知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で外出支援を依頼したい人は多いです。こうした外出支援サービスとしては同行援護・行動援護・移動支援があります。
障害者の外出をサポートするという意味では、同行援護・行動援護・移動支援はどれも同じです。ただ、それぞれの公的サービスについて対象者は大きく異なります。そのため、それぞれの違いを理解しなければいけません。
それでは同行援護・行動援護・移動支援について、どのような障害者が利用すればいいのでしょうか。それぞれの対象者や中身、区分の違いについて解説していきます。
もくじ
同行援護・行動援護・移動支援の違い
障害福祉サービスを含め、外出支援の種類は多いです。そこで、同行援護・行動援護・移動支援の利用者について以下のように考えましょう。
- 同行援護:視覚障害者が利用
- 行動援護:知的障害者・精神障害者(特に自閉症の人)が利用
- 移動支援:障害者であれば大多数の人で利用可能(自治体の制度)
これらの外出支援について、「利用料金が格安」「ヘルパー運転による移動はできない」などの共通点はたくさん存在します。一方で明確な違いもあります。そこで、それぞれの違いをより詳細に確認しましょう。
視覚障害者で利用する同行援護
同行援護は視覚障害者に特化した障害福祉サービスです。視覚情報を得られない場合、外出は困難になります。そこで、同行援護を利用することで視覚障害者は外出できるようになるのです。
同行援護を利用すれば、病院や役所、銀行、スーパーなどさまざまな場所へ出向けるようになります。
また視覚障害者であることに加えて、体の動きが不自由になっている場合は身体介護も同行援護の範囲になります。
代読・代筆など視覚情報に特化したサービスを提供
このとき他の外出支援になく、同行援護に特徴的な内容として、代読・代筆など視覚情報に特化したサービスがあります。例えばスーパーで弁当を購入するにしても、以下のような情報が必要になります。
- 中身:小さいぶりが入った、からあげ弁当(卵焼きときんぴらごぼうが他に入っている)
- 大きさ:横20cm、たて15cmほど(一人分)
- 値段:一つ600円
- 個数:同じ弁当が3つ
- 賞味期限:明日までに食べる必要あり
- 種類:他にどのような種類の弁当があるのか
これらの情報をヘルパーが提供することによって、視覚障害者であってもスムーズに詳細な内容を把握できるようになります。他の外出支援では代筆・代読などはサービスに含まれておらず、視覚障害者に関する特徴的な外出支援が同行援護となっています。
障害支援区分1以上で利用できる
同行援護は障害福祉サービスの一つであり、利用するためには事前に障害支援区分の取得が必要になります。区分は1~6まであり、数字が大きくなるほど重度を表します。
このとき、同行援護は区分1以上で利用できます。軽度の障害者であっても利用できるため、視覚障害者であれば、全盲でなかったとしても誰でも利用できます。
視覚障害者の利用であるため、障害者の中でも対象者は限られます。ただ視覚障害者にとって欠かせない公的サービスであり、視覚障害者では他の外出支援よりも同行援護の利用が優先されます。
知的障害者・精神障害者(特に自閉症)で行動援護を活用
それに対して、知的障害者や精神障害者で利用される外出支援として行動援護があります。軽度の知的障害者や精神障害者の場合、外出支援はそこまで重要ではありません。ただ、重度の障害者では外出支援が必要になります。
また、こうした知的障害者・精神障害者について、特に自閉症の人がメインで利用する外出支援が行動援護です。
重度の知的障害者・精神障害者であり、特に自閉症がある場合、行動障害が起こりやすいです。強度行動障害では自傷行為や他害・暴力、物損などの被害を生じるようになります。例えば外出時に障害者が暴れると、以下のような状況になります。
こうして警察沙汰となり、弁償も発生することになります。そこで、知的障害や精神障害、自閉症を含めて行動に問題が起こりやすい障害者で行動援護を利用できるようになっています。
区分3以上の重度障害者が行動援護の対象
軽度の知的障害者や精神障害者の場合、外出に問題ないケースがほとんどです。ただ前述の通り、重度の知的障害者や精神障害者の場合、行動障害を起こすことがあります。
そこで、重度の知的障害者・精神障害者が行動援護の対象者になっています。
もちろん行動障害に限らず、重度の知的障害者・精神障害者では突発的な行動を取ることがあります。こうした行動上の問題を回避するため、行動援護によって介護者が障害者の近くで外出支援をすることになるのです。
自治体の制度である移動支援
同行援護や行動援護については、国が実施している障害福祉サービスになります。そのためどの自治体であっても、それぞれの障害福祉サービスで対象者や利用範囲の基準は統一されています。
それに対して、移動支援は自治体の制度になります。そのため詳細は自治体によって異なりますが、利用者を視覚障害者や自閉症などに絞らず、すべての障害者で利用できる外出支援サービスとなっています。知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者のすべてで移動支援を依頼できます。
また、利用の対象範囲が広いのも移動支援の特徴です。自治体によって移動支援の範囲は異なるものの、例えば以下は移動支援の範囲になります。
- 冠婚葬祭
- 映画・カラオケ・その他の余暇
- 遠方の公園への散歩
- 墓参り
- ボランティア活動
対象者を限定せず障害者であればほとんどの人で利用でき、さらには利用範囲も柔軟になっている自治体のサービスが移動支援です。
区分なし・手帳なしで移動支援を利用できる
障害者であれば多くの人で利用できることから、移動支援では障害支援区分が設定されていません。自治体の制度であるため、障害福祉サービスで利用される区分を必ずしも取得する必要がないのです。そのため、区分なしであっても移動支援を利用できます。
また、障害者手帳なしでも移動支援を利用できます。移動支援と障害者手帳はまったく別の制度であり、障害者手帳の有無は関係ないのです。
※同行援護や行動援護についても、障害者手帳なしでサービスを利用できます。
例えば精神障害者保健福祉手帳の場合、うつ病や統合失調症など対象の疾患を発症し、初めて医療機関を受診して6か月が経過しないと障害者手帳へ申請できません。
ただ同行援護・行動援護・移動支援であれば、障害者手帳なしでも問題なく利用できるというわけです。
対象者や区分の違いを認識する
同行援護・行動援護・移動支援について、外出可能な場所はほとんど同じですし、障害者手帳なしで利用できることも共通しています。
ただ、それぞれの対象者は大きく異なります。同行援護の場合、視覚障害者の利用となります。また行動援護では、自閉症をメインとする重度の知的障害者・精神障害者が利用します。それに対して、移動支援は障害者であれば大多数の人で利用対象者となります。
また区分については、同行援護は区分1以上で利用可能であり、同行援護は区分3以上で申請できます。一方で移動支援は自治体の制度であり、障害支援区分は関係なく、区分なしであっても利用できます。
障害者とはいっても、保有する障害の種類は異なります。そこで、それぞれの外出支援の対象者や区分を理解して、最適な外出支援サービスを依頼しましょう。
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