障害福祉サービスに自立生活援助があります。障害者であれば利用でき、当然ながら精神障害者についても自立生活援助を活用可能です。

精神障害者が一人暮らしを開始するとき、たとえ症状が治まっていたとしても不安が大きいです。以前と同じように生活できるかどうかわかりませんし、自治体によっても日常生活に関わるさまざまなルールが異なります。そこで支援員の定期的な訪問により、一人で生活できるようにするのが自立生活援助の役割です。

それでは統合失調症やうつ病、不安障害・パニック障害、発達障害などの精神障害者はどのように自立生活援助を利用すればいいのでしょうか。自立生活援助の活用法を解説していきます。

統合失調症やうつ病、不安障害・パニック障害、発達障害での一人暮らし支援

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であれば自立生活援助を利用できます。自立生活援助は一人暮らしを支援する制度になります。

例えば精神障害者であれば、障害者グループホームに入居していたり、精神科病院に入院していたりする人は多いです。症状が安定していない状態あっても、例えば障害者グループホームであれば格安で住めるため、生活の心配はなくなります。

ただ寛解が近づき、仕事についても問題なくなった場合、どこかの段階で完全なる一人暮らしをするのが一般的です。つまり、障害者グループホームや精神科病院を離れて単独生活を開始するのです。もちろん、実家から一人暮らしへ移行しても問題ありません。

しかし、実際に一人暮らしをするとなると不安です。精神障害者では新たに病気(精神病)を発症した人も多く、以前と同じように生活できるか不安になるのです。

そこで、精神障害者を含めた障害者で利用できるサービスが自立生活援助です。定期的な訪問により、きちんと生活できているか支援員が確認し、支援するサービスになります。

健常者であってもわからないことは多い

それでは、自立生活援助ではどのような支援を得られるのでしょうか。以下がサービス内容になります。

  • そうじ・洗濯・食事に問題はないか
  • ゴミの分別やごみ捨ては行えているか
  • 家賃や公共料金などの支払滞納はないか
  • 病院への通院は問題ないか
  • 利用者から要請があれば、随時、訪問・電話などの緊急対応

なお一人暮らしを開始するとき、健常者であってもわからない点が多いです。例えば自治体によってゴミ出しのルールが異なり、ルールを守らないとゴミ収集車が回収してくれないケースはよくあります。

これが健常者ではなく精神障害者だと、よりルールを理解しにくいです。そこで、どのようにすれば問題なく生活できるのか支援員が一緒に考えてくれるのが自立生活援助です。

なお居宅介護(ホームヘルプ)とは異なり、自立生活援助ではスタッフが片付けや料理をしてくれるわけではありません。自立を促すため、あくまでも「どのようにすれば自ら行えるようになるのか」を考えるサービスとなります。

利用は1年だが同行援護や緊急対応が可能

ちなみに、自立生活援助の利用期間は1年です。無駄に長く利用するのを防ぎ、素早く自立してもらうため、こうした期限があります。そこで、精神障害者が自立生活援助を利用する場合は素早く自立することを考えましょう。

なお自立生活援助の特徴として、同行援護があります。統合失調症やうつ病、不安障害・パニック障害、発達障害では、例えば病院の通院に不安を覚える人は多いです。そこで、どのルートや公共交通機関を利用し、通院すればいいのか一緒に外出してくれるのです。

また同行援護は外出先がスーパー(買い物)や役所、金融機関などであっても利用できます。ただ自ら行えるようになるのを支援するため、何度も利用するのではなく、サービス利用後は自分で行けるようになりましょう。

それに加えて、夜間を含めた緊急時にも対応しているのが自立生活援助です。例えば、「トイレが詰まった」などの緊急時に相談できる人がいれば問題を解決しやすいです。

緊急時は訪問または電話での対応になりますが、いずれにしてもこうした緊急事態に対応できるのが自立生活援助です。賃貸物件に住んで1年はさまざまなトラブルが発生するため、自立生活援助の期間である1年間でさまざまな問題を解決できるようにするのです。

障害者グループホームや精神科病院からの利用などが対象者

それでは、どのような人が自立生活援助を利用できるのでしょうか。精神障害者が利用する場合、以下がメインの対象者になります。

  • 障害者グループホームや病院から一人暮らしへ移行した障害者
  • 既に一人暮らしをしているが、支援が必要な障害者

要は、一人暮らしをする場合であれば利用可能と考えましょう。症状が重いにも関わらず、一人暮らしをする障害者はほぼいません。通常、症状が重いと障害者グループホームや精神科病院、実家などで暮らすことになります。

ただ寛解が近く症状がほとんど現れない場合、健常者とほぼ同じです。この場合は仕事をすることになり、一般的な賃貸住宅で暮らすのが適切であるため、こうした精神障害者が自立生活援助の利用対象というわけです。

なお障害支援区分は対象者の規定として関係ないため、どの区分であっても自立生活援助を利用できます。

役所でサービス利用の申請を行う

それでは精神障害者が一人暮らしをするにあたり、どのように自立生活援助を活用すればいいのでしょうか。

障害福祉サービスを利用するとき、役所で申請することになります。そのため自立生活援助を利用したい場合、役所へ出向きましょう。その後、サービス利用の決定を受けて障害福祉サービス受給者証を交付してもらいます。

障害福祉サービス受給者証を得たら、あとは事業者を探すだけです。自立生活援助をサービスとして提供している事業者と契約すれば、サービス開始となります。

精神障害者で自立生活援助を利用する

障害者がいきなり支援なしに一人暮らしをするのは困難です。そこで、精神障害者を含めてあらゆる障害者が自立生活援助を利用できます。

寛解が近い場合、精神障害者は健常者とほぼ同じです。ただストレスが大きいと症状が復活するリスクもあり、正しく生活できているか支援員が定期的に訪問するのは意味があります。

なお統合失調症やうつ病、不安障害・パニック障害、発達障害でなくても、一人暮らしでトラブルが発生するのは普通です。そうしたとき緊急時であっても、訪問または電話によって対応可能です。心配な場合、同行援護による外出もできます。

精神障害者が自立生活援助を利用するのは一般的です。一人暮らしを開始するものの、不安な場合は自立生活援助を活用しましょう。

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