障害者が利用できる障害福祉サービスとして居宅介護と重度訪問介護があります。これらはホームヘルプと呼ばれ、ヘルパーが障害者の自宅に来ることでさまざまな介護サービスが提供されます。
ホームヘルプを依頼するとき、通常は一人のホームヘルパーが来ることになります。ただ場合によっては、一人での対応が難しいケースがあります。そうした例外的なケースでは、二人介護のほうが優れます。
そのため場合によっては、居宅介護や重度訪問介護で二人介護が可能です。ただ要件があるため、利用の条件を満たしている必要があります。
それでは、居宅介護・重度訪問介護で二人介護を依頼するにはどうすればいいのでしょうか。二人介護の要件について解説していきます。
もくじ
利用者の同意により、必要なら二人介護が可能
通常、ホームヘルプでは一人のホームヘルパーが自宅に来ることになります。その後、以下のサービスを提供します。
- 身体介護:食事、入浴、排せつなど
- 家事援助:料理、洗濯、そうじなど
- 外出支援:病院への通院など
このとき二人介護が必要と判断され、利用者が同意した場合は二人体制でのホームヘルプが可能になります。二人介護になる場合、当然ながらその分だけ費用が高くなります。そのため、利用者の同意は必須です。
なお障害者で住民税の非課税世帯や生活保護など、低所得者の場合は障害福祉サービスの利用負担がゼロです。そのため二人介護であっても負担額が増えることはありません。ただいずれにしても、利用者本人の同意が必須というわけです。
一人のヘルパーで対応できない場合に二人を依頼
それでは、二人介護を利用するための要件としては何があるのでしょうか。厚生労働省の資料によると、以下が該当します。
- 身体的理由により、一人では介護が困難な場合
- 暴力行為や迷惑行為、器物破損などが認められる場合
ホームヘルプで身体介護が必要な場合、一人では作業が難しい場合があります。このとき、例外的に二人介護を認められるケースがあります。
また障害者の中には強度行動障害があり、暴力や破損などの行動を取ってしまう人がいます。この場合、ホームヘルパーが一人で対応すると危険です。例えば以下は、実際に障害者が暴れた後の様子です。
そのため、暴力や破損などの行為がある場合についても二人介護が認められています。
なお二人介護をする場合、あくまでも「同じ時間に二人のホームヘルパーが障害者を介護する」ようになります。「ヘルパーAが9:00~10:00まで対応し、ヘルパーBが10:00~11:00まで対応する」などのように、時間をずらしての対応とはなりません。
家事援助は二人介護の対象外
このとき、二人介護が可能なのはあくまでも身体介護が基本になります。例えば入浴はホームヘルパーにとって負担の大きい作業であり、二人介護となることで身体介護はスムーズになります。
- 体重が重い利用者の入浴介助をする
- エレベーターのない2階以上の建物から歩行困難な利用者を外出させる
例えばこうした事例だと、二人介護が認められます。
それに対して、家事援助は二人介護の対象外になります。料理や洗濯、そうじはホームヘルパーが一人で対応すれば十分です。二人介護というのは、あくまでも一人では対応が難しい場合に利用できます。
居宅介護の場合、事前に利用プランを明確に決めることになります。そこで、居宅介護で二人介護が必要な内容かどうか確認し、必要であれば二人介護を依頼することになります。
重度訪問介護で複数人が必要になるケースは多い
なおホームヘルプの中でも、より重度の障害者向けの障害福祉サービスとして重度訪問介護があります。肢体麻痺があったり、強度行動障害(暴力行為や物損などのリスク)があったりする人が重度訪問介護を利用することになります。
こうした人に対して身体介護が行われる場合、どうしても一人では対応しにくいケースがあります。
自分の意思で多少は体を動かせる場合、入浴介助はホームヘルパー一人で十分です。ただ寝たきり状態を含め、体の自由がない場合、ホームヘルパーに対する負担は非常に大きいです。また、移乗・移動などの身体介護では二人体制のほうが、ヘルパー側も障害者側も安全です。
もちろん居宅介護と同じように、強度行動障害などによって暴力行為や物損行為があり、パニックになったときに一人のヘルパーでは対応が難しい場合も二人介護が認められるケースがあります。実際に二人介護が可能かどうかについては、自治体に確認するといいです。
常に複数スタッフでの介護希望なら障害者施設が優れる
なおホームヘルプで二人介護というのは、あくまでも例外になります。通常、ホームヘルパーは一人体制となります。そのため、利用できるのはどうしても重度の障害者に限られますし、重度であっても身体介護の限られる場面のみの利用になります。
ただ実際に障害者が生活する場合、急に二人体制での援助が必要になることはよくあります。そうしたとき、自宅でなくてもいいのであれば、障害者グループホームを利用すれば常に複数人の介護スタッフがいるようになります。
多くの場合、障害者グループホームは近くで複数の棟を運営しています。そのため管理人(世話人)が一人在籍している棟であっても、ヘルプを呼ぶことによって一時的に二人体制に編成することが可能です。
そうして、必要な身体介護を提供した後は一人体制へと戻ります。障害者グループホームの場合、臨機応変にいつでも二人介護が可能になります。自宅ではなく障害者施設での生活にはなりますが、ほとんど金銭的な支出なく住めるため、低所得者であっても障害者グループホームを利用できます。
ホームヘルプで複数人を依頼する
居宅介護や重度訪問介護を利用する場合、「肢体麻痺によって体の動きが不自由」「暴力や物損などの行為がある」などにより、例外的に二人介護を依頼できるケースがあります。本来は一人でのホームヘルプになるものの、二人体制も可能なのです。
ただ二人介護の要件を満たしている障害者であっても、家事援助などでは利用できません。あくまでも、身体介護が必要な場面での利用になります。
なおホームヘルプで二人介護が可能とはいっても、あくまでも例外的な利用法です。一方で障害者グループホームでは、いつでも好きなときに二人介護を依頼できるため、場合によっては自宅ではなく障害者施設で格安にて生活しても問題ありません。
居宅介護で複数人のホームヘルパーを依頼するとき、事前に理解しなければいけない点が存在します。そこで、これらの内容を学んで二人介護を依頼しましょう。
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