障害者で生活保護を受給している人は多いです。このとき、生活保護では一般的に「働いてはいけない」というイメージがあります。

ただ実際には、生活保護受給者で働くのは何も問題ありません。障害者の場合、就労継続支援A型・B型などの作業所で仕事をする人は多く、こうした作業所に通っても最低生活費を下回るのであれば生活保護の打ち切りになることはありません。

また就労移行支援を利用して、障害者雇用にて企業就職してもいいです。企業就職によって収入が多くなれば生活保護を抜けることになりますが、その前までは生活保護を続けられます。

それでは障害者で生活保護を受給しながら働くにはどうすればいいのでしょうか。生活保護を受給中の一般就労や作業所での仕事について解説していきます。

生活保護でも障害者で就労可能

生活保護というのは、ずっと生活保護(低収入)の状態を継続させるための制度ではありません。特に若い人の場合、社会復帰するまでのつなぎとして生活保護が存在します。

そのため、生活保護受給者が仕事をするのは何も問題ありません。また仕事を開始したとしても、収入が最低生活費を下回っているのであれば、生活保護が打ち切りになることもありません。

これは障害者も同じであり、生活保護を受給している知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で仕事をするのは普通です。

もちろん障害者雇用などで一般企業に就職し、ある程度の収入を得るようになれば、生活保護が不要になるので打ち切りになります。ただ、その場合は「通常の収入+障害年金」によって、生活保護よりも高額な収入を得られるようになります。

作業所で働く障害者は多い

なお一般就労できるほどの軽度な障害ではなく、中等度や重度の障害者であっても仕事は可能です。障害者の場合、就労継続支援A型・B型などの作業所にて仕事をする人はたくさんいます。

このとき、就労Aや就労Bでの平均月収は以下のようになります。

  • 就労継続支援A型:月に約8万円
  • 就労継続支援B型:月に約1万5000円

作業所にて仕事をしたとしても、それだけの収入で生活保護の最低生活費に届くことはないため、生活保護が打ち切られることはありません。

障害年金と就労収入の合計が最低生活費を超える場合

ただ障害者について、障害年金を受給している人は多いです。就労継続支援B型であれば特に問題ないものの、就労継続支援A型にて仕事をしている場合、障害年金と就労収入による合計で最低生活費を上回ります。

就労Aのみであれば最低生活費を上回らない人であっても、障害年金が加わると最低生活費を上回るのは普通です。この場合、生活保護の打ち切りになります。

ただ生活保護が打ち切られても、生活保護費よりも高額なお金を得られますし、障害年金は非課税所得なので住民税の非課税世帯として障害福祉サービスを継続して無料にて利用できます。また住民税の非課税世帯であるため、さまざまな給付金や補助金を得られます。

また障害が悪化して就労継続支援A型を続けられない場合、再び生活保護を申請すればいいです。そのため、就労Aを利用することで生活保護の打ち切りになるのは大きな問題ではありません。

多く稼ぐと生活保護費から差し引かれる

なお生活保護受給者の場合、たとえ最低生活費を上回っていないにしても、働いた分の収入は生活保護費から差し引かれることが知られています。そのため多く稼ぐと、その分だけ生活保護費が減ります。

金銭面だけでいうと働き損の状態です。ただ障害者の場合、作業所で働くのは「その後の社会復帰を目指す」という側面が強いです。そのため、たとえ働いた分だけ生活保護費が差し引かれるとはいっても、作業所で仕事をするのは大きな意味があります。

生活保護の状態で働いても打ち切りになることはないものの、作業所にて仕事をするのは社会生活を送るうえで重要です。

就労収入15,000円までは全額控除となる

なお生活保護にて働くとき、すべての就労収入が生活保護費から差し引かれるわけではありません。たとえ生活保護受給者であっても、生活保護費に加えて就労した分だけお金のプラスがあります。

具体的には、生活保護受給者は就労収入に対して月15,000円までは全額控除になります。つまり多く稼いでも、月15,000円までは全額を収入として得られます。15,000円よりも多く稼ぐと、その分は生活保護費から差し引かれるものの、15,000円までは手元に残せるのです。

そのため生活保護の障害者が就労Bで仕事をするのは大きな意味があります。前述の通り、就労継続支援B型の平均月収は15,000円であり、生活保護であっても労働賃金のほとんどが手元に残ります。そのため、障害者は生活保護によって以下のお金を得られます。

生活保護を利用する場合、障害基礎年金よりも大きなお金を得られます。これに障害者加算や就労Bによる賃金収入を加えると、たとえある程度重い障害者であってもそれなりのお金を得られるようになります。

就労移行支援にて企業就職が可能

なお軽度の障害者なのであれば、一般企業への障害者雇用によって生活保護を抜け出しても問題ありません。障害者雇用の場合、通常の給料に加えて障害年金も得られます。

精神障害者は就労によって障害年金が打ち切りになる可能性は高いものの、身体障害者は継続して障害年金も受給可能です。就労賃金と障害年金を得る場合、収入はそれなりに大きくなりやすいです。

なお障害者であっても、生活保護に頼らずに働くことで賃金を得るのは大きなゴールの一つです。

このときすぐの企業就職が難しい場合、生活保護を受給しながら就労移行支援へ通い、企業就職するための準備をしてもいいです。また企業就職した後、退職してしまったら再び生活保護に戻っても問題ありません。

退職後に生活保護へ戻れることを考えると、企業就職して生活保護の支給停止になるのは何も問題ありません。そのため一般就労にて仕事をしたい場合、積極的に企業就職へ挑戦するといいです。

生活保護の障害者で働くのは問題ない

障害者の場合、十分に働けず生活保護を受けている人が多いです。ただ、こうした知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であっても仕事をして問題ありません。

就労継続支援A型については、障害年金との合算によって最低生活費を上回るかもしれません。この場合、生活保護から外れます。ただ生活保護費よりも多くのお金を利用できるため、特に問題ありません。また就労継続支援B型については、月15,000円までは就労賃金から除外され、働いた分だけお金を利用できます。

なお中には、一般就労を目指す人もいます。そこで生活保護の受給中に就労移行支援を利用して、障害者雇用にて一般就労するのは問題ありません。

生活保護の状態で働くのは自由です。むしろ仕事をすることで、社会復帰してもらうほうが生活保護の真の目的に即しています。そこで生活保護を受給している障害者について、一般就労や作業所の活用を含めて積極的に働くようにしましょう。

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