方で介護サービス包括型の場合、夜間の支援がメインであり、日中の支援は対象外です。ただ日中支援従事者を配置して支援する場合、通常よりも手厚い支援となります。そうしたとき、日中支援加算を得られます。
障害者グループホームでの日中支援加算
日中支援加算があるとはいっても、日中支援従事者を昼間に配置しなければいけないため、対象の利用者が多くないと、パート従業員の時給を考えると赤字になります。そのため、すべての事業所にとって優れる加算ではありません。
実際のところ、日中に介護スタッフがいない共同生活援助のほうが圧倒的に多いです。これは、日中支援加算を得ても、介護スタッフの給料分で赤字になるケースが多いからです。そのため、利用するかどうかは考えましょう。
なお、日中支援加算には以下の種類があります。
- 日中支援加算Ⅰ:常に施設で滞在する人への支援
- 日中支援加算Ⅱ:急に日中活動できなくなった場合の支援
それぞれについて確認しましょう。
日中支援加算Ⅰの要件:高齢者や重度障害者への支援
高齢者であったり重度障害者であったりすると、日中活動を毎日行うのが困難です。日中活動できない場合は平日の昼間に障害者グループホームで過ごすことになります。そこで以下の人について、平日の日中に介護スタッフを配置することで日中支援加算Ⅰの対象になります。
- 65歳以上の高齢者、または区分4以上の障害者
高齢者や重度障害者であっても、日中活動を行うのは可能です。また重度障害者について、「週2日のみ通所している」というケースがあります。この場合、残りの週3日(平日)は障害者グループホームで過ごすことになり、このとき日中に利用者を支援しているときは週3日について日中支援加算Ⅰの対象になります。
支援をした日ごとに日中支援加算Ⅰを加算します。そのため、特定の日のみ通所なしの重度障害者であっても日中支援加算Ⅰを利用できます。
・土日祝日は算定不可&通常よりも多く配置
なお日中支援加算Ⅰについて、土日は算定不可です。あくまでも、平日の昼間に介護スタッフを余分に配置している事業所について日中支援加算Ⅰの対象になります。
なお配置について、常勤換算にて、通常よりも0.1人以上を上回るように介護スタッフを配置します。このとき、日中支援加算Ⅰの加算は以下のようになります。
利用者数 | 単位 |
1人 | 539単位/日 |
2人以上 | 270単位/日 |
利用者について、1人でも2人でも得られる加算はほぼ同じです。またこの加算内容では、パート職員の時給を考えると赤字になりやすいです。そのため、平日の昼間に日中活動できない障害者が3人以上いるときに日中支援加算Ⅰを利用するかどうか考えましょう。
日中支援加算Ⅱの要件:急な体調不良で休む場合の支援
なお多くの場合、障害者は平日の昼間に就労をします。ただ場合によっては、体調不良によって通所や通勤ができなくなるのは普通です。健常者であっても体調不良で休むことがあります。これが障害者となると、体調不良によってわりとひんぱんに通所を休むのは普通です。
そうしたとき、「もともと通所(通勤)を予定していたものの、体調不良などによって通所できなかった障害者に対しての日中支援」として日中支援加算Ⅱを利用できます。
たとえ土日祝日であっても、要件に該当すれば日中支援加算Ⅱを算定可能です。ただ体調に問題がないにも関わらず、「通所先へ行きたくない」という主張だけで日中支援加算Ⅱを算定することはできません。急なわがままをいう障害者を説得し、通所させるのも障害者グループホームの仕事になります。
なお、日中支援加算Ⅱの加算内容は以下になります。
利用者数 | 区分 | 単位 |
1人 | 1~3 | 270 |
4~6 | 539 | |
2人 | 1~3 | 135 |
4~6 | 270 |
日中支援加算Ⅰと同様に、対象の利用者が1人でも2人でも得られる加算はほぼ同じです。また、どの日に体調不良となる利用者が発生するのかわかりませんし、報酬は高くないので、利用者1~2人では介護スタッフの時給を考えると赤字になりやすいです。
そのため日中支援加算Ⅱの算定では、「日中支援加算Ⅰを利用している事業所について、他の利用者で急に通所できない人が発生した場合に算定する」のように、おまけで考えればいいです。
対象者が多い場合、日中支援加算を検討する
介護サービス包括型について、本来は夜間支援がメインであり、日中での支援は必要ありません。ただ実際には、平日の昼間に障害者が滞在しているケースはよくあります。
そうしたとき、昼間に介護スタッフを配置することで日中支援加算を得られます。日中支援加算Ⅰと日中支援加算Ⅱで対象者は異なりますが、通常よりも手厚い支援を提供している事業所は加算を利用できるのです。
日中支援加算Ⅰでは、高齢者や重度障害者で日中活動できない人で算定できます。また日中支援加算Ⅱでは、体調不良などで急に通所できなくなった障害者への支援が加算の対象です。
ただ利益上昇を考える場合、介護スタッフの人件費を考慮すると、対象の利用者が1~2人では赤字になりやすいです。そのため日中支援加算の対象になる利用者が3人以上のとき、人件費を考えながら、日中支援加算を活用するかどうか検討しましょう。