障害福祉サービスの種類はさまざまであり、その一つに重度障害者等包括支援があります。重度障害者等包括支援を利用することで、あらゆる障害福祉サービスへアクセスできるようになります。
最重度の障害者で利用できる公的サービスが重度障害者等包括支援です。そのため重度障害者等包括支援を利用すれば、重度訪問介護や生活介護、短期入所など、さまざまな障害福祉サービスへアクセスできるようになります。
それでは重度障害者等包括支援のサービス内容や対象者はどのようになっているのでしょうか。重度障害者等包括支援の中身を解説していきます。
もくじ
重度障害者等包括支援の役割や目的
障害福祉サービスの中でも、最も重度の人で利用できるサービスが重度障害者等包括支援です。重度障害者等包括支援を利用することで、以下のサービスへアクセスできるようになります。
- ホームヘルプ:居宅介護・重度訪問介護
- 外出支援:同行援護・行動援護
- デイサービス:生活介護
- ショートステイ:短期入所
- 障害者グループホーム:共同生活介護
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
通常、複数の障害福祉サービスを利用するときはそれぞれ申し込みが必要です。ただ重度障害者等包括支援であれば、すべての障害福祉サービスを利用できます。
対象者は最重度の障害者
このとき、最重度の障害者が重度障害者等包括支援の対象です。重度障害者等包括支援の利用では障害支援区分の取得が必須であり、区分は1~6まであります。数字が大きいほど重度を表します。
重度障害者等包括支援では、区分6の障害者が対象になります。
それでは、区分6であれば無条件で利用できるかというと、そういうわけではありません。常に介護が必要であり、意思疎通が困難である以下の人が該当します。
- 四肢すべてに麻痺があって寝たきり状態:筋ジストロフィー、脊椎損傷、ALS、重症心身障害者など
- 障害支援区分の認定調査項目で行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上:強度行動障害
要は、寝たきりのような非常に重度の障害者で重度障害者等包括支援を利用できると考えましょう。
重度訪問介護と違い、あらゆるサービスを利用可能
重度障害者等包括支援により、24時間体制での介護を依頼できます。なお、同じように24時間体制での介護を提供するサービスに重度訪問介護があります。それでは、重度障害者等包括支援と重度訪問介護の違いには何があるのでしょうか。
重度訪問介護の場合、24時間365日体制での介護となります。また重度訪問介護を利用して、病院への付き添いや通所施設への移動など、外出支援を依頼しても問題ありません。
重度障害者等包括支援では、これに加えて生活介護(デイサービス)や短期入所(ショートステイ)などまで含めて提供されます。つまり、重度訪問介護だけでなくその他の障害福祉サービスまで提供されるのが重度障害者等包括支援です。
医療的ケアが常に必要であるなど、最重度の難病患者や重症心身障害者について、重度訪問介護以外の障害福祉サービスを利用するのは普通です。そこで、重度障害者等包括支援を利用するのです。
受給者証を申請可能だが、実際はほぼ利用できない
実際に重度障害者等包括支援を利用する場合、役所で申請をして障害福祉サービス受給者証を発行してもらいます。こうして重度障害者等包括支援を利用できるようになります。
ただ重度障害者等包括支援に関する障害福祉サービスの支給許可が下りたとしても、重度障害者等包括支援を依頼できるかというと、実際にはほぼ無理と考えましょう。理由としては、重度障害者等包括支援に対応している事業所がほぼ存在しないからです。
重度障害者等包括支援について、国が公表している資料では以下が実情です。
- 事業所の数:10ほど
- 利用者数:50人未満
- 利用額:障害福祉サービス全体の0.01%
このように、ほぼ利用されていません。また対応している事業所がほぼ存在しないため、都市部であってもほぼ利用できないのが現状です。そのため制度としては存在するものの、重度障害者等包括支援の利用は現実的ではありません。
複数の障害福祉サービスを組み合わせるのが一般的
なぜ重度障害者等包括支援に対応している事業所がほぼないかというと、以下の条件を満たす必要があるからです。
- 24時間体制の確保
- 障害福祉サービスを2つ以上、提供可能(第三者へ委託可)
- 専門医を有する医療機関と協力体制がある
重度訪問介護を提供している事業所であれば、24時間体制が可能です。ただこうした事業所について、生活介護や短期入所など、同じ施設でその他の障害福祉サービスまで利用可能となると、そのような事業所は少ないです。
また看護師が常にいる障害者施設はあっても、専門医と協力体制のある事業所となると、やはり数が限られます。こうした理由により、対応施設はほとんどありません。
・障害福祉サービスを組み合わせる
そのため通常、重度障害者等包括支援を利用するのではなく、それぞれの障害福祉サービスへ申請して組み合わせながら利用するのが一般的です。例えば、以下のようにします。
- 重度訪問介護
- デイサービス(生活介護)
こうして、重度訪問介護を提供している事業所に依頼しつつ、デイサービスを提供している別の事業所と契約します。それぞれの専門に特化した事業所と契約するのは普通であり、一般的に行われています。
重度障害者等包括支援の対応施設が少ないため、実際には「それぞれの障害福祉サービスへ申請し、障害福祉サービスごとに異なる事業所へ依頼する」のが現実的です。重度障害者等包括支援について、まずはこうした事実を理解する必要があります。
重度障害者等包括支援は最重度の障害者で利用可能
ほぼ寝たきりの難病患者や重症心身障害者を含め、最重度の障害者に対してあらゆる障害福祉サービスを提供することを目的・役割として重度障害者等包括支援があります。
重度障害者等包括支援の対象者は区分6である必要があります。それに加えて、四肢すべてに麻痺があるなど、ほぼ動けない障害者が対象になります。重度訪問介護とは違い、24時間体制での介護だけでなく、生活介護や短期入所などほかの障害福祉サービスも重度障害者等包括支援によって利用できます。
ただ対応している事業所は日本全国にほとんどなく、利用者もほぼいません。そのため現実的に利用が困難であり、複数の障害福祉サービスへ申請して、それぞれの事業所へ依頼するのが一般的です。
重度障害者等包括支援という障害福祉サービスは存在するものの、実際には利用が困難です。こうした事実を認識して、障害福祉サービスを正しく活用しましょう。
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