短期入所(ショートステイ)は障害福祉サービスで多くの人が活用します。このとき、ショートステイを利用中に医療機関の受診を行うことができないかと考える障害者はたくさんいます。

自宅からの病院受診を支援する障害福祉サービスに居宅介護の通院等介助があります。また、障害者の外出をサポートするサービスに同行援護・行動援護・移動支援などの外出支援サービスが存在します。これらを利用できれば、障害者の病院受診が可能です。

ただ通常、短期入所によって障害者施設に入居中の場合、障害福祉サービスを利用しての病院受診は難しくなります。

それでは、ショートステイ中の障害者はどのように医療機関へ行けばいいのでしょうか。障害者の病院受診に関する送迎方法や解決策を解説していきます。

ショートステイで通院等介助・通院等乗降介助は利用不可

障害者が病院受診を考えるとき、重要な障害福祉サービスに居宅介護(ホームヘルプ)があります。居宅介護には通院等介助や通院等乗降介助が存在し、ヘルパーが自宅からの病院送迎をしてくれます。

自力では医療機関へ行くことができない障害者であっても、通院等介助や通院等乗降介助を利用することで、問題なく病院受診が可能になります。

ただ自宅からではなく、短期入所先から通院等介助や通院等乗降介助を利用することはできません。理由としては、居宅介護による通院等介助では自宅が始点・終点になっている必要があるからです。短期入所先は自宅ではなく、一時滞在先なので通院等介助を依頼できません。

同行援護・行動援護・移動支援は自治体判断

それでは短期入所中の場合、ほかの障害福祉サービスを利用できるのでしょうか。障害福祉サービスや自治体の公的サービスには、外出支援サービスが存在します。こうした外出支援サービスに同行援護・行動援護・移動支援があります。

これについて、短期入所中に外出支援サービスを利用できるかどうかは自治体の判断によります。特に移動支援は自治体独自の制度であり、「短期入所中でも利用できる」としている自治体があれば、「ショートステイ先での利用は不可」としている自治体もあります。

あなたが住んでいる自治体について、短期入所中であっても外出支援サービスを依頼できる場合、問題なく受診送迎に対応できます。ただ同行援護・行動援護・移動支援での外出を利用できない場合、ショートステイ中の外出支援サービスはあきらめなければいけません。

短期入所中の病院受診を避けるべき

なお、月に数日など長期間のショートステイでないのであれば、そもそも短期入所中に病院受診をする意味はありません。自宅で滞在しているときに通院等介助やその他の外出支援サービスを利用して、病院受診・外来送迎をすればいいからです。

自宅にいる場合、通院等介助や外出支援サービスを利用することで、病院・クリニックに限らずさまざまな場所へ出向けるようになります。いずれにしても、短期入所中の病院受診を避けましょう。

・仕方ない状況で短期入所中の医療機関受診を考える

ただ場合によっては、月に25~30日などの長期で短期入所を利用する障害者もいます。また病院を退院することになったものの、次の入居先(障害者グループホーム)が決まっておらず、仕方なくショートステイを利用する人もいます。

この場合、例外的にショートステイ中であっても病院受診を考えなければいけません。障害者で毎日の服薬が必要なことは多く、このとき外来受診できないと病気の症状が悪化してしまうからです。

施設側の送迎・付き添いを利用するべき

それでは障害福祉サービスを利用しての病院送迎を行えない場合、どのように対処すればいいのでしょうか。最もわかりやすい方法は家族送迎です。ただ、ショートステイ先が遠方であったり、頼れる家族がいなかったりなどにより、家族送迎を期待できない障害者は多いです。

この場合、ショートステイ施設の送迎サービスを利用しましょう。すべての短期入所施設ではないものの、送迎用の車を保有しており、ショートステイ入居のときに送迎してくれる施設があります。こうした施設であれば、病院受診したいことを伝えれば日中に医療機関まで送迎してくれます。

参考までに、以下は障害者施設で実際に昼間に送迎しているときの様子です。

もしショートステイ先が送迎に対応していない場合、現実的に病院受診することができません。障害者が自ら病院へ行けるのであればいいですが、そうでない場合、途中で薬が切れてしまいます。

これを避けるため、どうしても家族以外の送迎が必要な場合、病院送迎が可能なショートステイかどうかを事前に確認しましょう。

緊急性が高い場合、外出支援サービスで病院受診・外来受診が可能

それでは、「病院送迎できないショートステイ」しか入居先が存在せず、家族も障害者の送迎対応を行うことができない場合、どうすればいいのでしょうか。

こうした緊急性が高い場合、例外的に移動支援などの外出支援サービスを利用して病院受診・外来受診を行えるケースがあります。

あくまでも緊急性が高い場合の利用であるため、何度も依頼することはできません。ただ一時的に移動支援を利用することにより、ヘルパーによる病院送迎を依頼できます。また薬は90日分などを一度に受け取ることができるため、外来受診できれば3か月間は病院へ行かなくて済みます。

なお移動支援を利用するためには、事前に役所で申請し、手続きを済ませておく必要があります。移動支援を利用したいと考えても、急に依頼できるわけではありません。そのため、たとえ緊急性が高い場面であっても、事前に移動支援を申請していない場合、病院受診できません。

ショートステイ中の病院への送迎は方法が限られる

自宅にいる場合、居宅介護の通院等介助やその他の外出支援サービス(同行援護・行動援護・移動支援)をいつでも依頼できます。ただショートステイ先は自宅ではないため、こうした送迎依頼を行えない場面が多いです。

そこで、短期入所を利用中に病院受診をするのは避けましょう。自宅に戻った後、医療機関を受診するといいです。または、ショートステイ先の送迎サービスを利用して病院受診しましょう。

ただ場合によっては、緊急性の高い場面が存在します。どうしても病院送迎が必要であるものの、ショートステイ先や家族の援助を得られない場合、例外的に移動支援を利用できる自治体は多いです。ただこの場合、事前に移動支援の申請をしておく必要があります。

ショートステイ先は自宅でない以上、公的サービスを用いた送迎に制限があります。こうした制限を理解して、短期入所中の病院受診・外来受診をどう取り扱えばいいのか考えましょう。

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