障害者で十分に働けない場合、収入を得ることができません。その場合、生活保護を申請することでお金を得ることができます。

障害者の場合、障害年金を受給している人は多いです。障害年金を得ていても生活保護へ申請できます。また障害年金を受給している場合、障害者加算として通常の生活保護費に対しての上乗せがあります。

また実際に生活保護へ申請する場合、福祉事務所で手続きをします。その後、調査が終われば生活保護の受給開始になります。

それでは知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が生活保護を得るにはどうすればいいのでしょうか。障害者で生活保護を得る要件や申請手続きについて解説していきます。

生活保護を得られる収入や貯金の要件

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で十分に働けないのは普通です。このとき、以下の人で生活保護を得られます。

  • 世帯収入が居住地の最低生活費より低い

地域によって最低生活費は異なりますが、一人暮らしの場合、ザックリと「月10~13万円以下の収入であれば生活保護の条件に該当する」と考えましょう。

また生活保護を得るためには、資産のない人でなければいけません。そのため、以下の資産を保有していない人である必要があります。

  • 預貯金
  • 不動産:家、土地、田畑
  • 自動車
  • 貴金属
  • 高級ブランド品
  • 貯蓄性のある生命保険
  • 株・債券

これらの資産を保有していれば、事前の売却が必要です。いずれにしても、低収入であることに加えて、資産を保有していない人であれば生活保護の受給は問題ありません。

本来、生活保護を受けるには働けない理由がないといけません。このとき、障害者は障害があること自体が働けない理由になるため、低収入で資産がなければ生活保護の対象になります。

障害年金は課税収入とは関係ない

なお知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の場合、障害年金を受け取っている人はたくさんいます。このとき、「障害年金を受給しながら生活保護を受けることができるのか?」と心配します。

これについて、障害年金は非課税所得に該当します。つまり、障害年金は収入とは関係ありません。障害年金が非課税所得である事実について、以下のように日本年金機構が明記しています。

そのため障害年金を受け取っている障害者であっても、問題なく生活保護へ申請できると考えましょう。

障害年金を引かれるが、障害者加算がある

なお障害年金の受給者について、「障害年金+生活保護費」が支給されるわけではありません。生活保護費が支払われるとき、障害年金の分が差し引かれます。

障害基礎年金を得ている人であれば、生活保護費のほうが多くのお金を得られます。ただ障害厚生年金を得ている人であれば、生活保護費よりも多くのお金を障害年金で得ている人もいます。そのため障害厚生年金で高額なお金を得ている場合、生活保護を申請しても意味ないケースがあります。

・障害年金で障害者加算の対象になる

なお障害年金の分だけ生活保護費から差し引かれるのであれば、障害年金の受給が意味ないのかというと、そういうわけではありません。障害年金を得ている障害者が生活保護を申請すると、障害者加算があります。

通常の生活保護費に加えて障害者加算が支給されます。そのため、障害年金を得ている人は健常者よりも多くのお金が支給されます。

働けない障害者で生活保護を申請する手順

それでは、働けない知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で生活保護を申請するにはどうすればいいのでしょうか。

生活保護を申請する場所は福祉事務所・役所になります。そこでこうした場所へ出向き、生活保護を申請したいことを伝えるといいです。

生活保護の申請で、大まかな流れは以下になります。

  1. 福祉事務所で生活保護を受けたいと伝える
  2. ケースワーカーによる家の訪問
  3. 扶養調査と金融機関への調査
  4. 生活保護費の受給開始

必要な申請書類は自治体によって異なります。そこで、まずはいま住んでいる自治体の福祉事務所・役所へ出向き、生活保護を申請したいことを伝えるといいです。

調査を受けて生活保護を受給開始

なおケースワーカーによる家の訪問は必ず行われます。このとき、以下の指導を受けます。

  • 不動産や車、貴金属を売る
  • 銀行口座の確認
  • 障害年金の金額確認

なお障害者グループホームに住んでいる人(または、これから住む人)であれば問題ないものの、そうでない場合は家賃の低い物件へ転居することを勧められます。

ケースワーカーは生活保護を受給できるための指導をします。そのため、ケースワーカーの指導には必ず従いましょう。そうして資産のない状況になれば、障害者加算が加わったうえで生活保護費を受給できるようになります。

身内からの援助がない場合に生活保護を受給できる

なお生活保護を受給する場合、生活保護申請者の親族に対して「生活保護申請者への援助が可能か?」と必ず連絡がいきます。DV・虐待を受けているケースを除いて以下の人が連絡の対象者であり、扶養調査書が送付されます。

  • 兄弟姉妹
  • 祖父母
  • 子供、孫
  • おじ・おば

なお経済力のある親族がいたとしても、経済的な援助を得られない場合は生活保護の受給が可能です。そのため親や兄弟に連絡されたとしても、親族が「援助できない」と役所担当者に伝えれば生活保護の対象になります。

障害者で親族との関係が疎遠な場合、特に問題ありません。一方で親族と連絡を取れる場合、事前に「扶養照会に対して断る」ように伝えておくといいです。

障害者にとって生活保護の申請は重要

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者では十分に働けない人が多く、結果として低所得者になってしまいます。こうした障害者について、資産を保有していない場合は生活保護の受給対象になります。

障害年金を受け取っていても生活保護を利用できます。障害年金の分だけ生活保護費から差し引かれるものの、障害者加算を得られるため、健常者よりも利用できる生活保護費の金額は大きいです。

そこで生活保護を受けたい場合、福祉事務所・役所で手続きをしましょう。その後、ケースワーカーによる家の訪問や調査により、生活保護の受給が開始されます。

低収入で貯金も少ない障害者なのであれば、生活保護を活用しましょう。これにより、十分に働けない障害者であっても生活できるようになります。

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