難病や寝たきりなど、重度の障害者でホームヘルプを利用するとき、重度訪問介護が利用されます。重度訪問介護により、長時間の介護提供が可能になります。
ただ、こうした難病患者や寝たきりの障害者について、医療的ケアが必要になることは多いです。通常、介護士は医療的ケアを提供することができません。ただ重度訪問介護について、場合によっては医療的ケアを提供できるケースがあります。
もちろん実際には、介護士では多くの場面で医療的ケアを行えないため、家族やその他の医療従事者のサポートが必要になります。
それでは、重度訪問介護で医療的ケアを依頼するにはどのようにすればいいのでしょうか。介護士で可能な喀痰吸引や胃ろうの経管栄養について解説していきます。
もくじ
通常、ホームヘルプで医療的ケアは対象外
すべての医療行為は医療従事者によって行われる必要があります。そのため自宅で医療を受けるためには、訪問診療や訪問看護などを利用して、医師または看護師に来てもらう必要があります。
または、家族で行える医療行為については、家族が作業を代行することもできます。
ただ介護士については、医療行為が認められていません。そのため、ホームヘルパーは例えば以下の医療行為をすることができません。
- インスリン注射
- 摘便:指を入れて便を排出させる
- 床ずれ(褥瘡)の処置
- 点滴
血圧測定や爪切り、口腔ケアなど、条件付きで介護士が行える医療行為は複数存在します。ただ、多くのケースでホームヘルパーは医療行為を行うことができません。
喀痰吸引や胃ろうの経管栄養は例外的に可能
ただ本来、家族や看護師などが行わなければいけない医療行為であるものの、特別に介護士に対して認められている医療行為が存在します。以下になります。
- 喀痰吸引
- 胃ろうでの経管栄養
例えばALSや筋ジストロフィーの場合、数時間おきの定期的な喀痰吸引が必要なケースは普通です。こうした医療行為について、家族のみが可能となると、家族は夜を含めて数時間おきに起きなければいけません。そうして、健康被害を生じることになります。
そこで重度訪問介護でホームヘルパーが喀痰吸引を行うことにより、家族は夜に起きる必要がなくなり、介護負担が大幅に少なくなります。
また寝たきりの人では、胃ろう(または腸ろう)によって経管栄養を行います。本来は介護士が行うことが禁止されている医療行為ですが、こうした経管栄養についても場合によっては可能になっています。
医療行為で家族のサポートは必要
ただ、ホームヘルパーで行える医療行為はあくまでも喀痰吸引や経管栄養など、限られた行為となります。そのため、以下の医療行為は家族や医療従事者によるサポートが必要になります。
- チューブ交換
- 酸素ボンベの交換
- 血糖測定
これらについて、本人または家族、看護師が行うなら問題ないですが、介護士は行うことができません。そのため、重度訪問介護によって長時間の介護が可能とはいっても、どうしても家族によるサポートは必要になります。
特別な研修を受けた介護士のみ医療的ケアが可能
それでは、すべての介護士で喀痰吸引や胃ろうでの経管栄養が可能かというと、そういうわけではありません。これらの医療行為は通常、禁止されています。そのため、特別な研修を受けた介護士のみ喀痰吸引や経管栄養などの医療行為を行えるようになっています。
喀痰吸引や経管栄養は明確な医療行為であるため、研修を受けていない介護士が行うと違法行為になります。また過去には、違法行為によって処分された事例もあります。
例えば、以下は実際のニュースです。
この施設は重度訪問介護ではなく、障害者グループホームにはなりますが、いずれにしても特別な研修を受けていない介護士は喀痰吸引や経管栄養を行うことができません。
難病や寝たきりに対応した事業所を探す
そのため難病患者や寝たきりの障害者について、重度訪問介護を活用して医療的ケアを依頼するにしても、研修を受けた介護士が在籍しているかどうかを確認しなければいけません。
居宅介護や重度訪問介護を提供している事業所について、ホームヘルパーが在籍していても、介護士が研修を受けていないのであれば医療的ケアの提供ができません。
また介護士が研修を受けているだけでなく、居宅介護や重度訪問介護の事業所についても、登録事業者として登録済みである必要があります。つまり、ホームヘルプを提供している事業所のうち、特定の事業所のみ喀痰吸引や胃ろうでの経管栄養が可能になっています。
喀痰吸引や胃ろうでの経管栄養について、家族でも行える作業であるため、当然ながら介護士で不都合が生じることはありません。ただ医療行為である以上、ルールに沿う必要があります。そのため難病患者や寝たきりの障害者で重度訪問介護を依頼したい場合、医療的行為が可能な事業所かどうか確かめるといいです。
居宅介護・重度訪問介護で一部の医療行為を依頼する
ほとんどの医療行為について、介護士は禁止されています。そのため医師や看護師、または家族がこれらの医療行為をしなければいけません。ホームヘルパーが可能なのは、血圧測定や爪切りなど一部の行為のみとなります。
ただ場合によっては、明確に禁止されている医療行為の中でも、喀痰吸引と胃ろうでの経管栄養はホームヘルパーで対応可能なケースがあります。特別な研修を受けている介護士の場合、これらの医療行為が可能です。
ただ、チューブ交換など家族が行わなければいけない医療行為は存在します。そこで、居宅介護や重度訪問介護によってホームヘルプを依頼するにしても、家族によるサポートは必須です。
医療的ケアが必要な障害者が自宅で過ごすとき、ホームヘルプは欠かせません。そこで、どのような事業所に依頼すれば認められた医療的ケアに対応できるのか確認しましょう。
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