知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の場合、生活保護の受給中に病院へ長期入院することがあります。この場合、生活保護費が減額になります。

生活保護費の中でも、1か月以上の入院によって生活扶助費が大きな影響を受けます。ただ9か月以上など、医療機関へより長期間の入院をする場合、住宅扶助の支給停止になります。つまり、障害者は住む場所もなくなります。

それでは、生活保護を受けている障害者の病院入院はどのように考えればいいのでしょうか。障害者による生活保護での長期入院について解説していきます。

医療機関へ1か月以上の入院で生活保護費が減額

障害者で病院・クリニックを利用するのは普通です。ただ知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者によっては、入院することもあります。病院への入院中であっても生活保護費が支給されます。ただ、1か月以上の入院では生活保護費が減額されます。

生活保護費の内訳をみると、大きく生活扶助と住宅扶助に分かれます。このうち、長期入院では生活扶助費に影響があります。

収入がゼロであり、障害者加算を考慮しない場合、一人暮らしの人では大まかに7万5000円ほどが通常の生活扶助費になります(住む地域によって金額は異なります)。このとき、入院によって生活扶助費は以下のようになります。

・入院が1か月未満の場合

生活扶助費に影響はありません。生活保護費として、生活扶助と住宅扶助がいつも通り支給されます。

・入院が1か月以上の場合

入院期間が1か月以上になる場合、入院中に生活扶助が算定されなくなり、その代わりとして入院患者日用品費となります。

入院患者日用品費は全国一律で金額が決まっており、月に2万3110円です。つまり、5万円ほど生活保護費が減額となります。たとえ障害者であっても、長期入院では生活保護費が大幅に減額となります。

日割りではなく、入院翌月の初日から減額

なお、1か月以上の入院で生活保護費が減額になるというと、多くの人は「1か月が経過した時点から、生活扶助から入院患者日用品費へ切り替わる」と考えてしまいます。

ただ日割りにて計算され、生活扶助のお金が支払われるわけではありません。実際には、1か月以上を入院する見込みの場合、入院した翌月の初日に入院患者日用品費へと切り替わります。

例えば障害者が3月20日に入院し、1か月以上を入院する見込みだとします。この場合、入院患者日用品費へ切り替わるのは4月20日ではありません。そうではなく、4月1日(翌月の1日)に入院患者日用品費へ切り替わります。

長期入院する生活保護受給者について、月の後半に入院を開始すると不利になります。ひとまず現状では日割り計算ではなく、このような制度になっています。

医療扶助により、費用はほとんど必要ない

ただ、長期入院中に障害者の生活保護費が大幅減額になるからといって、費用負担が増えるわけではありません。

入院中の生活保護受給者について、入院での治療代や手術費用などは医療扶助から出されます。もちろん、緊急入院になった場合であっても医療費は不要です。また入院中の食費についても、医療扶助から支給されます。医療扶助というのは治療費だけではないのです。

入院中の場合、医療費が不要であることに加えて、食事代や水道光熱費も不要です。そのため、ほとんどお金の支払いなしに入院できます。なお、入院中に自己負担になるのは以下の費用です。

  • おむつ代
  • 病衣などのリース代
  • 保険診療外での医療
  • 個室のベッド代

生活保護受給者で保険診療外や個室ベッドによる自費を希望する人は基本的にいないため、この費用は心配しなくてもいいです。

一方でおむつが必要な場合、おむつ代の支払いが必要になります。また手術内容によっては、指定の病衣をリースしなければいけないケースがあります。この場合、そのつど自己負担を生じます。

障害者は生活保護費の障害者加算がある

なお知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者について、障害の程度がある程度重い場合は障害者加算があります。通常の生活保護費に加えてお金を得られるため、その分だけ支給額が増えます。

申請しないと加算対象にならないため、障害をもつ生活保護世帯は障害者加算へ申請する必要があります。

なお、障害者加算は入院中や施設入所者も対象になります。1か月以上の入院によって生活保護費が減額になる事実は同じであるものの、健常者に比べると、障害者加算の分だけ得られるお金は大きくなります。

なお入院中の障害者加算について、「最も支給金額の低い地域」を基準に支給されます。障害者加算は住む地域によって支給金額が異なるものの、たとえ都市部に住んでいたとしても、入院によって障害者加算は最も低い基準の支給額になります。

9か月以上の入院で住宅扶助の支給が停止される

なお前述の通り、1か月以上の入院で減額になるのは生活扶助であり、住宅扶助は関係ありません。そのため、いま住んでいる賃貸マンション・アパートや障害者グループホームの家賃支払いを気にする必要はありません。

ただ障害者では、入院期間が長くなってしまうこともあります。特に9か月以上の入院になると、住宅扶助の支給が停止になります。つまり家賃支払いをすることができず、いま住んでいる場所を強制退去になることを理解しましょう。

・退院時は新たに障害者グループホームなどを探す必要あり

なお障害者の場合、9か月以上の入院となるケースはよくあります。そうして住宅扶助が停止となり、退院するときに住む場所がない場合、退院前には住む場所を事前に確保しましょう。

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の場合であれば、例えば障害者グループホームを利用できます。一般的な賃貸マンション・アパートよりも圧倒的に支出が少なくなり、入院中であっても事前の体験ができるため、退院と同時に障害者グループホームへ引越しすることもできます。

退院した場合、元の生活保護費に戻る

それでは長期入院の後に退院した後、生活保護費はどのようになるのでしょうか。退院後の生活保護費について、翌日から日割り計算にて元の生活保護費に戻ります。つまり、退院後はすぐに元の生活扶助費を得られるようになります。

そのため入院による生活保護費の減額について、生活保護の受給者にとって有利な制度設計になっています。

入院するときについては、翌月の1日にならないと減額されず、それまでは高額なお金(生活扶助費)を得られます。入院した翌日から、生活保護費が減額されるわけではありません。一方で退院したときについては、退院の翌日から元の生活保護費の支給に戻ります。

1か月以上の入院によって生活保護費が減額になるのは事実です。ただ退院によってすぐに元の生活保護費に戻りますし、障害者では障害者加算が継続します。そのため入院中であっても生活費を出せますし、退院後も問題なく生活保護費によって日々のお金を出せるようになっています。

生活保護で障害者が長期入院するときは注意点がある

健常者に比べて、知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で入院が必要になる頻度はどうしても多くなります。このとき短期の入院であれば特に問題ないものの、長期入院では生活保護費が減額となります。

生活扶助費が入院患者日用品費になることで、支給額が大幅に減ります。ただ障害者加算はありますし、医療費や食費も不要です。そのため入院によって、支給されるお金が減っても支払いに困ることはありません。

なお9か月以上の入院では住宅扶助の支給が停止されます。この場合は住む場所がなくなるため、退院の前に障害者グループホームを探すなどの対策が必要です。

このとき、退院したら翌日から元の生活保護費に戻ります。確かに長期入院で生活保護費は減るものの、生活保護受給者に有利な制度になっています。こうした制度の中身を理解して、長期入院する障害者は生活保護を活用しましょう。

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