障害者で訪問看護を利用する人はたくさんいます。訪問看護の利用者は高齢者のイメージが強いものの、障害者であれば若い人であっても訪問看護を利用するのは普通です。

なお障害者であれば、障害福祉サービスを利用している人が多いです。このとき、障害福祉サービスと訪問看護を併用するのは問題ありません。このとき、自宅や障害者グループホームにて訪問看護のサービスを受けることになります。

また訪問看護の利用時は医療保険を利用します。障害者手帳を利用すれば、このときの医療費を大幅に低くできます。

それでは、障害者はどのように考えて訪問看護を利用すればいいのでしょうか。障害者が理解するべき訪問看護の利用法を解説していきます。

若い障害者で訪問看護を利用するのは普通

障害や病気によって外出が困難な人は多いです。こうした知的障害者や身体障害者、精神障害者について、訪問看護によって家まで来てもらうことができます。

障害福祉は介護分野の一つではあるものの、若い人(障害者)が多く、自らの意思で動ける人がたくさんいます。ただ重症心身障害者を含め、自分の意思で体を動かせない人もいます。この場合、訪問看護を活用します。

訪問看護であれば、医療的ケアが可能になります。介護職員が医療的ケアをすることはできないものの、看護師であれば医療処置を行うことができ、日常的に医療的ケアが必要であっても問題ないのです。

病院とは異なり、訪問看護では緊急時に対応しにくいという問題点はありますが、障害や病気の症状が安定している場合は問題ないというわけです。

障害福祉サービスと訪問看護の併用は可能

このとき、障害福祉サービスと訪問看護を併用したいと考える人は多いです。重度の障害者であれば、例えば以下のような障害福祉サービスを利用します。

  • 居宅介護(ホームヘルプ)・重度訪問介護
  • 共同生活援助(障害者グループホーム)
  • 生活介護(デイサービス)
  • 短期入所(ショートステイ)

障害福祉サービスと訪問看護は別物です。そのため、問題なく両者を併用できます。なお訪問看護は介護保険または医療保険での利用になります。特に若い人の場合、訪問看護では医療保険を利用します。

障害福祉サービスを利用している障害者が病院へ行くと、医療保険を利用して受診します。これと同じように、障害福祉サービスを利用している障害者が訪問看護を利用するとき、医療保険によって医療費を支払えば訪問看護を利用できるのです。

・自宅または障害者グループホーム(施設)に訪問してもらう

そこで実際に訪問してもらうとき、自宅または障害者グループホームに来てもらいましょう。実家や持ち家に住んでいる人であれば、看護師には自宅に来てもらいます。また障害者グループホームなどの施設に入居している場合、施設に来てもらいます。

障害者グループホームなどの施設を利用していても、訪問看護を利用するのは問題ありません。

障害者手帳の利用で医療費負担を軽減する

前述の通り、訪問看護は介護保険または医療保険を利用することになります。若い障害者は医療保険を用いることになるため、3割負担となります。

ただ実際には、障害者手帳をもつ場合、多くの障害者で医療費負担をほぼゼロにしたり、大幅に軽減したりできます。これは、障害者に対して医療費助成に関する手厚い制度があるからです。以下の医療費助成の制度を利用できます。

  • 障害者医療費助成制度
  • 特定医療費(指定難病)助成制度
  • 精神障害者は自立支援医療制度(精神通院)

こうした助成内容を確認することで、利用できる場合は訪問看護の費用を抑えることが可能です。

障害者医療費助成制度で医療費はほとんど必要ない

障害者医療費助成制度によって医療負担をほぼゼロにできます。自治体の制度であるため、あなたが住んでいる自治体によって対象者は異なります。ただ一般的には、以下の障害者手帳を保有する人が障害者医療費助成制度を利用できます。

  • 身体障害者手帳1級・2級
  • 療育手帳:A程度(IQ35以下)
  • 精神障害者保健福祉手帳1級

助成内容も自治体によって異なりますが、例えば以下は東京都での障害者医療費助成制度の内容です。

重度の障害者で住民税の非課税世帯は多いですが、この場合は上の図だと医療費負担がありません。また前年の所得が高くても負担割合は1割であり、さらには月の負担上限額もあります。そのため、訪問看護の費用は大幅に少なくなります。

特定医療費(指定難病)助成制度で医療費がほぼなくなる

重度の障害者でなくても、難病患者なのであれば特定医療費(指定難病)助成制度を利用できます。対象の難病に関わる治療費であれば、2割負担となります。

それに加えて、月の負担上限額が存在します。世帯年収によって変化しますが、本人の年収が低く、住民税非課税となっている場合、月の上限額は2500円です。

階層一般高額&長期
住民税非課税

本人年収:~80万円

2,500円
住民税非課税

本人年収:80万円超

5,000円
一般所得Ⅰ

夫婦二人の世帯年収:約160~370万円

10,000円5,000円
一般所得Ⅱ

夫婦二人の世帯年収:約370~810万円

20,000円10,000円
上位所得

夫婦二人の世帯年収:約810~万円

30,000円20,000円

指定難病の人は身体障害者でもあります。こうした難病患者についても、訪問看護の費用を大幅に抑えられます。

精神障害者は自立支援医療制度(精神通院)を利用できる

精神疾患を発症している人についても医療費の軽減措置があります。統合失調症やうつ病、双極性障害、パニック障害、てんかん、発達障害など、あらゆる精神疾患で利用できるのが自立支援医療制度(精神通院)です。

自立支援医療制度(精神通院)によって負担割合は1割になります。それに加えて、世帯所得に応じて以下のような負担上限額があります。

所得区分所得の状況月の負担上限額「重度かつ継続」での上限額
生活保護生活保護受給者0円0円
低所得1住民税非課税(所得80万円以下)2500円
低所得2住民税非課税(所得80万円超)5000円
中間所得1住民税33,000円未満高額療養費制度の上限と同じ5000円
中間所得2住民税33,000~23万5,000円未満1万円
一般以上住民税23万5,000円以上対象外2万円

こうした制度により、「精神疾患があって訪問看護が必要な人」について、医療費負担は大幅に軽減されます。特に低所得者の場合、月の負担額は2500円で問題ありません。

障害者は低所得者となりやすいですが、ここまで解説した通りさまざまな医療助成の制度があります。障害者手帳とは異なる制度ですが、積極的に活用しましょう。

障害者で訪問看護を利用し、医療費を抑える

自宅や施設(障害者グループホーム)で過ごしている障害者について、外出が難しいケースはよくあります。こうした障害者について、訪問看護を利用するのは普通です。障害福祉サービスを利用していても、訪問看護を併用できます。

訪問看護は介護保険または医療保険を利用します。特に若い障害者の場合、医療保険の一択です。このとき、以下の制度を利用できないか確認しましょう。

  • 障害者医療費助成制度
  • 特定医療費(指定難病)助成制度
  • 精神障害者は自立支援医療制度(精神通院)

障害者手帳を利用することで医療費を抑えられるケースは多いです。特に低所得者は医療費をほぼゼロにできます。そのため、対象者は障害者手帳を利用することで訪問看護の費用を抑えましょう。

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