障害福祉サービスの一つに重度訪問介護があります。肢体麻痺や重度の知的障害者・精神障害者で利用できる制度になっています。

それでは、重度訪問介護を利用するときのサービス内容はどのようになっているのでしょうか。「ホームヘルパーによって手助けをする」という意味では、居宅介護などその他のホームヘルプ利用と比べて基本的な内容は同じです。

ただ重度訪問介護の場合、長時間介護が前提となっています。また事前プランは決められていません。そのため、重度の障害者にとってメリットは大きいです。

それでは、重度訪問介護を活用するときはどのようなサービス内容を依頼できるのでしょうか。重度訪問介護の中身を解説していきます。

長時間介護が前提となる重度障害者向けのサービス

ホームヘルプの中でも、軽度の障害者を含めて利用できる障害福祉サービスが居宅介護です。居宅介護の場合、身体介護を利用するにしても原則1回3時間以内など利用時間が限られています。

それに対して重度訪問介護とは、1回3時間以上の長時間介護が前提となっています。重度障害者の場合、より長い時間の介護でなければ十分なサービス提供にならないからです。居宅介護でも重度訪問介護でも提供されるホームヘルプの内容はほとんど同じであるものの、提供時間が大きく異なります。

なお、重度訪問介護で依頼できる主な内容は以下になります。

  • 身体介護:食事、入浴、排せつなど
  • 家事援助:料理、洗濯、そうじ、買い物など
  • 外出支援:病院への通院など

それぞれを確認しましょう。

身体介護で食事や入浴、排せつの介助をしてもらう

重度訪問介護では、重度の障害者が対象になるので身体介護が必要になります。身体介護では食事や入浴、排せつなどの介護が提供されます。身体介護には以下が含まれます。

  • 食事介助:食事の手助け
  • 入浴介助:お風呂の手助け
  • 排せつ介助:トイレの手助け
  • 移動介助:歩行の手助けや車いすへの移動
  • 更衣介助:着替えのサポート
  • 体位変換:定期的に体位を変える
  • 清拭:入浴できない場合、体を拭いて清潔を保持

つまり、障害者の体に触れることでサポートする介護が身体介護になります。

家事援助で料理や洗濯、そうじが可能

ただ、身体介護をするだけでは障害者は生きていけませんし、部屋の清潔を保持することもできません。そこで、ホームヘルプでは家事援助も可能になっています。以下が家事援助の内容です。

  • 料理
  • 洗濯
  • そうじ(ゴミ出しを含む)
  • 買い物
  • 薬の受け取り
  • 育児支援

ホームヘルパーが買い物や料理をしてくれることで、ようやく食事介助を行えるようになります。また、洗濯やそうじが行われることで身辺の清潔保持が可能になります。なおホームヘルプには育児支援も含まれているため、子育ての手助けも依頼できます。

外出支援により、移動を手伝ってもらう

重度の障害者では、一人での外出が困難です。そこで重度訪問介護を利用することで、外出支援をしてもらうことができます。バスや電車などの公共交通機関を利用することで、病院や役所、銀行へ行く手伝いをしてくれます。

このとき、障害者(または家族)が保有する車をホームヘルパーが運転し、医療機関などの目的地へ出向くのは問題ありません。つまり、重度訪問介護ではホームヘルパーによる車運転も可能になっています。

ただ、すべての外出支援が可能なわけではありません。重度訪問介護では、以下のような目的での外出支援ができません。

  • 経済活動に関する外出:通勤や勤務、営業活動など
  • 宗教活動や政治的活動
  • 社会通念上、不適当:ギャンブル(競馬、パチンコなど)や飲酒を伴う外出

いずれにしても、こうした外出以外であれば重度訪問介護で手助けしてくれます。

自宅で過ごしたい障害者で24時間の連続介護も可能

これらのサービス内容になっていることに加えて、前述の通り長時間介護が前提となっていることが重度訪問介護のメリットです。

このとき、場合によっては24時間の連続介護も可能です。例えば、難病患者の場合は24時間介護を必要とする障害者に該当します。難病患者の場合、定期的な吸引が必要など、常に介護をしなければ命が危険であることも多いからです。

障害者が自宅で過ごす場合、一人で身の回りの作業や行動をコントロールするのは不可能です。また同居家族がいるにしても、障害者の世話は家族への負担が大きいです。そこで重度訪問介護を利用すれば、障害者にとって「自宅で過ごしたい」という希望を叶えられるようになります。

なお24時間体制の介護が必要な場合、一般的には障害者グループホームなどの障害者施設を利用するほうが優れています。格安にて利用でき、家族の介護負担は完全ゼロになり、さらには常に介護スタッフによる援助を得られるからです。

ただ、さまざまな事情からどうしても自宅で過ごすことを望む場合、重度訪問介護を利用して家で生活することができるというわけです。

事前にプランを決めずに利用できるメリット

重度訪問介護の他のメリットとしては、事前にプランを決めずにその場の状況に応じて対応可能なことがあげられます。居宅介護の場合、事前に利用プランを決める必要があります。事前プランから大きく外れたサービス内容をホームヘルプで依頼することはできません。

一方、重度の障害者では「急に吸引が必要になる」「パニック状態に陥ったので対策をする」など、その場に応じて、行うべきことが常に変化します。そこで、事前にプランを決めません。

これはつまり、「これから病院へ行きたい」などの要望を急に決めても対応してくれることを意味しています。事前プランがなく、あらゆるホームヘルプに対応できるのは、居宅介護にはない重度訪問介護ならではのメリットです。

・旅行での利用など、さまざまな場面で利用できる

また重度訪問介護の場合、一人(または家族)で障害者が旅行をするとき、ホームヘルパーが旅行へ付き添いすることも可能になっています。

前述の通り、重度訪問介護では長時間の連続介護が可能です。また、事前プランを決める必要はないので、その場に応じて行き先を決定しても問題ありません。外泊での日数制限もないため、こうした旅行でも重度訪問介護を利用できるのです。

吸引や経管栄養など、特定の医療行為にも対応可能

また重度訪問介護を利用する人として、先に述べた通り難病の人もいます。脳性麻痺や脊髄損傷で重度訪問介護を利用する場合は関係ないですが、難病患者の場合、医療的ケアが必要になります。

通常、介護士は医療的ケアを提供することができません。そのため訪問看護などにより、看護師に医療的ケアを依頼する必要があります。または、簡単な医療的ケアであれば家族が行わなければいけません。

ただ医療的ケアの中でも、吸引や経管栄養など特定の医療行為については、特別な研修を受けた介護士であれば行えるようになっています。

すべての医療行為ではないものの、重度訪問介護で依頼するホームヘルパーによっては一部の医療的ケアも可能です。

負担上限額があるので金額は気にしなくてもいい

なお長時間介護になるため、どうしても気になるのが負担料金です。これについて、重度訪問介護は金額が高すぎる心配をしなくてもいいです。

障害福祉サービスは1割負担です。ただ1割負担であっても、8時間や12時間、24時間の介護を毎日のように依頼するとなると、必然的に総額は高額になります。ただ、障害福祉サービスは世帯年収ごとにひと月当たりの負担上限額が以下のように設定されています。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

一人暮らしの場合、ほとんどの人が住民税の非課税世帯や生活保護であるため、重度訪問介護の料金は無料です。また同居家族がいるにしても、負担上限額があるので費用が増え続けることはありません。こうしたメリットにより、重度訪問介護の費用は高額にならずに済みます。

重度訪問介護のサービス内容やメリットを学ぶ

重度の障害者が自宅で過ごす場合、一人で生活を送るのは無理です。そのため、対象者は重度訪問介護を依頼することになります。

重度訪問介護のサービス内容としては、身体介護や家事援助、外出支援があります。食事や入浴、排せつに限らず、洗濯やそうじ、買い物、外出までをサポートしてもらうことができます。これらの介護について、事前プランなしにその場に応じて依頼できます。

また、長時間介護が可能なメリットが重度訪問介護にはあります。障害者によっては24時間介護も可能です。それに加えて、負担上限額があるので金額が高くなりすぎることもありません。

重度訪問介護を依頼できる場合、「居宅介護のデメリットを補った多くのメリット」を利用できます。そこで、これらのサービス内容を把握して重度訪問介護を活用しましょう。

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