生活保護で無料低額宿泊所を利用している人は多く、こうした施設を活用することで住居がなくても生活できます。

ただ無料低額宿泊所の中には、劣悪な環境にて生活しなければいけない施設があります。また無料低額宿泊所の利用だと、「食事がまずい」「管理費が異常に高い」だけでなく、身分証を取り上げるなどの違法行為をする施設もあります。

そうしたとき、無料低額宿泊所から出たいと考えます。また社会復帰を目指すうえでも、無料低額宿泊所からの引越しは重要です。そこで、どのように考えて無料低額宿泊所から脱出すればいいのか解説していきます。

無料低額宿泊所から出たいと考える人は多い

失業者やホームレス、障害者などで住む場所がない場合、一時的な居住を目的に無料低額宿泊所を利用します。通常、無料低額宿泊所は個室です。無料低額宿泊所は法律によって、開業時に以下の要件が設けられています。

  • 居室は定員を1人とし、天井まで達した堅固な間仕切壁と扉を有する
  • 居室は収納設備などを除いて7.43m2(約4.5畳)以上

ただ、以前から運営されている無料低額宿泊所では簡易個室(極小の部屋)が残っており、場合によっては劣悪な環境にて過ごしている人もいます。さらには食事がまずかったり、管理費が高く手元にお金が残らなかったりするのは普通です。

また劣悪な環境でなかったとしても、どこかの段階で早めに無料低額宿泊所から引越すべきです。前述の通り、一時的な利用が無料低額宿泊所の原則だからです。

引越しを行うのは何も問題ない

そこで無料低額宿泊所から出たい場合、積極的に引越しをしましょう。生活保護受給者は引越し時に役所で申請をする必要があるものの、「無料低額宿泊所から出る」という申請内容であれば通常は認められます。

このときの引越し費用については、生活保護の住宅扶助から出されます。つまり、引越し代の心配をする必要はありません。また、賃貸契約をするときの初期費用を心配する必要もないです。

引越しに必要な費用は生活保護費から出されるため、無料低額宿泊所から出ることをためらう必要はありません。

障害者施設の利用では、事前に役所で申請

なお無料低額宿泊所を利用している人の中には、精神疾患を抱えていたり、知的障害者だったりする人がたくさんいます。こうした知的障害者や精神障害者、身体障害者について、無料低額宿泊所から脱出するにしても、すぐの社会復帰は難しいです。

そうした場合、通常は障害者グループホーム(共同生活援助)を利用します。複数の障害者が共同生活を送り、無料低額宿泊所よりも格安にて生活できる施設が障害者グループホームです。また障害者グループホームの場合、無料低額宿泊所と違って簡易個室のような劣悪な居住環境はありません。

ただ障害者グループホームを利用するとき、必ず事前に役所で申請する必要があります。また、これまで障害福祉サービスを利用したことがない場合、障害者グループホームを利用できるまでに1~2か月の時間がかかります。

そのため賃貸マンション・アパートでの一人暮らしではなく、障害者グループホームでの格安生活を見据える場合、できるだけ早いタイミングで市区町村の役所にて「障害者グループホームを利用したい」と相談しなければいけません。

なお障害福祉サービスを初めて利用するとき、役所の担当者による聞き取り調査(認定調査)が行われます。この調査について、担当者が無料低額宿泊所を訪れるのが一般的であるものの、施設での聞き取り調査が嫌なのであれば、役所内での聞き取り調査を依頼すればいいです。

次の入居先に目星がつけば引越し

そうして賃貸マンション・アパートや障害者グループホームを含め、次の入居先の目星がつけば引越しをしましょう。

もちろん、生活保護受給者が入居可能な賃貸マンション・アパートを見つけるのは大変です。また障害者グループホームを利用するにしても、前述の通り利用開始まで時間がかかります。そこで、早めの準備が必要になるのです。

・他の無料低額宿泊所へ避難してもいい

このとき場合によっては、いまの環境が劣悪すぎるため、いますぐ他の施設へ脱出したいと考える人もいます。その場合、他の無料低額宿泊所へ移動しても問題ありません。

他の無料低額宿泊所へ入居するとき、自ら問い合わせて契約することもできます。この場合は役所で無料低額宿泊所のリストをもらい、他の無料低額宿泊所へ問い合わせ&引越しをするのです。その後、新たな無料低額宿泊所へ住みながら、早いタイミングで賃貸マンション・アパートまたは障害者グループホームへの引越しを考えます。

役所へ一時扶助申請書を提出する

このとき、引越し先にある程度の目星がついたら役所へ一時扶助申請書(初期費用の申請書)を提出しましょう。

役所に相談しても、口先約束だけでまったく話が進まないことがよくあります。ただ、それではいつまでたっても無料低額宿泊所から出れません。そこで、生活保護での「居宅保護の原則」を認めさせるため、一時扶助申請書を出してしまうというわけです。

申請書を出せば、役所は14日以内に「無料低額宿泊所から出るために必要な引越し代やアパートの初期費用」に関する支給決定を判断しなければいけません。

特に精神疾患やその他の病気、知的障害、身体障害を有する人の場合、「障害者グループホームへ引越したい」という理由であれば、断られることは100%ありません。透析患者やパニック障害など、一見すると健常者とほぼ同じに見える人であっても障害者であり、問題なく障害者グループホームを利用できます。

悪質な無料低額宿泊所で過ごすことにより、適切に治療できず、社会復帰どころか持病や精神疾患が悪化する人は多いです。その場合、障害者グループホームで過ごすことで劣悪な環境から抜け出し、さらには介護スタッフによる援助を常に受けられるようになります。

引き止められても脱走すれば十分

ただ一時的な利用が本来の目的であるにも関わらず、なかなか無料低額宿泊所から出れない人もいます。ここまで説明した内容は正攻法による引越し方法だからです。

中には、貧困ビジネスで儲けることだけを考える悪徳施設も存在します。そうした施設では「身分証や印鑑、キャッシュカードを預かり、返さないようにする」という違法行為をしているケースがあります。

その場合、賃貸マンション・アパートや障害者グループホームを含め、事前に次の住む場所を見つけたのであれば、いま住んでいる無料低額宿泊所へ何も言わずに脱走すればいいです。

刑務所からの脱走は犯罪であるものの、無料低額宿泊所からの脱走は何も問題ありません。また無料低額宿泊所から脱走しても、生活保護が打ち切りになることはないです。これが、何も問題は起こらない理由です。

こうして、脱走によっていまの劣悪な環境から抜け出せます。参考までに厚生労働省の資料では、無料低額宿泊所の退所状況は以下のようになっています。

退去状況の内訳割合
居宅へ移行34.0%
病院へ入院6.4%
福祉施設・障害者施設へ移行10.8%
他の無料低額宿泊所へ移行4.7%
失踪・無断退居22.9%
死亡4.0%
その他17.1%

※無料低額宿泊事業を行う施設の状況に関する調査結果について

このように、約2割の人で無料低額宿泊所から無断で脱走しているとわかります。つまり、無料低額宿泊所から何も言わずに脱走する人は多く、無断退去は普通と考えましょう。当然、あなたが急にいま住んでいる無料低額宿泊所から抜け出しても何も問題ありません。

もし粗悪な無料低額宿泊所に住んでおり、正攻法での退去が難しい場合、次の入居先を見つけたうえで何も言わずに抜け出しましょう。

身分証を含め、再発行が可能

なお場合によっては、前述の通り身分証や印鑑、キャッシュカードなどを取られており、返してもらえない人もいます。この場合であっても、脱走していまの無料低額宿泊所から逃げるのは何も問題ありません。

まず、身分証は容易に再発行できます。印鑑についても新たに用意し、新たな印鑑を役所で印鑑登録すればいいです。キャッシュカードもすぐに利用停止&再発行が可能です。つまり、たとえ身分証を取り上げられていても大きな問題ではありません。

それよりも問題なのは、粗悪な無料低額宿泊所に住んでおり、「社会復帰を望めない」「適切に治療できず、身体が悪化している」という状況です。

劣悪な環境であったり、貧困ビジネスをしていたりする無料低額宿泊所が存在するのは事実です。そうした無料低額宿泊所を利用しており、できるだけ早く劣悪な環境から脱出したいのであれば、ひとまず次の入居先だけ確保して、あるタイミングで施設から抜け出せば十分です。

無料低額宿泊所からの引越しを行う

低所得者で住む場所がない場合、一時的に無料低額宿泊所を利用するのは有効です。ただ実際のところ、劣悪な環境にて過ごさなければいけないケースもあります。

生活保護受給者が利用する無料低額宿泊所について、本来は一時的な活用が原則です。そこで、可能な限り早く一般賃貸や障害者グループホーム(共同生活援助)など、まともな場所で生活することを考えましょう。

そこで、事前に住みたい一般賃貸や障害者グループホームを探すといいです。いますぐ出たい場合、他の無料低額宿泊所でも問題ありません。また正攻法での脱出が難しい場合、何も言わずに抜け出せば十分です。

いまの無料低額宿泊所から出たい場合、正しく行えばすぐに達成できます。そこで賃貸マンション・アパートや障害者グループホームに住むため、無料低額宿泊所からの引越しを考えましょう。

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