障害福祉サービスにはいくつか種類があり、その中に自立訓練(機能訓練・生活訓練)と障害者グループホーム(共同生活援助)があります。

自立訓練と障害者グループホームは役割が大きく異なります。また、自立訓練(機能訓練・生活訓練)と障害者グループホームを併用するのは普通です。

それでは、自立訓練(機能訓練・生活訓練)と障害者グループホーム(共同生活援助)はどのような違いがあるのでしょうか。また、なぜ併用してもいいのでしょうか。自立訓練と障害者グループホームの違いについて解説していきます。

自立訓練と共同生活援助は役割が異なる

障害者であっても、18歳以上の大人は自立して生きていく必要があります。そうしたとき、自立訓練(機能訓練・生活訓練)や障害者グループホームが有効です。それぞれ以下のような役割になります。

  • 自立訓練(機能訓練):身体障害者へリハビリ提供
  • 自立訓練(生活訓練):知的・精神障害者の生活能力向上
  • 障害者グループホーム:障害者が住む家を提供

それぞれについて確認していきましょう。

昼に機能訓練・生活訓練を行う

自立訓練には、身体障害者向けの機能訓練に加えて、知的障害者・精神障害者向けの生活訓練があります。機能訓練は身体的なリハビリがメインになりやすく、一方で生活訓練では体の機能に異常のない障害者が利用します。

こうした自立訓練(機能訓練・生活訓練)を通して、以下の事柄を学びます。

  • 食事やそうじ
  • 公共交通機関の利用
  • 病院への通院
  • 社会ルール・マナー

ターゲットとする障害者は機能訓練と生活訓練で異なるものの、「障害者が一般社会で生活できるように訓練する」という意味では、機能訓練も生活訓練も目的は同じです。昼間にトレーニングすることにより、社会で生活できるようにするのです。

障害者グループホームは夕方以降に生活する場所

それに対して、障害者グループホーム(共同生活援助)は主に夜間に障害者が利用する場所になります。障害者グループホームというのは、障害者に対して家(住む場所)を提供する公的サービスと考えましょう。

多くの場合、障害者は昼に日中活動をします。生活介護(デイサービス)を利用したり、就労したり、人によって日中活動の内容は異なります。ただいずれにしても、通常は日中活動を昼間にします。

そうして昼間に活動をした後、障害者グループホーム(共同生活援助)で夕方から翌朝まで過ごします。このように、障害者の宿泊場所を提供するのが障害者グループホームです。

もちろん、障害者によっては日中活動ができない人もいます。また土日は日中活動をせず、障害者グループホームの中で過ごします。ただいずれにしても、主に夜間にサービスを提供するのが障害者グループホームです。

自立訓練と障害者グループホームの併用は可能

このように考えると、自立訓練(機能訓練・生活訓練)と障害者グループホームはまったく違うサービスとわかります。自立訓練は昼間に生活能力を向上させるトレーニングを行うのに対して、障害者グループホームでは障害者へ宿泊場所を提供します。

なお前述の通り、障害者グループホーム(共同生活援助)へ入居している人について、昼間に日中活動をするのは普通です。このとき、日中活動先が自立訓練施設であっても問題ありません。

将来の一人暮らしを目指したり、障害者グループホーム内で行えることを増やしたりするため、自立訓練施設へ昼間に通うのです。

障害者グループホームでも、規則正しい生活を通して障害者の生活能力を向上させます。例えば以下のように、介護スタッフと一緒にそうじをするのは普通です。

ただ障害者グループホームでは、生活能力の向上をメインとしてトレーニングするわけではありません。そこで昼間に自立訓練施設でトレーニングを行い、夕方以降に障害者グループホームで過ごすのは何も問題ありません。

宿泊型自立訓練と共同生活援助も異なる

なお自立訓練には、宿泊型があります。宿泊型自立訓練の場合、夜間に生活能力向上のトレーニングをすることになります。

宿泊型自立訓練では夜間にトレーニングを行い、宿泊も行います。そのため、当然ながら宿泊型自立訓練と障害者グループホームを併用することはできません。昼間に一般就労やその他の障害福祉サービス(就労移行支援など)など利用している人について、宿泊型自立訓練を利用できます。

なお前述の通り、自立訓練と障害者グループホームでは目的が大きく異なります。そこで、「最初は宿泊型自立訓練でトレーニングし、その後に障害者グループホームへ入居する」という障害者もいます。

障害者グループホームで介護スタッフが常に介助してくれるとはいっても、障害者グループホームは訓練施設ではありません。そこで期間限定にて宿泊型自立訓練を活用し、先に生活能力を身に付けるのは問題ありません。

軽度の障害者でも利用可能な点は共通

なお、自立訓練(機能訓練・生活訓練)と障害者グループホーム(共同生活援助)について、軽度の障害者であっても利用できる点は共通しています。

障害福祉サービスを利用するとき、障害支援区分の取得が一般的です。区分には1~6まであり、数字が大きくなるほど重度を表します。

このとき、自立訓練(機能訓練・生活訓練)は障害支援区分なしで利用できます。例えば国の資料によると、機能訓練では約3割、生活訓練では約5割、宿泊型自立訓練では約7割にて区分なしで利用されています。

また障害者グループホームの場合、区分を取得することになるものの、区分1以上であれば利用できます。そのため、非常に軽度の障害者であっても問題ありません。

自立訓練と共同生活援助の違いを学び、併用する

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が生活能力の向上を目指してトレーニングする場所が自立訓練施設です。機能訓練と生活訓練で利用する障害者の種類は異なるものの、昼間のトレーニングで生活能力を伸ばします。

一方で障害者に対して家を提供する公的サービスが障害者グループホーム(共同生活援助)です。夜間サービスがメインになるため、自立訓練(機能訓練・生活訓練)と障害者グループホームを併用できます。

なお、宿泊型自立訓練と障害者グループホームの併用はできません。またそれぞれ役割が異なるため、どちらを利用するべきなのか考えましょう。

自立訓練と障害者グループホームはまったく違うサービスです。そこで、それぞれの違いや併用方法を理解したうえで自立訓練(機能訓練・生活訓練)と障害者グループホームを利用しましょう。

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