痛みの中でも、腰痛や首痛の人は多いです。中には腰椎椎間板ヘルニアや頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、病名が付いている人もいます。

こうした腰痛・首痛の人について、多くの人は身体障害者手帳を保有できません。手術の有無と障害者手帳は関係ないからです。これは、障害年金も同様です。ただヘルニアなどによって半身まひなど明確に日常生活に支障が出ている場合、身体障害者手帳を保有でき、障害年金を得られます。

それでは、どのような腰痛・首痛であれば身体障害者手帳・障害年金へ申請できるのでしょうか。これについては、事前に対象者を理解しなければいけません。

そこで腰痛や首痛に悩んでいる方について、どのような場合に身体障害者手帳・障害年金へ申請できるのか解説していきます。

多くの場合、腰痛や頚椎・腰椎椎間板ヘルニアは障害者ではない

ヘルニアの中でも、腰のヘルニアが腰椎椎間板ヘルニアであり、首のヘルニアが頚椎椎間板ヘルニアです。こうした人の場合、腰痛や首痛に悩むことになり、人によっては手術を必要とすることがあります。脊柱管狭窄症についても、痛みやしびれを生じます。

ただ現実的には、腰痛や首痛で身体障害者手帳を交付してもらうことはできません。手術をするのは健常者であっても普通ですし、痛みがあるかどうかは身体障害者手帳の基準ではありません。

つまり、痛みやしびれによって軽作業ができない状態であり、長時間座るのが難しい状態であっても、それを障害者とはいいません。

また身体障害者でない以上、障害年金を得ることもできません。多くの場合、障害者年金を得るよりも、障害者手帳を得るほうが簡単です。事実、障害者手帳とは違って、障害年金の申請を専門とする社労士がいるほどです。身体障害者手帳を入手できないのにも関わらず、障害年金を得るのは困難なのです。

手術の有無や痛みは身体障害者手帳や障害年金の判定基準と関係ない

手術の有無や痛みが身体障害者手帳を取得する判定基準になっていないことから、整形外科でいくら手術をしたり、薬を服用していたりしても、前述の通り障害者手帳を入手できません。体の中にボルトがあっても、普通に生活できているのであれば障害者手帳を取得できないのです。

要は、普通に歩けている状態では障害者とはなりません。たとえ連続歩行が数百メートルしかできなくても、痛みやしびれが障害者認定の基準でない以上、障害者とはならないと考えましょう。

また身体障害者手帳を得るためには、該当する身体の機能を永続的に失っており、回復の見込みがない状態である必要があります。例えば「炎症によって体を動かしにくい状態」は永続的に機能を失っておらず、障害者手帳の対象にはなりません。

イメージとしては、五十肩を思い浮かべればいいです。五十肩によって体の機能は制限されるものの、普通にトイレや食事は可能です。つまり、日常生活を送るときは困りません。たとえ腰痛や首痛があっても、それが一時的であったり、食事やトイレ、入浴が可能だったりする場合、身体障害者手帳の入手は難しくなります。これと同じことは障害年金にもいえます。

筋肉の低下や神経麻痺により、支障があると対象者になる

ただ腰椎椎間板ヘルニアや頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症によって神経に障害が起こり、結果として障害者になってしまうことがあります。

例えば神経が圧迫された結果、筋力の低下や神経麻痺を起こすかもしれません。こうなると以下の状態になります。

  • 杖がないと歩けない
  • 下半身まひにより、車いすが必要

この状態になると、明らかに歩行困難な状態だとわかります。例えば「杖を使用することで、ゆっくりとではあるが歩行できる」などの状態が障害者に該当します。当然、立ち仕事やデスクワークなどは困難な状況といえます。

つまり明らかな運動機能障害がある場合、ようやく身体障害者手帳へ申請でき、障害年金を得るスタート地点に立てるのです。

身体障害者手帳の診断書の中身を確認する

それでは、実際に身体障害者手帳や障害年金に申請するとき、どのような認定基準になっているのでしょうか。こうした申請で最も重要になるのが医師の診断書です。そこで、まずは身体障害者手帳について診断書の中身を確認しましょう。

肢体不自由の人について、以下は「身体障害者手帳用の診断書の一部」です。

このように、「立ち上がるとき」「家の中を移動するとき」「家の外を移動するとき」について、つえや車いすを利用する場面を含め、どれだけ介助が必要かどうかが記載されることになります。

単なる痛みやしびれがある状態では、介助なしに移動できます。ただ神経障害や半身まひなどによってつえや車いすが必要なほどヘルニア・脊柱管狭窄症が進行し、腰痛や首痛がある場合、診断書に「介助が必要なほど日常生活に支障がある」と記載できます。

障害年金は障害厚生年金3級が現実的

障害者手帳と障害年金はまったく別の制度です。ただ、身体障害者手帳すら入手できない人が障害年金に申請しても断られることがほとんどです。そこで身体障害者手帳を入手できた場合、次は障害年金を考えることになります。

このとき、ヘルニアや脊柱管狭窄症は体幹・脊柱の機能障害に該当するため、このときの認定基準を確認しましょう。以下のようになります。

【一級】

  • 座っていることができない、または立ち上がることができない

【二級】

  • 歩くことができない

【三級】

  • 脊柱の機能に著しい障害がある

たとえ腰椎椎間板ヘルニアや頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症があっても、つえなどを用いて多少は歩ける人が多いです。この場合、障害厚生年金3級となります。完全なる下半身不随によって車いす生活なら障害年金二級ですが、そうでない場合は障害厚生年金3級を目指しましょう。

会社で何年も働いたことがあり、厚生年金保険へ加入していたのであれば、障害厚生年金3級へ申請することでお金を得ることができます。

ヘルニア、脊柱管狭窄症で障害者手帳と障害年金を得る

腰痛や首痛のある人は多いです。特に腰椎椎間板ヘルニアや頚椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などで痛み・しびれがある場合、障害者手帳や障害年金を得られないか考えます。

ただ、手術をした人を含めほとんどの人で身体障害者手帳を得られませんし、障害年金も審査落ちになります。痛みやしびれは障害者の基準として関係ないからです。

一方で神経障害や半身まひなどがあり、つえや車いすがなければ生活できない状態に陥っている場合、ヘルニアや脊柱管狭窄症を原因として身体障害者手帳に申し込みできます。また身体障害者手帳を入手したら、障害年金を得ることも考えましょう。

補助具がなければ歩行できない状態の場合、肢体不自由による障害者と考えることができます。この場合、身体障害者手帳と障害年金への申請を考えましょう。

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