すべての法人について、儲けを出したら納税義務があります。ただ、利益額とは関係なく支払わなければいけない税金があり、そうした種類の税金に消費税や固定資産税があります。
ただ障害者グループホーム(共同生活援助)については、消費税の支払いがほとんどありません。国保連からの売上に消費税は関係ないですし、利用者から得る費用も非課税になるからです。ただ、固定資産税の支払いは必要になります。
それでは、障害者グループホームで発生する消費税や固定資産税の税金について、どのように考えればいいのでしょうか。共同生活援助で重要な消費税と固定資産税の考え方について解説していきます。
もくじ
障害者グループホームの売上は消費税が非課税
福祉性の高い障害者グループホームであっても、利益が出たら法人税の支払いが必要になります。一方で消費税の支払いはほとんどありません。
障害者グループホームでの売上はほとんどが非課税です。障害福祉サービスに関する売上は非課税だからです。これは、以下のように国税庁が明記しています。
【国税庁:社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に係る非課税範囲】
次に掲げる事業のうち、その要する費用の2分の1以上が国または地方公共団体により負担される事業として行われる資産の譲渡等についても、消費税が非課税となります。
(イ)居宅において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜を供与する事業
そのため、サービス提供によって国保連や利用者から得られるサービス料について、障害者グループホームは消費税を納税する必要がありません。
利用者から徴収する家賃・水道光熱費・食材費なども非課税
なお共同生活援助では、利用者(障害者)から家賃や水道光熱費、食材費、その他の雑費などを実費として徴収します。こうした費用についても非課税であり、利用者に消費税を上乗せして徴収する必要はありません。
なお法律では、以下の項目について利用者に請求できるようになっています。
- 家賃
- 水道光熱費
- 食材費
- 日用品費
- その他、日常生活で必要であり、障害者の負担が適切なもの
この範囲で利用者から徴収する費用については、消費税を上乗せせずに徴収しましょう。消費税は非課税だからです。
・家主に支払う家賃に消費税は不要
なお多くの場合、障害者グループホームの運営では賃貸を利用します。一般的には、テナントなど事業用取引での賃貸は消費税の支払いが必要になります。
ただ障害者グループホーム用として賃貸を借りる場合、消費税は免除されます。そのため、共同生活援助で賃貸を借りるとき、大家や管理会社に「障害者グループホームの賃貸では消費税が不要」と伝え、消費税が上乗せされないようにしなければいけません。
その他のビジネス活動で得た売上は課税
なお障害者グループホームの運営で消費税が不要になるのは、あくまでも障害福祉サービスに関わる部分になります。もし、それ以外のビジネス活動で売上を出したのであれば、消費税の対象になります。
その他のビジネス活動としては、例えば以下が該当します。
- 小物や雑貨などを生産・販売した
- 清掃サービスを提供した
- 研修ビジネスを他の施設へ提供し、対価を得た
このように、障害福祉・介護とは関係ないビジネスをして売り上げを出した場合、消費税の納税が必要になります。
社会福祉法人以外は固定資産税が発生
なお前述の通り、基本的には賃貸にて障害者グループホームを運営します。ただ場合によっては、土地や建物を取得することで共同生活援助を運営するケースがあります。このとき、固定資産税が非課税かどうかの判断基準は以下になります。
- 社会福祉法人:非課税
- その他の法人:課税
ほとんどの場合、障害者グループホームを運営する法人は社会福祉法人ではありません。そのため、固定資産税の支払いが必要になります。
なお自治体によっては、共同生活援助として運営している場合、固定資産税を減免しているケースがあります。こうした対応は自治体ごとに大きく異なるため、障害者グループホームを運営している自治体に確認しましょう。
税金の扱いを理解し、共同生活援助を運営する
障害福祉サービスでは、非課税になる項目が非常に多いです。また障害者グループホームは利益率が高くないため、可能な限り無駄な税金を抑えなければいけません。
そうしたとき、国保連や利用者から得られるサービス料は非課税であり、消費税の納税義務はありません。また、利用者から徴収する実費についても消費税は不要です。なお賃貸で借りる場合、消費税が免除されるため、大家や管理会社へきちんと伝えましょう。
一方で土地や建物を取得して運営する場合、社会福祉法人以外は固定資産税が発生します。ただ自治体によっては減免措置があるため、自治体に固定資産税の減免措置について確認しましょう。
障害者グループホーム運営で税金の内容を理解するのは重要です。そこで消費税や固定資産税の取り扱いを学び、正しく納税しましょう。